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2019年01月28日

全豪オープン雑感(正月廿六日)



 全豪オープンが終わった。正確にはまだ日曜日の男子シングルスの決勝が残っているけれども、チェコ的には、今日の女子シングルスの決勝で終了である。大会開始前の時点の予想からすると、チェコの選手たちは、大活躍、大健闘と言えるのだけど、せっかくあそこまで行ったのだから、女子シングルス決勝でチェコ人対決が見たかった。

 その決勝で、クビトバーがプリーシュコバーを破って優勝というのが、チェコ的には最高のストーリーだったのだけど、二人とも大坂選手に接戦の末負けてしまった。二人とも全豪ではこれまでで最高の結果を残したことになるのだけど、こんなチャンスは二度とないんじゃないかと思うと、残念でならない。
 安定して好成績は残すけれども爆発力に欠けてグランドスラムでは優勝経験のないプリーシュコバーと、好調なときには無敵を思わせるけど安定感に欠けてウィンブルドンでしか勝ったことのないクビトバーがそろって、準決勝に進出するなんて大会前には想像もつかなかったし、今後も難しいだろう。もう全仏決勝経験者のシャファージョバーは、すでに引退を決めているし、プリーシュコバーの後に続くべき若手たちは上位進出にはまだまだ時間がかかりそうだし。

 チェコのテニスにとって残念だったこととしては、今年の全豪で引退する予定だったシャファージョバーが怪我の状態が上がらず欠場を余儀なくされたことも挙げられる。このまま引退というのはさびしすぎるから、どこかの大会で引退ということになるのだろうか。シングルスは予選から勝ちあがらなければならないことを考えると、主催者推薦で出場できそうなプラハでの大会ということになるのかなあ。
 確かそのシャファージョバーと組んでダブルスに出るはずだったストリーツォバーが、別のチェコ人選手ボンドロウショバーと組んで準決勝まで進出したのはいい意味で驚きだったけど、女子ダブルスの第一シードだったシニアコバーとクレイチーコバーのペアが、準々決勝で負けたのは残念だった。奇しくもシングルスと同じで、この二つのチェコ人ペアは同じペアに負けたらしい。ちなみに、クレイチーコバーはあまり注目されない混合ダブルスでアメリカ人選手と組んで優勝している。

 男子シングルスでも、昨年後半は怪我でほとんど大会に出場すらできていなかったベルディフが、ナダルにぶつかるまでは順調に勝ち上がった。もともと下位選手には強いけど上位選手にはなかなか勝てない選手だったから、ナダルに勝てるとは思ってもいなかったけど、これで完全ではなくても復活と言ってよさそうである。男子に関しては問題は未だにベルディフがチェコで一番の選手であり続けているところなんだけど。

 問題といえば、日本のメディアで、日本の大坂選手の決勝の対戦相手だったからか、クビトバーに関する記事をかなり見かけた。今更大怪我からの復帰なんてのを記事にするなよと思わなかったとは言わない。事件からほぼ半年で復帰して2017年の全仏に出場した時点で記事にしなかったのだろうか。日本のスポーツマスコミなんて、日本人選手のかかわらないことに関してはほとんど興味も持たないから仕方がないのかなあ。
 看過できないのは、クビトバーが2016年末に負った負傷について、不正確な情報を垂れ流すメディアが多いことだ。事件は電気かガスの検針を装ってマンションに押し入った男によって起されたのだが、これを「暴漢」という言葉で表現している記事があった。ナイフ持って金銭目当てに押し入ったのだから、乱暴者ではあるのだろうけど、「暴漢に襲われた」というと、金目当ての強盗ではなくて、政治的な目的か、単なる鬱憤晴らしの暴力行為のような印象を受けてしまう。
 それから、怪我に関しても、「左腕を切られた」「左手を刺された」とか、ひどいのになると「左手首を切られた」って自殺じゃないんだから。正しくは、というのも変な話だが、左手に切りつけられて、ナイフを持って襲い掛かられてとっさに左手でかばったのではないかということだったかな、指を切られたのである。辛うじてつながっているという状態の指もあって、復帰は難しいのではないかという憶測も流れた。

 犯人は、プロスチェヨフの警察の威信をかけた捜査もあって、見つけるのは難しいのではないかという予想に反して、一年以上経ってから逮捕された。裁判が始まっているのだけど、容疑者は否認していて、事件が起こった時間帯は仕事をしていたと証言する証人もいるらしい。クビトバーも裁判で証言を求められるのかな。裁判がクビトバーの成績に悪い影響を及ぼさないことを祈るのみである。
2019年1月27日23時。




男子シングルスの表彰式にレンドルが登場したらしい。ということはチェコの全豪が土曜日で終わったというのは間違いだったということか。

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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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