2017年04月28日
香りで病気を防ぐ 森の香りフィトンチッド・アロマ自然のカラダケア
ちょっとリラックスしたいとき、自然の香りをかぐだけで、自然の中にいるのと同様の効果が得られるのだという。
これには科学的な根拠があった。植物が放出する香り成分「フィトンチッド」がストレスホルモンや血圧を低下させ、さらに、免疫力も強化するという。
□森林浴のリラックス効果はなぜ?
森林浴によるリラックス効果は、樹木の香りや緑の色などによる精神的な影響だと考えられてきた。もし、樹木の香りの中にリラックス効果のある成分が発見されれば、その香りをかぐだけでも森林浴をするのと同じような効果が期待できることになるのだが、そのような成分は発見されていなかった。
香りの中にはさまざまな成分が含まれているため、実際にどの香り成分がリラックス効果を与えているのかを特定するのかが難しいというのもその理由だ。
□いつでもリラックスできる香り成分フィトンチッド
日本医科大学の研究者は、植物の香り成分「フィトンチッド」に着目し、この成分にはストレスホルモンの低下や血圧の低下などの効果があり、森林浴と同様に私たちをリラックスさせることを明らかにした。
フィトンチッドは植物が傷つくとそこから放出される成分で、周囲の細菌などの発育を抑えることから「植物の免疫」ともいえる。面白いことに、フィトンチッドは人の免疫も強くするという。
□植物の香り成分「フィトンチッドは人間の免疫も強化
私たちの体に侵入した微生物や、異常な増殖を続けるがん細胞を異物と判断して直接攻撃をするのだ。
この免疫の特攻部隊「ナチュラルキラー細胞」は、フィトンチッドによってより活性化される。そして、このような効果を得るには、必ずしも森林浴をする必要はなく、フィトンチッドの香りをかぐだけで十分だということを、研究グループは明らかにした。
□アロマのススメ
フィトンチッドのリラックス効果のように、香りは、心を落ち着かせる、気分をよくする、頭をスッキリさせるといったさまざまな効果を私たちにもたらしてくれる。
例えば、ペパーミント、ローズマリー、柑橘(かんきつ)類、バジルなどの香りには覚醒作用があり、逆に、ラベンダー、クラリセージ、サンダルウッドなどの香りには沈静作用がある成分が含まれている(※3)。
アロマテラピー(芳香療法)には非常にたくさんの種類があり、組み合わせ次第でその効能もより広がる。ぜひとも日常生活に取り入れ、楽しみながら健康になっていただきたい。眠る前のリラックスなどにアロマを活用すれば、より深く良質な眠りを誘導することができるだろう。
□心地よく感じる香りがあなたにとって最良
ただし、香りは人によって好みが異なる。ある人にとっては心地よく感じる香りでも、ほかの人にとっては不愉快な気分になることもある。たとえ、リラックス効果が高いとされていても、好ましく感じなければ使わないほうがよい。逆にストレスがたまってしまう可能性もあるからだ。
もし、普段から香りを楽しむ習慣をまだお持ちでないなら、趣味の一つ、習慣の一つとして、アロマを始めてみてはいかがだろうか?
まずは、どの香りにどんな効果があるかといった難しいことは考えず、何種類か好きな香りを試してみることだ。自分にあった香りのレパートリーを持つことで、さまざまなシーンで香りを有効に使うことができるだろう。