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租税特別措置法について(その2)

租税特別措置法について(その2)

引用文献;ZEIKEN 税研 2022年1月  P27-P67 

上記資料の要約から、「租税特別措置法」について、検討している。
私見は殆どなく、内容は、文献から引用でしている。
これをすることで、意義の確認などを通じて、私自身の知識の整理をしようとするものである。

3 租税特別措置法への着目

政府税調の「昭和51年度の税制改正に関する答申」(昭和50年12月23日)における答申では、「租税特別措置」の定義自体は、学説と大差はない。
しかしながら、下記の通り、定義・整理されている。

(イ) 特定の政策目的に資するという租税政策上の配慮がなかったとすれば、税負担の公平その他の税制の基本原則からは認め難いと考えられる、実質的な意味での特別措置(以下、便宜「政策税制」という。)
(ロ) それ以外の税制、すなわち、政策税制とは異なり、税制の基本的原則から見て、所得税法、法人税法等の本法に規定されてしかるべき制度、及び現在のところ租税特別措置法に規定されてはいるものの、いずれは本法に吸収されてしかるべきであると考える制度

この場合、学説でいう、租税特別措置ないし政策税制という評価とは別に、「ある規定を(本法ではなく)租税特別措置法に置くという租税立法者の選択」が持つ「法的な意味は何か」という論点が、導き出される。
ある規定を「特別措置」「(租税政策以外の)政策目的規定」ととらえることには、租税法理論に照らした評価の契機が伴う。これ自体、見解の対立を含み得る。
 このような理論的分析とは別に、実定法上、「本法」と「特別措置」を区別する理由は何かという観点からの検討を試みたい。
ちなみに、米国の租税支出論が、本法と特別措置法の区別を持たない米国連邦税制=内国歳入法典の批判的分析のための手法であったことを、想起していただきたい。


U 租税特別措置法の性格

1 租税特別措置法=例外的規定
  租税特別措置法における典型的な規定の例は、特定の政策目的のために、本則の税負担を軽減・免除することで、納税者の行動に誘因をあたえようとするもの」である。

一方で、「〜の規定に係わらず」として本則規定を明示した上での例外を定める例もある(措置法26条1項 社会保険診療報酬の所得計算の特例)があり、他には、必ずしも明示されない場合(措法41条 住宅ローン税額控除制度)がある。

他方で、租税負担の軽減を生じさせる面もあるが、誘導目的が必ずしも明確ではなく(更には、直接の補助金との代替も容易ではなく)「むしろ、原則的な課税方法を技術的に代替している」ものと評価される規定も数多く含まれる。
これの例示として、金融所得の一律源泉分離課税、租税回避に対する個別的否認規定とされるものが租税特別措置法にはある。措置法41条の4第2項にある、不動産所得の計算上生じた損失の金額の中に、土地等を取得するためにした借入金の負債利子がある場合、その金額は損益通算の対象外で、「生じなかったものとみなす」という規定がある。措置法66条の6にある、外国子会社合算税制も租税特別措置法に置かれた、個別的否認規定であるとされている。
これらの規定は、本法が定める課税の基本構造(例えば、実現主義、法人格単位での課税、国外所得への課税管轄の制限等)が、納税者に、租税回避のインセンティブを与えることに鑑み、これを打ち消すための制度とみることができる。本法との関係はさておき、少なくとも、財政目的以外の積極的な社会的・経済的政策を追求するものではない。

租税立法者自身の(立場・考え方)の整理がうかがえるものとしてあるのが、
租税特別措置の適用状況の透明化に関する法律(以下「租特透明化法」)にいう「租税特別措置」(措法2-1-1)の定義である。
同法の委任を受けた措法施行令第1条は、租税特別措置法の規定のうち、租特透明化法による適用実態調査(措法施行令4条)の対象となりうる「租税特別措置」から除外されるものを列挙している。
・・・利子所得の分離課税(措法3条)、金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用(措法8条)、上場株式等に係る源泉徴収義務の特例(措法9の3の2)、長期及び短期の譲渡所得の特例(措法31、32)、一般株式等及び上場株式等に係る譲渡所得の課税の特例(措法37-10、37-11)がある。
これらは、税負担減少をもたらしうるものでありながら、「租税特別措置」から、除外されている。これらは、立法者自身によって、(必ずしも優遇を意図しない)「特別な課税方法の定め、、という位置づけを与えられているということであろうか。


2 租税特別措置法=時限的規定
  租税特別措置法のもう一つの特徴が、予め、既定の有効期間を明示した、「時限法という立法技術」である。
 租税特別措置法第1条は、「この法律は当分の間」、各税法の特例を定める、としている。
 しかしながら、これは、永久税主義に立つ租税法の中で、特に、租税特別措置法の全規定が暫定的なもの、という含みを持たせているように見える。しかしながら、これはおそらくは、租税特別措置法が設けられた沿革的な理由によるものであり、今日では、実質的な意味を失っていると思われる。
 そのような考え方に対して、一方では、租税特別措置法の個別の規定には、重ねて「当分の間」という文言を含む規定や、より具体的に「令和5年3月31日までの間に」というように終了期限を区切っている規定(教育資金の一括贈与に関する贈与税の特例など)が見られる。
 他方で、現行、租税特別措置法の制定以来、骨格部分が変更されていない規定(利子所得の源泉分離課税など)や、すでに導入から長い年月が経っている規定(贈与税の基礎控除の特例)のように、すでに、本法と一体化して税制の基本構造の一部を構成しているかのように思われる規定も存在する。
 「時限法」という観点からも、租税特別措置法の「雑居性」が目立つところである。

本日は、ここまでです。



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