2016年01月16日
海藻を消化できるのは、日本人だけって本当?
海苔にコンブにワカメにヒジキ……私たち日本人の食卓に海藻は欠かせない存在といえます。
しかし、海外では海藻を食べる文化はあまりないということをご存知でしょうか?今回は、海藻と私たち日本人の深い関係について、医師に詳しく解説していただきました。
■ 海藻を消化吸収できるのは日本人だけ!?
海藻を習慣的に食べるのは日本人くらいですが、下痢や腹痛などの胃腸障害も起こさずに食べられるのは先祖から受け継いだ体質だけではなく、海藻を消化吸収するための特殊な酵素を持っている細菌を日本人が持っているためであることが最近の研究でわかりました。
今のところはこの細菌は日本人の腸からしか見つかっていませんし、この細菌によって数種類の海藻、特に海苔を消化吸収することができます。
■ 日本人以外が海苔を大量に食べると下痢をする?
なぜ日本人だけがこの細菌を持っているかというと、大昔から日本人は海苔を食べていたので、徐々に海苔を消化吸収する酵素を持ったこの細菌を取得したと考えられています。
海苔を食べるのが少量ならこの細菌を持っていなくても問題はありませんが、この細菌を持っていない人が海苔を大量に食べると下痢をする可能性があります。今のところ欧米人の腸にはこの細菌がいませんが、今後日本人と同じくらいに海苔を食べ続けていけば、日本人と同様に欧米人も海苔を消化吸収するこの細菌を取得できる可能性があります。ただし、どのくらいの時間が必要かについては定かではありません。
■ 細菌を腸に移植することができる!?
あるいはこの細菌を腸に移植するという方法があります。欧米ではある種の腸の病気を治療するために細菌を腸に移植する方法がすでに行われていますので、どうしても海苔を消化吸収する必要があれば、この細菌を移植することで海苔を消化吸収できるようになります。
ただし、細菌の移植が成功しても、腸の中の環境によってどれくらい長い間移植した細菌が定着できるかどうかははっきりしていませんし、移植した細菌がうまく働いてくれるかどうかもはっきりしていません。
腸の中の環境がこの細菌に適さない、あるいはすでにいる腸内細菌との相性が悪ければ、移植しても短時間で駆逐されてしまうことがあります。
今後海苔等の海藻に含まれている成分が見直されてくれば、近い将来、日本人だけでなくすべての人種で海苔を食すようになり、消化吸収も可能になるかもしれませんね。