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2019年01月03日

元日に思う(正月一日)



 大晦日の夕方辺りから、そこかしこで花火を打ち上げる音が聞こえ始め、12時ごろを中心に、1時過ぎまで断続的に続く。これが騒音にうんざりするようなヨーロッパの新年で、新年を迎えるという厳かさなどかけらもない。郷に入れば郷に従えで、それに異を唱える気はないのだけど、個々の人々が好き勝手に上げる花火で、毎年怪我人や火事が続出して、救急車と消防車が走り回っているというのに、ほとんど放置されているのはどうなのだろうか。
 かつて夜中に行なわれた、オロモウツなど町の新年を迎える公式の花火は、数年前に元日の夕方6時からに変更されたから、その分深夜の騒音は少なくなったとは言えるのだが、特に騒ぎたいとも思えない、とっとと眠りたいと考える人たちにとって迷惑であることに変わりはないし、ペットの犬が花火の音にパニックを起して逃走したりするのも同じであろう。

 不思議なのは、この大晦日の大騒ぎについて、地球温暖化防止を主張するグループが批判しないことだ。花火は火薬を燃やしているわけで、直接的に二酸化炭素の排出量の増加に貢献している。それだけでなく、ゴミ回収用のコンテナに火がついて燃えるという事件も毎年何件も発生しているわけだから、新年を迎える際の個人的な花火の打ち上げを禁止すれば、コンテナの火事も減るし、二酸化炭素だけでなく、プラスチックを燃やしたときに出る有害ガスの排出も減って一石二鳥である。
 ポーランドでの国際会議に肉料理が提供された結果の二酸化炭素の排出量の試算と、大晦日から元旦にかけての花火による温室効果ガスの排出量の試算を比べてみてほしいところである。市町村などの地方公共団体が公式に行う花火大会まで中止しろなんて野暮なことは言わないし、花火を全面的に禁止しろという気もないけど、危険性の高い打ち上げ花火は生産も販売も禁止した方がよくはないか。深夜の騒音も減るし、打ち上げの失敗での怪我も火事も減るはすである。
 安眠を妨害されるのがわかりきっていたから、花火の音が完全に消えるまで起きていたのだけど、そんな馬鹿なことを考えてしまった。いやでも、こっちって強力な花火の販売に対して無頓着というか、以前よりは規制が厳しくなっているのだろうだけど、こんな緩さでいいのかというレベルだし。手に持って使う花火以外は販売禁止でいいんじゃないかねえ。

 ところで、数年前まで元日と言えば、大統領が年頭の演説を行い、それをテレビ局が、公共放送だけでなく、民放も、生中継するのが伝統だった。その伝統をゼマン大統領が、クリスマスに行なうように変更したのだけど、今年の、ではなくて去年の演説も、一年に一度、国民全体に対して呼びかけるような演説ではなかったと批判されている。毎週バランドフでソウクプ氏相手に語っているようなことを、ぐだぐだと繰り返したらしい。
 このクリスマスの演説は、毎年のように批判されているし、クリスマスに時期を移したのもゼマン大統領の独断なのだろうと思っていたのだが、実はクリスマスの全国民向けの演説を始めたのはマサリク大統領だったらしい。もちろん当時はテレビではなくラジオでの演説だったわけだが、毎年クリスマスに際して演説を中継していた。それが変わったのは戦後共産党政権が成立してからで、初代の共産党の大統領であるクレメント。ゴットバルトだったらしい。その戦後に成立した習慣をビロード革命後の、ハベル大統領、クラウス大統領も踏襲してきたわけだ。
 ゼマン大統領としては、演説をクリスマスに移すことで、マサリク大統領への敬意を表そうとしたのだろうが、その事実もアンチ・ゼマン派には気に入らないようである。お前がマサリク大統領について語るななんて事を考えているのかな。これもまた社会が寛容性を失いつつあることの反映なのだろう。ゼマン大統領と、反ゼマン派でマサリク大統領の取り合いをしているのである。
2019年1月1日24時。




 この手の花火はどのぐらい危険なのかな。

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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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