2013年07月26日
日常生活の中での税務と法務(その1)
日常生活の中での税務と法務(その1)
「日常生活の中での税務と法務」という、メルマガが、その昔あった。8年くらい前である。書いていたのは私だが、税理士になる前後のことで、「まぐまぐ」で書いた。「ナレッジサーブ」でも、書きました。
貸付を中心とした法務分野と、税理士試験レベルの問題を解いて見せたメルマガだったと、記憶している。
さて、「税理士稼業」です。
税理士は、資格を取っただけではダメ。お客様がいないとダメなのです。バラ色は、税務署出身者だけと思ってください。通常、顧客なる人いません。ご親戚も、自分の懐見せたがらず、顧客にはなりたがりません。更に悲しいことに、ご親戚の場合は、税理士報酬は、親戚相場です。7/26日経新聞でも、司法試験合格者の増加の「必要性はある」ものの、「実務をこなせない人が、単に試験に合格したというだけで、高給取りになれる」とするギルド社会は、容認できないと、書いてあります。
通常、合格後の仕事は顧客相手の相談相手、あるときは太鼓持ち、あるときは条文・判例相手だから、中身勝負、多彩であります。
ところで、
税理士は、血液型が「B型」・完璧を目指す人向きでありまして、実際、この血液型が多いとお見受けします。条文通りの話し方をなさります。あまり明るくなく、慎重だし、正確でないと怒る。「O(オー)型」の野村さんとは、相当に相性が悪い。税理士会の入会面接で、「あんたに、税理士などできるの」と、面と向かって言われた時は52才。本当に怒ったね、あの時は。やっと、資格を取れ、単に入会手続きに来ただけなのに・・・。大卒新人は、通常、入社面接で怒れば大物、多分不合格だろうね。私は、ちゃぶ台はひっくり返さなかったが、開き直って、「そんな事言われるために来たんじゃない。いいから、入会させてくれ。」と応酬し、睨み合ったのを、覚えている。とんでもない世界だと、入会前に既に、知りました。他方で、行政書士は、登録申請時、「よくいらっしゃいました。食事でも、ご一緒に・・・」と穏やかでした。
しかし、現実は、大変厳しい。その後、わかるのですが・・・。
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(所得税)
個人事業事業主、専従者、従業員が、旅行で4泊5日10万円以下、に行きました。必要経費には、どこまで算入できるのか。
(解答)
事業主は業務の必要に応じ、その参加することが従業員の引率が目的であった。その場合、個人事業者の分、役員・従業員(参加しない者除く)の費用は、福利厚生費としてよい(所得税・基本通達36−30)。この場合において、参加に代えて金銭を、不参加者に支給したり、役員だけ参加旅行の場合、の旅費負担は適用除外となる。この場合、適用除外となった旅費は、賞与を与えられたものとして取り扱われる(所得税・基本通達36−50)。更には、青色事業専従者の場合、専従者給与の賞与とはならない。(所得税法57条)
専従者とその家族専従者だけの旅行は、家族旅行とみなされ、家事費であり、必要経費(福利厚生費)に算入できない、とされている。
ただし、青色申告者で、会議を伴うものだったら、会議費にはならないのだろうか。グレイゾーンになりそうである。
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(相続税)
(例題)
相続財産が、土地しかない。相続人A,B,Cがいた。各人1/3ずつの相続である。
相続人Aは、何としても相続財産の土地が欲しくて、他の相続人に金銭を渡した。「代償分割」を考えたのだから、相続財産でない、「相続人Aの所有する自己資産」を与えた。物は、譲渡すれば、譲渡所得税がかかるため、金銭を交付したため、譲渡所得税は生じなかった。
●「法定相続人の間で、遺産分割を考えるが、相続税の基礎控除額の範囲内の相続財産しかない。この場合、相続人の間で分割する場合には、どのように分割しようと、相続税は発生しない。また、いったん所有権登記をし、その後、他の相続人に贈与しななければ、贈与税の問題も生じない」が基本である。
●「現物分割」、「換価分割」、「代償分割」・・・「遺産分割の方法」、として考えられる。
cf.「遺産分割方法」・・・
(1)「現物分割」・・・相続財産そのものを分割する方法。
(2)「換価分割」・・・相続財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法。
(3)「代償分割」・・・共同相続人の一人または数人に相続財産を取得させ、他の共同相続人に対しては、相続財産取得者が代償として代償金を支払う分割方法。
(4)「共有分割」・・・相続財産の全部又は一部を共同相続人全員の共有とする方法。
(5)「用益権を設定する分割・・・共同相続人のある者が、相続財産を取得する代わりに、他の共同相続人に借地権等を設定させる方法。
例題;「代償分割」
●代償債務の額×(代償分割財産の、相続税評価額 / 時価)
相続財産が、土地しかない。相続人A,B,Cがいた。各人1/3ずつの相続である。
時価10億円、相続税評価額8億円。
Aは「代償分割」することを考え、Bに3億円、Cに2億円、現金で、支払った。
(「代償分割」の計算)・・・下記@またはA、でする。
@手取り分でする方法;A→8−3−2=3億円。B→3億円。C→2億円。
A時価基準でする方法;
B→3億円×(8億円/10億円)=2.4億円
C→2億円×(8億円/10億円)=1.6億円
A→時価ベース;(10−3−2)億円×(8億円/10億円)
=8億円―2.4億円―1.6億円=4億円。 ∴合計8億円
=========
(死亡保険金)
(前提)
相続に、保険を使う「相続税対策」である。「基本中の基本」であるため、ご確認願う。
被相続人 夫(=死亡者)A、妻B、子Cとする。
(1)保険契約者(=保険料支払者)A,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人A
・・・死亡保険金は、「相続財産」・・・この「契約形態」は実体がなく、減少しているらしい。
(2)保険契約者(=保険料支払者)A,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人B(又はC)
・・・死亡保険金は、「相続財産」・・・B(又はC)の固有の財産である。B(又はC)が相続放棄しても、B(又はC)は死亡保険金を受け取れるが、「相続人の保険金非課税枠」は適用ならない。。
(3)保険契約者(=保険料支払者)C,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人C
・・・死亡保険金は、Cの「一時所得」(所得税対象)。
これを、活用して、「相続税」対策を考えることになる。Cは、負担することとなる相続税を、これで準備する。
(4)保険契約者(=保険料支払者)B,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人C
・・・死亡保険金は、BからCへの「贈与財産」(贈与税対象)となる。
●保険金の受取人は誰か・・・相続税法上の保険金受取人の意義
「相続税法基本通達3−11」において、「保険契約上の保険金受取人」を、保険事故発生時に、保険金を受け取る者、としている。
しかしながら、「同基本通達3−12」に、その名義人にこだわらずに真実の受取人が誰であるかを重視して、名義変更がされていなかったことにやむをえない事情があること、保険金を受け取ることに相当の理由があると認められるときは、現実に保険金を取得した者を受取人とする、としている。
「死亡保険金の受取人」は、「保険金受取人の、自己の固有の権利として取得するもの」であり、保険契約者、被保険者から「承継取得」したものではなく、「これらの者の相続財産を構成するものでない」としている。「生命保険金の受取人」を遺言により、変更することはできず、変更は、「保険金自体の受取人変更手続き」を経なければならない、とした「判例」がある。
=========
それでは、また。
(Promotion)
なお、当社の本支店の、経営・税務・法務の相談窓口を活用し、
客観的な意見、指導を受けていただければ、幸甚に存じます。
参考文献;ぎょうせい 「相続税の理論と実務」
ぎょうせい 「難問事案のさばき方」
「日常生活の中での税務と法務」という、メルマガが、その昔あった。8年くらい前である。書いていたのは私だが、税理士になる前後のことで、「まぐまぐ」で書いた。「ナレッジサーブ」でも、書きました。
貸付を中心とした法務分野と、税理士試験レベルの問題を解いて見せたメルマガだったと、記憶している。
さて、「税理士稼業」です。
税理士は、資格を取っただけではダメ。お客様がいないとダメなのです。バラ色は、税務署出身者だけと思ってください。通常、顧客なる人いません。ご親戚も、自分の懐見せたがらず、顧客にはなりたがりません。更に悲しいことに、ご親戚の場合は、税理士報酬は、親戚相場です。7/26日経新聞でも、司法試験合格者の増加の「必要性はある」ものの、「実務をこなせない人が、単に試験に合格したというだけで、高給取りになれる」とするギルド社会は、容認できないと、書いてあります。
通常、合格後の仕事は顧客相手の相談相手、あるときは太鼓持ち、あるときは条文・判例相手だから、中身勝負、多彩であります。
ところで、
税理士は、血液型が「B型」・完璧を目指す人向きでありまして、実際、この血液型が多いとお見受けします。条文通りの話し方をなさります。あまり明るくなく、慎重だし、正確でないと怒る。「O(オー)型」の野村さんとは、相当に相性が悪い。税理士会の入会面接で、「あんたに、税理士などできるの」と、面と向かって言われた時は52才。本当に怒ったね、あの時は。やっと、資格を取れ、単に入会手続きに来ただけなのに・・・。大卒新人は、通常、入社面接で怒れば大物、多分不合格だろうね。私は、ちゃぶ台はひっくり返さなかったが、開き直って、「そんな事言われるために来たんじゃない。いいから、入会させてくれ。」と応酬し、睨み合ったのを、覚えている。とんでもない世界だと、入会前に既に、知りました。他方で、行政書士は、登録申請時、「よくいらっしゃいました。食事でも、ご一緒に・・・」と穏やかでした。
しかし、現実は、大変厳しい。その後、わかるのですが・・・。
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(所得税)
個人事業事業主、専従者、従業員が、旅行で4泊5日10万円以下、に行きました。必要経費には、どこまで算入できるのか。
(解答)
事業主は業務の必要に応じ、その参加することが従業員の引率が目的であった。その場合、個人事業者の分、役員・従業員(参加しない者除く)の費用は、福利厚生費としてよい(所得税・基本通達36−30)。この場合において、参加に代えて金銭を、不参加者に支給したり、役員だけ参加旅行の場合、の旅費負担は適用除外となる。この場合、適用除外となった旅費は、賞与を与えられたものとして取り扱われる(所得税・基本通達36−50)。更には、青色事業専従者の場合、専従者給与の賞与とはならない。(所得税法57条)
専従者とその家族専従者だけの旅行は、家族旅行とみなされ、家事費であり、必要経費(福利厚生費)に算入できない、とされている。
ただし、青色申告者で、会議を伴うものだったら、会議費にはならないのだろうか。グレイゾーンになりそうである。
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(相続税)
(例題)
相続財産が、土地しかない。相続人A,B,Cがいた。各人1/3ずつの相続である。
相続人Aは、何としても相続財産の土地が欲しくて、他の相続人に金銭を渡した。「代償分割」を考えたのだから、相続財産でない、「相続人Aの所有する自己資産」を与えた。物は、譲渡すれば、譲渡所得税がかかるため、金銭を交付したため、譲渡所得税は生じなかった。
●「法定相続人の間で、遺産分割を考えるが、相続税の基礎控除額の範囲内の相続財産しかない。この場合、相続人の間で分割する場合には、どのように分割しようと、相続税は発生しない。また、いったん所有権登記をし、その後、他の相続人に贈与しななければ、贈与税の問題も生じない」が基本である。
●「現物分割」、「換価分割」、「代償分割」・・・「遺産分割の方法」、として考えられる。
cf.「遺産分割方法」・・・
(1)「現物分割」・・・相続財産そのものを分割する方法。
(2)「換価分割」・・・相続財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法。
(3)「代償分割」・・・共同相続人の一人または数人に相続財産を取得させ、他の共同相続人に対しては、相続財産取得者が代償として代償金を支払う分割方法。
(4)「共有分割」・・・相続財産の全部又は一部を共同相続人全員の共有とする方法。
(5)「用益権を設定する分割・・・共同相続人のある者が、相続財産を取得する代わりに、他の共同相続人に借地権等を設定させる方法。
例題;「代償分割」
●代償債務の額×(代償分割財産の、相続税評価額 / 時価)
相続財産が、土地しかない。相続人A,B,Cがいた。各人1/3ずつの相続である。
時価10億円、相続税評価額8億円。
Aは「代償分割」することを考え、Bに3億円、Cに2億円、現金で、支払った。
(「代償分割」の計算)・・・下記@またはA、でする。
@手取り分でする方法;A→8−3−2=3億円。B→3億円。C→2億円。
A時価基準でする方法;
B→3億円×(8億円/10億円)=2.4億円
C→2億円×(8億円/10億円)=1.6億円
A→時価ベース;(10−3−2)億円×(8億円/10億円)
=8億円―2.4億円―1.6億円=4億円。 ∴合計8億円
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(死亡保険金)
(前提)
相続に、保険を使う「相続税対策」である。「基本中の基本」であるため、ご確認願う。
被相続人 夫(=死亡者)A、妻B、子Cとする。
(1)保険契約者(=保険料支払者)A,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人A
・・・死亡保険金は、「相続財産」・・・この「契約形態」は実体がなく、減少しているらしい。
(2)保険契約者(=保険料支払者)A,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人B(又はC)
・・・死亡保険金は、「相続財産」・・・B(又はC)の固有の財産である。B(又はC)が相続放棄しても、B(又はC)は死亡保険金を受け取れるが、「相続人の保険金非課税枠」は適用ならない。。
(3)保険契約者(=保険料支払者)C,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人C
・・・死亡保険金は、Cの「一時所得」(所得税対象)。
これを、活用して、「相続税」対策を考えることになる。Cは、負担することとなる相続税を、これで準備する。
(4)保険契約者(=保険料支払者)B,被保険者(=保険の対象者)A、
死亡保険金受取人C
・・・死亡保険金は、BからCへの「贈与財産」(贈与税対象)となる。
●保険金の受取人は誰か・・・相続税法上の保険金受取人の意義
「相続税法基本通達3−11」において、「保険契約上の保険金受取人」を、保険事故発生時に、保険金を受け取る者、としている。
しかしながら、「同基本通達3−12」に、その名義人にこだわらずに真実の受取人が誰であるかを重視して、名義変更がされていなかったことにやむをえない事情があること、保険金を受け取ることに相当の理由があると認められるときは、現実に保険金を取得した者を受取人とする、としている。
「死亡保険金の受取人」は、「保険金受取人の、自己の固有の権利として取得するもの」であり、保険契約者、被保険者から「承継取得」したものではなく、「これらの者の相続財産を構成するものでない」としている。「生命保険金の受取人」を遺言により、変更することはできず、変更は、「保険金自体の受取人変更手続き」を経なければならない、とした「判例」がある。
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それでは、また。
(Promotion)
なお、当社の本支店の、経営・税務・法務の相談窓口を活用し、
客観的な意見、指導を受けていただければ、幸甚に存じます。
参考文献;ぎょうせい 「相続税の理論と実務」
ぎょうせい 「難問事案のさばき方」
投稿者:日常生活に役立つ税務・法務、経営について|11:30