玉置浩二『LOVE SONG BLUE』五曲目、「SACRED LOVE」です。
いまさらなんですがWikipediaの『LOVE SONG BLUE』の項を読んで、参加ミュージシャンの情報が事細かリンクされていることに驚愕しました。遅い!湊さんが参加しているのを知って大喜び&ドヤ顔で書き散らしてしまってから気づいても遅すぎる!すでに後のカーニバル!なんてこった……そんなわけで、参加ミュージシャンの情報はぜひ上記リンクからWikipediaをご覧ください!
それでですね、そのWikipediaのページにはこの「SACRED LOVE」のことも少し書かれているのですが、なんでも、関テレのサスペンスドラマで使われたそうなのです。全然知らなかった!なんということだ……「情熱」が火曜サスペンスで使われていたとか、筑紫哲也のニュース番組で「メロディー」が流れていたとか、ちょぼちょぼとテレビで観たことはあったのですが、何せテレビ、地上波放送、たまたま見かけるか雑誌で事前に情報をキャッチして待つ以外にはなかったのです。不便だったというか贅沢だったというか……。
この曲には、もうふたつ情報があります。なんでも盲導犬が亡くなった飼い主を偲んでいる歌だと……個人のtwitterですのでリンクはなんとなく悪い気がしてしまいますが(無断リンク禁止世代、謎の文化)、簡単に検索できます。もうひとつは、今上陛下がご結婚なさったとき(まだ皇太子の時代)の特集番組で玉置さんがこの曲を歌ったというものです。なんか皇室がらみであったよなーと覚えていたんですが、あらためて検索して当時の状況がある程度わかりました。陛下の結婚ってよく覚えているのですが93年6月でしたよ。まだ『カリント工場の煙突の上に』が発売される前ですが、そのときにはすでにこの曲があったわけです。まあ、そりゃそうです、アルバムが発売寸前ですからね、もうミキシングマスタリングもほぼ終えていて、次作の作成にとりかかっている時期であるのはごく自然であると思われます。ですが、それにしてもこのアルバム作成期間中でかなり初期に作られた曲であるのは間違いなさそうです。
そんなわけで、『カリント工場の煙突の上に』からの連続性を感じさせるガットギターを主体としたバラードです。ですが、『カリント工場の煙突の上に』全体を支配していた内省とか望郷とかはほぼ感じられません。ですからどんなに遅くとも93年6月の時点では(「ひとりぼっちのエール」発売からわずか四か月!)すでに玉置さんは次のステップに向けて力強く歩みを始めていたのです。そんなの逆算して考えればわかるだろって思うかもわかりませんが、わかんないんですよ!当時は情報媒体少ないんで、たまたま情報に出会ったときにしか想像力が働かないんです。洋楽みたいにライナーノーツつければいいのに(MASA伊藤「泣くがいい!声を上げて泣くがいい!」)。
さて曲はエレピとガットギターのアルペジオでしめやかに始まります。玉置さんのボーカルが入ると間もなくごくごく小さい音でストリングスが入り、それがだんだん大きくなるにつれて曲が盛り上がります。このあたり、『あこがれ』や『カリント工場の煙突の上に』から受け継がれた手法ですね。ですが、当時にはほとんどなかった要素としてパーカッションがあります。間奏の終わりにティンパニ、そのあとスネアが入る箇所があるんですが、これはドラムセットをあやつるドラマーでなく、ホアチョさんと高田みどりさんで……まったく役割分担がわかりませんが、ひどく効果的です。また、Vc Solo……チェロですね、オーケストラのスコアでVcと書かれるようです。チェロ?どこに入っているんだろう?二番の裏にずっと全音符で入っている音……しかそれにあたるものがないんですが、これチェロの音?オーボエに聴こえるんですが……チェロも高い弦だとこういうふうに聴こえるんでしょうか、謎です。このように、『カリント工場の煙突の上に』のサウンドを踏襲しつつも以前とは異なるさまざまな要素が盛り込まれており(正確には一人でやっていたのを、いろいろな人を起用するようになった)、玉置さんの回復ぶりを感じられるように思います。
さて、歌ですが……切々と歌われます。当時歌詞カードを一読して、わたくしまったくこの曲に期待しておりませんでした。あまり詩情を感じなかったのです。安全地帯の頃や須藤さんの書いた『あこがれ』は、歌詞をみてまずウワーッと感動し、そのあとで玉置さんの歌を聴いてヌオーッと倒れるのが恒例でしたから、このアルバムには正直その時点であまり期待していなかったのです。やっぱ松井さん須藤さんに書いてもらったほうがいいよ、とか無礼千万なことを思っていたわけです。
で、本アルバムここまでの曲と同様、この曲も歌詞を読んだだけでは到底わからない、玉置さんの歌による玉置さんの詞のパワーをまともにくらいました。「いつも逢えるの」「ときどき逢えるの」「〜逢えないの」「〜逢いたいの」……、な、なんだ!この寂寥感は!ただごとじゃないぞ!泰山天狼拳かよ!
「暗い夜明け」って夜明けなのに暗い?ああ、そうか「凍えそうな真夏」だから、早朝の、まだ日が昇る前だ、それにしたって凍えそうってことはないだろ……でも玉置さんの「こーごーえそーうなー」は本気で凍えそうだぞ……なんだかよくわからないけど歌の力で強引に納得させられた感がハンパではありません。玉置さんのガットギターで弾かれるソロも、なんと淋しく、そして寒いことか。わたくしこのアルバムを買うために年末年始の食費をギリギリにおさえた話はすでに書きましたが、よく考えたら灯油代は計算に入っていませんで(笑)、毛布をかぶりながら聴きました。94年の冬はとにかく寒かったのです。そんな中バイクが盗難未遂に遭って剃りの入ったヤングボーイを懲らしめたら次の日にはオイルタンクに砂を入れられているなど、とにかく散々な冬だったのです。ですから、このアルバム、とりわけこの曲はあの冬の寒さの記憶と分かちがたく結びつき、今でもこの曲を聴くと少し寒気がするほどに強烈に心に食い込んできたボーカルと、それにドンピシャの歌詞、へたすると気合で遺伝子にまでねじ込まれているんじゃないかと思うくらいの強烈なことばとリズムの複合体でした。リズム、譜割が松井さんや須藤さんと異なりますんで、最初はなんだかのっぺりとして聴こえたんですよ。だからこそだったんでしょうね、「心にあるのは」「愛の日の永遠を」のように上下の激しいメロディーがより直接的に胸を打つんです。
さて、「僕」が盲導犬なのか玉置さん本人なのかはおいといても、この切々とした慕情は、家族かそれに近いくらい傍にいた人(など)に向けられるものであることは明らかです。そして、「いつも〜」からのだんだん遠くなる距離感の中での愛しぶりは、それこそ犬なんじゃないかってくらい素朴でこの上なく美しいものです。
真夏の夜明け前に、幸せだって歌っていた「君」と、愛は永遠なんだこんな日がずっと続くんだって、それこそ誓ったというくらいに強く信じた「僕」の愛は、まぎれもなくSACRED神聖にして不可侵なるものであるといえるでしょう。
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あれから30年ですねえ。そんなに経ちましたか。あの頃とあんまり変わってない気がしつつも、思い切り変わってますね。陛下もまだ皇太子になって数年でお若かったです。あの頃、昭和天皇にパチンコ打ったら逮捕された昔の事件を知って、天皇と一般人とで違う罪になったら不敬罪だよなあこれは大問題だ、などと考えてたことを思いだします。いまはどうでもいいので(笑)、やっぱりわたくし若かったんだと思います。玉置さんは見逃しました。
音楽は人を変える……わたくしもそう信じる一人なのですが、サブスクなどでオススメにしか手を伸ばさない、しかもイヤホンで自分だけで聴いてちゃダメだろうな、と思います。カテドラルとかテスタメントとかの凶悪な音楽を私の家のコンポで大音量でかけながら信長の野望に興じる友人(ドラマー)のおかげで、だいぶ視野が広がったものです。当時は迷惑でしたけど(笑)。というかなんでわざわざ俺んちで開封するんだよと思ってましたが、わたしがメイン作曲者だったので、あれは自分好みの音楽をわたしに作らせて演奏するためだったのかもしれません。
安全地帯地上波放送今夜です。
無事と言いますか沖縄県での玉置さんコンサートも中止にはならなかったようで何より安全対策を祈り求めます。
セイクレッドラブ。たまたま、明日は丁度令和天皇の御成婚から30年のおめでたい日でしょうか。セイクレッドラブを確か玉置さんは白いスーツで記念番組で唄いました。30年もあのときからたったのが、ほんの数秒?であるかのように、時計の針は残酷に無残に過ぎています。
音楽とかには心をかえるちからがあると思うので、それに酔いしれながら生きます。深い海でイルカと触れ合うイメージが合いそうです。
ぜひ買って寝室に置きたいです!ヨドバシとかの量販店でも買えます?オラワクワクしてきたぞ!
情報少なくてすみません笑
お店の中では一番安くて全然機能も付いてなかったです
(^_^)/
この曲でお眠りになれるのはよくわかります。たぶんわたしもこの曲で何回も気を失っていると思います。心地よさがものすごい説得力ですよね。
6000円?別に安くないと思うんですが……ヘッドホンでなくて?なんだかすごい情報のような気がしてきましたよ!(笑)
私はこの歌聴いたらめっちゃ良くて寝てしまいます!
サビのところのビブラートきれいですよね!!お店で視聴してみたら、安い機械が一番キレイにそのまま聴こえました。6000円くらいの!!