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2019年01月16日

英語はチェコ語の学習に役立つか(正月十四日)



 これも、頂いたコメントに対する回答になるのだけど、先に結論から言ってしまえば、我があるかなきかの英語力では、チェコ語の勉強に役に立たなかった。ある外国語を別の外国語の勉強に役に立てるためには、基本的な辞書に出てくる言葉の意味ぐらいはすべて覚えていて、文法の説明を理解できるレベルの能力が必要になる。大学に入ってすぐ忘れた我が受験英語ではそんなところまではたどり着けるわけがない。
 チェコ語−英語の辞書をひいて出てきた英語の単語が理解できず、さらに英和辞典が必要になるぐらいなら、最初からチェコ語−日本語辞典をひいたほうがマシだし、ある程度チェコ語能力が付いてからならチェコ語−日本語辞典に載っていない単語は、チェコ語の辞典でひいた方が勉強にもなる。今なら、むしろ、チェコ語を使って英語を勉強する方が現実的である。今更そんな気はないけど。

 英語に堪能な人であれば、チェコ英、英チェコの辞書も充実しているし、教科書もチェコで書かれた外国人向けのものも含めてたくさん存在するから、英語をチェコ語の学習に役立てることもできるだろう。それでも、外国語で外国語の文法の説明を理解するというのは、普通の人にとっては至難の業のはずだから、日本語の教材を使いながら、英語のものを補助的に使うというのがいいと思うけれども。
 かつてサマースクールで勉強したときに使用した教材は、文法的な説明が英語で書かれたものだった。それでも何とかなったのは、日本語の教材で学習済みの内容だったのと、先生がチェコ語で丁寧に説明してくれたおかげである。練習問題の説明なんか英語で読んでもわからなかったけど、例があったので何とかなった。昔のサマースクール参加者は、英語話者でも、英語は使わずに必死でチェコ語で話していたから、皆で一緒につたないチェコ語で頑張れたという面もあるし。去年のサマースクールは、チェコ語がかなりできる人でも私的な会話は英語を使おうとする人が結構いて、ちょっと幻滅したけどね。

 英語が我がチェコ語の学習に役に立ったとしたら、それはかつて失敗した英語学習を反面教師にできたことぐらいである。発音に関しては、英語がよくできる人が英語の発音に引きづられて、なかなかチェコ語の発音を身に付けることができないのを見て、自分がアルファベットの羅列を見て、自動的に英語風に発音してしまうところまでは英語ができるようになっていなかったことに感謝した。英語の単語の読み方にかつて苦労した分、チェコ語のほぼローマ字読みという発音のルールは、英語の影響で苦労している人には申し訳なかったけど、ありがたかった。
 だから、日本人が、英語に頼らず、日本語、チェコ語のあわいで苦労しながらチェコ語を勉強するのは正しいと断言しておく。チェコ語を説明するのに英語を取り出してくるチェコ人の説明は、どこかずれていて、理解の妨げになることの方が多かったような気もする。そんな人に説明を求めることはほとんどなかったから、特殊な例かもしれないけど。

 チェコ語の学習において気をつけるべきこととしては、何だろう。先ず、最初に教科書で文法的に正しいチェコを身につけることを勧めておこう。最近の日本の外国語の学習は、会話重視で文法的な正確さを軽視する嫌いがあるけど、先に崩れたチェコ語を身につけてしまうと、読み書きには使えないし、正しいチェコ語に訂正するのは難しい。
 あとは、チェコ人の説明を信じすぎないことだろうか。プラハ方言(一般チェコ語とは言いたくない)が、テレビなどを通じてチェコ中に広まった結果、モラビアでも文法的に正しいチェコ語を使っていない、人によっては使えない人もいる。そんな人に説明させると、「by」の一人称複数が、「bysme」になったり、「mě」の発音が、「ムニェ」ではなく「ミェ」になったりする。地元の方言を教えてくれるのなら大歓迎なのだけどね。「sú」とか、「z kama」とかさ。
 独学とはいえ、チェコ人の知り合いがいるのなら、そのチェコ人の中から自分のチェコ語の規範にする人を選ぶのも悪くない。理想はチェコ語の先生のチェコ語なんだけど。我がチェコ語も師匠のチェコ語を規範にして作り上げたものだし、こんなチェコ語で話したいという目標はあったほうがいい。特に発音とか、言葉遣いなんかに関してはね。
2019年1月14日23時35分。 





日本人の9割に英語はいらない (祥伝社黄金文庫) [ 成毛眞 ]










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