2016年07月09日
他人の音がゆるせない。もしかしたら音嫌悪症かも?
食事中に他人が立てる音や、日常生活での呼吸の音、あるいはペンのカチカチという音に、過敏に反応してしまう、という方はいませんか?日本では、認識が少ないゆえ、それ自体が病的なことだとは本人も感じていないことが多いかもしれないのですが、音嫌悪症という病気があるようなのです。
今回は、この聞き慣れない病気について医師に伺いました。
どんな病気なの?
通常の人では気にならないような、日常の中に溢れる音に対して、敏感に反応し、身体症状も伴うことから苦痛を抱えるようになります。この症状が悪化すると自己処理が困難となり、音を出している人に対して暴力をふるいたいという気持も芽生え、最終的には暴力をふるう、あるいは、自傷行為といった事まで起こしてしまいます。
音嫌悪症、2つの原因
1:何かのきっかけによって、音嫌悪症を発症
脳の感覚野や聴覚野異常は、幼少期に起こった問題によるトラウマ、精神的なストレス等が関連しているといわれています。それにより、普段私たちが気にかからなかったような音、特に「人が出す音」に対してかなり強い感情を持ちます。
2:何のトラウマもきっかけもなく、気がつくと音嫌悪症を発症
音嫌悪症の人が反応する音
・食事中の咀嚼音
・ガムをくちゃくちゃ噛む音
・ 足音
・鼻を鳴らす音
・鼻をすする音
・ペンをカチカチする音
・息継ぎ
…など
その特徴としては、上記のような他人が発する音には敏感でありながら、本人がその音を立てていても気にはならない場合が多い、といったことが挙げられます。
その代表的な症状
・イライラする、あるいは怒りを感じる
・不安やパニックに陥る
・呼吸困難感
・発汗(冷汗)
・心拍数や血圧、体温の上昇
…など
また、音が気になり始めると、その音から注意を引き離すことができず、他事に集中でないといった心理状況になりやすいため、授業や仕事など日常生活に支障が出てきてしまいます。
改善することはできる?
子どもの頃からから発症している人の中には、成長過程で対処方法が身につき大人になるにつれて症状が改善された、という人もいます。とはいえ、この病気は根本的な原因がはっきりしていないため、治療法が確立していないのも、また実際です。脳神経学や臨床心理学の観点から、研究が進んではいますが、未だにすべてが解明されているわけではないのです。
<対処方法>
・音がする場から離れる
・音楽などをかけて外部からの音を遮断する
・他のことを考えそこに意識を集中し自分を落ち着かせる
…など
周囲の理解も大切
理解してもらえる状況であれば、その音を止めてもらうよう、歩みよるのもいとつの方法かもしれません。ただ、他の精神疾患や聴覚障害、ストレス等が原因になっているケースもあるので、それらの症状に対する治療も必要となってきます。
しかし日本では、まだ多くの人に認知されていないのが現状であり、自分の立場を理解してもらいにくいのが音嫌悪症の人たちともいえます。そのため、ネット上などで繋がりお互いに共感したりと情報交換等が行われているようですが、まずは病院へ行くことが先決です。対処療法として、何かできる事がみつかるかもしれません。
もし、音嫌悪症が疑われる場合、まずは家族や友人等、理解してもらえる人に話してみるといったことも大切です。このような症状は一人で抱え込まずに誰かのサポートを受けたり、近くに理解してくれる人がいるだけでも違います。症状が悪化する前に、気になる人は早めに相談してみましょう。