2017年04月03日
30年後の自分に睡眠投資。中年期によく寝た人は将来の記憶力が良い
まだ、お肌のシミやシワに悩んでいなかった20代前半の頃。化粧品売り場で言われた言葉をよく記憶している。ほんの少ししか入っていないのに1万円もする美白用美容液を買うか買わないか―。
□中年世代だからかこそ、将来に向けて睡眠投資を?
「今はシミやシワがないから必要ないと思っていらっしゃるかもしれませんが、今から対策をしておくことが大切なんです。将来のお肌への“投資”だと思ってくださいね」と。買わせたいだけでしょ。そう思った筆者は「今は必要ない」と判断して買わなかった。そして40代になった今、あの時“投資”しておけば…と後悔する日々である。
さて、将来の肌への投資が必要なのは何も若者だけではない。中年世代になった今、その後の将来のために“投資”しておくべきものがある。睡眠だ。
□今のうちに睡眠をしっかりとっておこう 将来の記憶力に“投資”
睡眠は学習能力や記憶力を向上させることは、よく知られている。しかし、そうした記憶力は年齢とともに、どうしても衰えていくものだ。
アメリカ・テキサス州のベイラー大学で神経科学などが専門のマイケル・スカリン助教授は、30代から60代の中年期によく寝ていた人は28年後の記憶力や思考能力といった精神機能が良いという研究結果を明らかにした。
□今日の睡眠。明日のためでもあるけれど、30年後のためでもある
今夜寝るのは、今のためではなく、将来のために寝るという考え方だ。
30代や40代で、加齢に伴う深刻な記憶力低下や認知能力の低下に悩む人は、それほどいないはずだ。今は、確かに、記憶力の向上のために寝る必要なないと思うかもしれない。しかしこれは、シミやシワと同じ話だ。将来の記憶力向上のために、今、寝るべきなのだ。
□中年世代の睡眠時間は7時間がベスト
「よく寝る」と言っても、注意点がある。睡眠時間は多すぎてもダメなのだ。アメリカ・ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究チームは、脳卒中やうつ病を発症していない70歳以上の女性を対象に記憶力の調査を行った。
その結果、中年期に1日の平均睡眠時間が5時間以下、または9時間以上だった人は、1日平均7時間睡眠を取っていた人よりも、記憶力年齢が2歳分老化していることが分かった。
睡眠時間は少ないのがダメなのはよく知られているが、多すぎてもダメなのだ。7時間がベストということだ。
20代の美白美容液の一件以来、筆者も今は必要なくても将来のための投資は時には大切だと考えるようになった。70代、80代の自分のことを考えて、今から理想的な睡眠時間を実践しようと考えている。