2017年04月01日
外より家の空気が汚い!? 日本でも年間4万人が室内空気汚染で死亡
PM2.5や黄砂などによる健康被害が心配で、外に出るときにはマスクをしている方もいるかもしれない。ところが、「部屋の空気は外の空気より汚染されている」ことが多いのをご存じだろうか。
そんなはずはない、と思っても無理はない。外には自動車の排出ガスや工場による大気汚染もある。健康にとっては脅威となる汚染があることは、よく知られている。
しかし家の中の空気汚染源も、実は多くある。建材や家具からの化学物質、石油ヒーター、たばこの煙、殺虫剤、調理排気などだ。
都会に住む人は1日のうちの90%の時間を室内で過ごすと言われている。もし、屋外よりも屋内の方が空気が汚れているのだとしたら、より長時間空気汚染にさらされていることになる。
□実はかなり怖い屋内空気汚染。命に関わることも
にわかには信じがたいかもしれないが、実は世界的に見ても、屋外汚染よりも屋内汚染による死者の方が多い。
世界保健機関(WHO)は2012年の大気汚染による死者が、世界で700万人に上ったとの推計を発表した。屋内の空気汚染による死者は430万人で、屋外は370万人との分析だ。日本人の屋内空気汚染による死者は約4万人と推定される。
空気の汚染で引き起こされる疾患は、屋内では脳卒中・発作が34%で最多で、虚血性の心臓疾患が26%と続いた。
□新築やリフォームでシックハウス症候群
屋内の汚染で問題になるものに、化学物質がある。新築やリフォームしたばかりの家では、「目がチカチカする」「頭やのどが痛い」「めまいや吐き気がする」などの症状が出て調子が悪くなる「シックハウス症候群」になりやすい。
壁や床の建材や壁紙の接着剤、塗料、防腐剤などから「ホルムアルデヒド」や「揮発性有機化合物(VOC)」などの化学物質が出ているのだ。呼吸器障害、中枢神経障害、吐き気、頭痛、めまいなどの症状の原因となり、発ガン性があるともいわれている。
現代の家は省エネなどの観点から高気密住宅が多いため、化学物質が充満しても排出されにくいことも原因だ。
人間は環境化学物質の83%を空気(肺)から取り込んでいる。食品からは7%、飲料からは8%にすぎない。うれしいはずの新築やリフォームで、体調を崩すのは悲しい。きれいな空気を吸えるように、できるだけ空気を汚さない建材などを選んだ方がいいのだ。
□リアルタイムに空気の質を監視し浄化しよう
すぐにできる対策としては、窓を開けたり、換気扇を回したり、と常に空気が循環するようにするのは有効な手立てのひとつかもしれない。
また部屋の空気の汚れを、数値化してリアルタイムにモニターするなど、テクノロジーの発展もまた、より良い室内環境に貢献してくれるだろう。最新のテクノロジーを活用した空気清浄機では、スマートデバイスと連携して空気の汚れをモニターして浄化できるものも開発されている。
安心なはずの屋内で、こんなにも体に有害なものを取り込んでいるとは、驚きの結果だったかもしれない。しかし、手をこまねいてばかりもいられない。まずは部屋の換気をして、部屋の中に充満している空気の入れ替えをしよう。