アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

租税特別措置法について(その3)

租税特別措置法について(その3)

引用文献;ZEIKEN 税研 2022年1月  P27-P67 

上記資料の要約から、「租税特別措置法」について、検討している。
私見は殆どなく、内容は、文献から引用でしている。
これをすることで、意義の確認などを通じて、私自身の知識の整理をしようとするものである。


V 立法技術としての租税特別措置法

 前回見たように、租税特別措置法の中には、様々なものが混在しており、少なくとも、
「本法に置かれるべき規定」と「租税特別措置法に置かれるべき規定」を区別する客観的な基準があるようには思われない。

 ある時点で、租税特別措置法上の規定として導入された制度が、その後、本法に加えられたという制度もあるが、退職給与引当金のように、その後、その制度自体が廃止されたものもあり、ある時点で「本則化」されることは、高々、その時点での租税理論に照らして、原則的な扱いをされたという以上の意味は持たないと考えるべきであろう。

それでもなお、「租税特別措置法(らしきもの)だけを束ねた法律」を、本法と、外形的に区別された法律として制定・維持するという方法は、諸外国には見られないようである。

前身の臨時租税特別措置法(昭和13年)は
支那事変特別税法に伴う大幅増税下で、自作農、自営業への影響を軽減するという目的で制定されたものである。その後も同法およびそれを引き継いだ租税特別措置法においても、戦時体制・戦後復興という、いわば「非常時の」手段として(とりわけ資本蓄積促進手段として)税制優遇を用いるという発想が根幹にあり、それら非常時の措置は本法とは明確に区別した上で、平時への復帰後は、特別措置法ごと廃止する、という構想があったのではないか、というものである。

しかし、現実には、ひとたび拡充された特別措置の廃止は、シャウプ韓国が租税特別措置に厳しい態度に臨んだとしても、政治的に困難であったため、せめて、これら措置が税制の原則とは区別すべき「例外」であることを強調し、後年度における整理・改廃の可能性を残すために、租税特別措置法という、別建ての法律に盛り込む、という立法技術がその後も維持されてきたのではなかろうか。
もっとも、租税特別措置法の規定の全てが、定期的な見直しに服しているわけではないし、適時の整理・改廃が行われているとは言い難い状況にある。

一面において、租税特別措置法は、租税法に潜む財政支出プログラムの可視化という、「租税支出予算」の企図を部分的に達成しているという見方もできる。
法人税関係特別措置法に限定されたものではあるが、租特透明化法による確定申告時の適用明細書の提出義務・適用実態調査の制度があり、さらに租特透明化法に連動して法人税関係特別措置(国税)および法人住民税・法人事業税関係の租税特別措置法(地方税)の新設・拡充・延長については、事前評価および事後評価が政策評価法によって義務付けられている。

他面において、これはあくまでも、租税立法者の考えるところの、「租税の論理」からの区別に過ぎないことにも、注意が必要である。

本法に含まれた租税原則からの逸脱は可視化されていないし、租税支出と財政支出を同時に比較して財政資源配分を決定する、という目的に資するところまで至っていない。

そもそも租税特別措置による税制の「不公平」を問題にするのであれば、公平な税制が、徴収した税収が「不公平な」補助金政策によって分配される場合も、同様に問題にしなければならないはずである。

そのような財政全体を見通す視点は、租税特別措置法や租特透明化法からは、窺われない。
むしろ、「原則」と「例外」に可能な限り整理し続けることで、複雑かの一途を辿る税制を、辛うじて租税立法者自身には理解可能なものにとどめようとするための営為、ということではないか。


租税特別措置法は、租税立法者の依拠する租税理論の変遷によっては、租税特別措置法に置かれた規定が本則化するということもありうる、という意味で、「租税(優遇)措置」のみならず、新たな税制の「実験室」のような側面もあるのかもしれない。



W 租税特別措置法の解釈方法

1 特別な解釈法
 ある規定が(本法ではなく)租税特別措置法におかれることは、解釈・適用の方法に影響を及ぼすか。
 裁判例において時折みられるのが、租税特別措置法のような例外規定を解釈適用する際には、それが租税の公平負担の例外を定めたものゆえに、厳格に解釈されるべきであり、みだりに拡張解釈すべきでない、という論法である。
租税特別措置法だからというよりも、納税者に有利な扱いを定めた例外規定一般についての解釈方法の帰結として考えるべきである むしろ、租税特別措置法についても、規定の趣旨を立法資料から丹念に読み解くことで、文言と趣旨の両面から無理のない解釈を導くのが、近時の裁判例の大勢と言えよう。もちろん、趣旨目的を参照するにしても、文言上無理のある解釈が肯定されるわけではない。

2租税法令の一般的な解釈方法における関係法令の参酌
 租税特別措置法における租税優遇既定の少なくないものが、他の個別行政法制度と一体的に作用することを想定して立法されている。
 土地の譲渡所得の特例が措法33条以下にあるが、土地収用法や都市計画法の法目的を促進する目的で、しばしばこれら個別行政法の概念や手続きを、自らの課税要件において参照する形で規定を置いている。このような場合、内容確定のためには、参照先の法律の解釈を行う必要があるところ、租税法規としてではなく、それぞれの政策分野の観点から立法、改正されたものであり、それに従って解釈されることになろう。
 例えば、「都市計画法第56条第1項の規定に基づいて買い取られ、対価を取得する場合」として、明示的に都市計画法の手続きを参照しており、その客観的な内容確定は、参照先の個別行政法分野の解釈に従うにすぎないからである。これは、構図として、借用概念論と同様である。
・・・
以上です。
「基本」はこの程度です。
次回から、この分野を書く場合においても、同じ文献を使用します。
興味のありそうなものを、「要約」という形で、今しばらく、「租税特別措置法」を、機会を見て、取り上げてみたい。
本日は、ここまで。

租税特別措置法について(その2)

租税特別措置法について(その2)

引用文献;ZEIKEN 税研 2022年1月  P27-P67 

上記資料の要約から、「租税特別措置法」について、検討している。
私見は殆どなく、内容は、文献から引用でしている。
これをすることで、意義の確認などを通じて、私自身の知識の整理をしようとするものである。

3 租税特別措置法への着目

政府税調の「昭和51年度の税制改正に関する答申」(昭和50年12月23日)における答申では、「租税特別措置」の定義自体は、学説と大差はない。
しかしながら、下記の通り、定義・整理されている。

(イ) 特定の政策目的に資するという租税政策上の配慮がなかったとすれば、税負担の公平その他の税制の基本原則からは認め難いと考えられる、実質的な意味での特別措置(以下、便宜「政策税制」という。)
(ロ) それ以外の税制、すなわち、政策税制とは異なり、税制の基本的原則から見て、所得税法、法人税法等の本法に規定されてしかるべき制度、及び現在のところ租税特別措置法に規定されてはいるものの、いずれは本法に吸収されてしかるべきであると考える制度

この場合、学説でいう、租税特別措置ないし政策税制という評価とは別に、「ある規定を(本法ではなく)租税特別措置法に置くという租税立法者の選択」が持つ「法的な意味は何か」という論点が、導き出される。
ある規定を「特別措置」「(租税政策以外の)政策目的規定」ととらえることには、租税法理論に照らした評価の契機が伴う。これ自体、見解の対立を含み得る。
 このような理論的分析とは別に、実定法上、「本法」と「特別措置」を区別する理由は何かという観点からの検討を試みたい。
ちなみに、米国の租税支出論が、本法と特別措置法の区別を持たない米国連邦税制=内国歳入法典の批判的分析のための手法であったことを、想起していただきたい。


U 租税特別措置法の性格

1 租税特別措置法=例外的規定
  租税特別措置法における典型的な規定の例は、特定の政策目的のために、本則の税負担を軽減・免除することで、納税者の行動に誘因をあたえようとするもの」である。

一方で、「〜の規定に係わらず」として本則規定を明示した上での例外を定める例もある(措置法26条1項 社会保険診療報酬の所得計算の特例)があり、他には、必ずしも明示されない場合(措法41条 住宅ローン税額控除制度)がある。

他方で、租税負担の軽減を生じさせる面もあるが、誘導目的が必ずしも明確ではなく(更には、直接の補助金との代替も容易ではなく)「むしろ、原則的な課税方法を技術的に代替している」ものと評価される規定も数多く含まれる。
これの例示として、金融所得の一律源泉分離課税、租税回避に対する個別的否認規定とされるものが租税特別措置法にはある。措置法41条の4第2項にある、不動産所得の計算上生じた損失の金額の中に、土地等を取得するためにした借入金の負債利子がある場合、その金額は損益通算の対象外で、「生じなかったものとみなす」という規定がある。措置法66条の6にある、外国子会社合算税制も租税特別措置法に置かれた、個別的否認規定であるとされている。
これらの規定は、本法が定める課税の基本構造(例えば、実現主義、法人格単位での課税、国外所得への課税管轄の制限等)が、納税者に、租税回避のインセンティブを与えることに鑑み、これを打ち消すための制度とみることができる。本法との関係はさておき、少なくとも、財政目的以外の積極的な社会的・経済的政策を追求するものではない。

租税立法者自身の(立場・考え方)の整理がうかがえるものとしてあるのが、
租税特別措置の適用状況の透明化に関する法律(以下「租特透明化法」)にいう「租税特別措置」(措法2-1-1)の定義である。
同法の委任を受けた措法施行令第1条は、租税特別措置法の規定のうち、租特透明化法による適用実態調査(措法施行令4条)の対象となりうる「租税特別措置」から除外されるものを列挙している。
・・・利子所得の分離課税(措法3条)、金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用(措法8条)、上場株式等に係る源泉徴収義務の特例(措法9の3の2)、長期及び短期の譲渡所得の特例(措法31、32)、一般株式等及び上場株式等に係る譲渡所得の課税の特例(措法37-10、37-11)がある。
これらは、税負担減少をもたらしうるものでありながら、「租税特別措置」から、除外されている。これらは、立法者自身によって、(必ずしも優遇を意図しない)「特別な課税方法の定め、、という位置づけを与えられているということであろうか。


2 租税特別措置法=時限的規定
  租税特別措置法のもう一つの特徴が、予め、既定の有効期間を明示した、「時限法という立法技術」である。
 租税特別措置法第1条は、「この法律は当分の間」、各税法の特例を定める、としている。
 しかしながら、これは、永久税主義に立つ租税法の中で、特に、租税特別措置法の全規定が暫定的なもの、という含みを持たせているように見える。しかしながら、これはおそらくは、租税特別措置法が設けられた沿革的な理由によるものであり、今日では、実質的な意味を失っていると思われる。
 そのような考え方に対して、一方では、租税特別措置法の個別の規定には、重ねて「当分の間」という文言を含む規定や、より具体的に「令和5年3月31日までの間に」というように終了期限を区切っている規定(教育資金の一括贈与に関する贈与税の特例など)が見られる。
 他方で、現行、租税特別措置法の制定以来、骨格部分が変更されていない規定(利子所得の源泉分離課税など)や、すでに導入から長い年月が経っている規定(贈与税の基礎控除の特例)のように、すでに、本法と一体化して税制の基本構造の一部を構成しているかのように思われる規定も存在する。
 「時限法」という観点からも、租税特別措置法の「雑居性」が目立つところである。

本日は、ここまでです。


   
プロフィール

日常生活に役立つ税務・法務、経営について
マイペースで、愛想ありません。 私の他のブログ;気のむくまままに 知識の提供の他に、私の普段の生活の中からのものを、 構えることなく、頻度多く、気ままに綴ってます。 1 気の向くままに 時事問題、趣味などで、日々の中から感じたこと・主張したいことを、別の視点で、人から嫌われても、違う角度でできるだけ簡易に発信したい 2 趣味の範囲ですが、 自分の中から、車の運転、音楽、釣り、読書、倫理・・・、などを取り上げるものとします。
リンク集
<< 2022年10月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
最新記事
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。