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2018年03月28日

集団栄養食事指導

集団栄養食事指導と聞いてどういうイメージを受けますか?
個別指導よりも難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?
個別栄養食事指導との違いは、国家試験の勉強である程度理解していますか?

集団栄養食事指導料は、「40分を超える」指導を行うことが条件で「80点(800円)」という規定です。
頻度は、「患者1人につき月1回、入院患者は入院中2回まで」です。
算定要件は、
・特別食を必要とする複数の患者に対して、医師の指示に基づき管理栄養士が栄養指導を行うこと
・1回の患者数は15人以下を標準とすること
・入院患者とそれ以外の患者が混在してもよい
・集団栄養食事指導料を、外来栄養食事指導料または入院栄養食事指導料を同一日に併せて算定できる

集団指導のメリットは、一度に沢山の人の指導が出来ることです。
個別指導で一人一人指導を行うとなると膨大な時間がかかりますので。
ただし、個別指導のように一対一の関係で話が出来るわけではないので、
個人に即した指導ではなくなってしまうことも生じます。
指導後の質問の時間を通して理解を深めてもらうように努め、
必要に応じてその後個別指導でフォローするなどしていきましょう。

2018年03月27日

個別栄養食事指導

栄養食事指導は、管理栄養士にとって肝となる業務です。
しっかり理解しておいて欲しいと思います。
現場では、栄養指導と略されることが多いのですが、
「栄養食事指導」が正式名称なので、覚えておきましょう!

集団栄養食事指導料は、「概ね20分を超える」指導を行うことが条件で、
「200点(2000円)」という規定です。
初回については、別途定められており、「概ね30分以上を超える」指導を行うことが条件で、
「260点(2600円)」という規定です。
この初回か2回目以降かという区分けは、今回の診療報酬改定から新たに加わりました。
頻度は、外来であれば「月1回(ただし、初回の指導を行った月は2回まで可能)」で、
入院であれば、「週1回、入院中2回まで」です。
算定要件は、
・医師の指示に基づき管理栄養士が具体的な献立等によって指導を行う
・患者ごとにその生活条件、嗜好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交付し、
 療養のため必要な栄養の指導を行う
・管理栄養士への指示事項は、当該患者ごとに適切なものとし、
 熱量・熱量構成、たんぱく質、脂質その他の栄養素の量、
 病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち医師が必要と認めるものに関する
 具体的な指示を含まなければならない。

集団指導のメリットは、個人に合わせた指導が行えることです。
回数を重ねると、患者さんのキャラクターも見えてきて信頼関係も築くことが出来、
性格に合わせた指導もできるようになるはずです。
ただし、個別指導は時間もかかるので、集団指導も合わせて行うと
多くの患者さんに栄養指導を行うことができます。
(集団指導については、明日お話します。)
一回で理解してもらうのはなかなか難しいですし、
食事指導はモチベーション維持のためにも重要なので、
個人栄養指導は、なるべく継続に繋げるようにしましょう。
入院中に指導を行った患者で、退院後も通院するようであれば、
外来でも継続的に指導を行えるように主治医に打診するのも管理栄養士の仕事です。

2018年03月26日

病院における持ち込み食

病院では、基本的に持ち込み食はお断りするようにしています。
なぜなら病院で提供する食事は、私たちが普段食べている食事とは意味が違うからです。
病院の食事は、治療の目的の一つで提供しています。
常食と言われている、最も一般的な食事も「一般治療食」の一つです。
常食も治療食とういうことを覚えておいてくださいね。

そして、食事の提供にあたっては、「主治医の指示」で提供していることを忘れてはいけません。
細かい食事変更は、看護師や管理栄養士が行っているので、
主治医からの指示で提供していることを忘れてしまう方もいるのですが、
この「主治医からの指示」で提供=治療目的の食事というのは本当に重要なことです。

そのため、患者さんに持ち込み食をされてしまうと、管理された食事が意味をなさなくなってしまうんです。
このことは、患者さん、患者さんの家族にしっかりと理解してもらう必要があります。
看護師さんからの説明では、理解してもらうことが難しい場合もあるので、
必要に応じて管理栄養士から説明を行うようにしましょう。
特に、生活習慣病などがあり、特別治療食を提供している方においては、
余程の理由がない限り持ち込み食は禁止です。
もし、隠れて食べているような場合は、きちんと説明を行うようにしましょう。
また、嚥下障害などがあるにも関わらず、誤嚥の可能性のある食品の持ち込み食がある場合、
これは命の危険がありますので、必ずやめてもらうようにしましょう。

ここまで、基本的に持ち込み食は禁止という話をしてきましたが、例外もあります。
例えば、
・末期であり、食事が治療として機能しない場合
・好き嫌いが激しく、病院の禁食対応では対応しきれない場合
・病院の提供量では足りない場合(若い男性などで、肥満ではなく、必要エネルギーが多い場合)
これらの場合、主治医に相談の上、持ち込み食を許可します。

管理栄養士として、持ち込み食の必要性がある患者なのかはしっかり判断できるようにしましょうね。

2018年03月25日

栄養委員会

病院では、月一回の栄養委員会が定められています。
栄養委員会では、栄養指導件数の報告、インシデントの報告(ご配膳、禁食配膳、異物混入など)、
その他栄養科からのお知らせ、嗜好調査の結果発表(年に4回施行)などを行います。
栄養委員会では、必ず専門の医師の出席が必要になります。
その他、看護部から各病棟の師長、栄養科職員、厨房の委託会社から代表者数名が出席します。
委員会の内容は、担当の栄養科職員が記録し、議事録としてまとめます。
議事録は栄養科長の承認を受けた後、事務長や専門の医師からの承認を受けます。

栄養科で働く管理栄養士としては、必ず知っておいて欲しい内容になりますので、
頭の隅においておけるといいですね。

2018年03月24日

嗜好調査

嗜好調査は年4回の嗜好が義務付けられています。
主食(副食)の量や固さなど、いくつかの質問に4〜5段階評価で答えてもらうのが一般的でしょう。
高齢者が多いので、自分で記入することが難しいことも多いので、その場合は聞き取りにて行います。
記入出来てもベットサイドにおきっぱなしだったり、食事トレーにのせたまま栄養科に戻す方も多いですしね。
なるべく回答率をあげることが実態に即した調査につながるので、
回答率が低い場合には管理栄養士が一人一人聞きまわることが多いでしょう。
嗜好調査はその結果に応じて献立の再考も必要になるので、
調査を行って終わりではなく、栄養科の今後につなげていくことが重要です。

2018年03月23日

食物アレルギー

食物アレルギーは管理栄養士として必ず身に付けておくべき知識だと思います。
なぜならば、栄養科のインシデント(アクシデント)として大きな一つだからです。

食物アレルギーの対応は、病院によって異なります。
ただし、共通なのは、管理栄養士による聞き取りという内容が加わることかと思います。
多くの病院では、食物アレルギーがある患者がいると看護師さんより栄養科に
電話連絡が入ることが多いと思います。
そして、担当病棟の管理栄養士が直接患者さんに聞き取りを行います。
患者さん本人が話が難しいようであれば、家族から聞き取りを行うようにします。
聞き取りまでに時間を要するようであれば、念のため一番安全と思われる対応をします。
(例えば、卵アレルギーだったら卵そのものだけではなくマヨネーズも禁止にしておくなど)

聞き取りにはちょっとしたコツが必要です。
まずは、禁止食だけを聞き取るのではないこと。
一番確実なのは、自宅(入院前の施設や病院)ではどうしていたかということを確認することでしょう。
卵アレルギーなら卵そのものを禁止にすれば良いのか、マヨネーズやつなぎのマヨネーズもダメなのか。
肉アレルギーならどの種類の肉がダメなのか、ブイヨンなどだしに入っている場合は大丈夫か。
魚アレルギーならどの種類の魚がダメなのか、調理法によっては大丈夫か(焼魚は可、煮魚負荷など)。
まれに、生卵はダメ、刺身はダメなどという方がいますが、
病院では生ものは提供できませんので、その場合は禁食対応にしなくて大丈夫ですが、
カルテ上にこの情報は残しておくと次回入院した際に役立つと思います。
また、患者さんによくよく確認をしてみると何十年も前に〇〇を食べて
一度だけ発赤があったなどの場合もあります。
その後日常的にその食品を食べているようであれば、禁食対応をする必要はないでしょう。

余計な禁食対応をすることは献立の幅を狭めることになるので、
しっかりアレルギー対応をしつつ最小限の禁食対応に留めることが重要です。

2018年03月22日

喫食量アップのために管理栄養士が出来ること

喫食量アップのために管理栄養士は何が出来るのでしょうか?
栄養管理においてベストな食事提供を行っていても患者さんが食べることが出来なければ水の泡。
食べてもらうためには管理栄養士として色々な工夫が必要です。
病院では食欲が低下している患者さんが大勢います。
このまま放置してしまっていては、栄養状態は低下する一方ですよね。

まず私が一番大事にしていることは、「患者さんの思いを傾聴して関係性を築くこと」です。
そして、患者さんの入院前の食習慣や嗜好を把握します。
ご本人が会話が難しい場合は、ご家族が来ている時間を狙うのがポイントでしょう。

【食べられない理由】
@嫌いなものが提供される
誰だって嫌いなものはありますよね。
多少の野菜嫌いであれば対応しなくても良いでしょう。
厨房が混乱するだけですから。
ただし、主食(パンは良いけどごはんは嫌など)や蛋白源(肉魚卵豆腐)などの嫌いなものについては、
対応しないと栄養状態の低下につながるリスクがあります。
禁食を増やすことはバリエーションが減るメニューになりますが、
そのことを説明した上で禁食対応にするのがベストと言えると思います。

A三食出て来ても食べられない
高齢者であれば一日一食や二食という方も多く、三食出て来ても食べられないという方もいます。
まして一日ベット上であればお腹もすくわけありませんよね。
そんな場合は、空き時間に食べることが出来る小包装のものを食事に付けてあげたり、
生活習慣病等がなければ持ち込み食の可否を主治医に相談するもの一つかと思います。

B嗜好が変わった
体調が悪い、抗がん剤の治療を受けているなどがあると良く嗜好が変わることがあります。
暖かいものを受け付けない、こってりしたものがダメ、果物が食べたくなる、
酸味が染みる、強いにおいのあるものがダメ…などが良くあるケースでしょうか。
全て対応することは難しいかもしれませんが、可能な限り個別対応できるとよいですね。

C量が多い
提供栄養量が必要栄養量を大きく上回っている場合があります。
例えば、90歳のおばあちゃんに1700kcalの常食が提供されているなんていう場合…。
食形態も不安ですが、どう見ても量が多いですよね。
そんな場合は、必要栄養量を見直し、主食を減らすなどの対応をしましょう。
おかゆの場合は、特に量が多くなるので減らしたり、
塩分が許すのであれば、佃煮やふりかけを付加することで食べやすくなります。

D味が薄い
年齢と共に味が感じにくくなります。
病院の食事は、自宅の味付けに比べて一般的に薄めのことが多いので食べにくいのですね。
献立の工夫をすることだけでなく、栄養指導などを通して減塩の重要さを理解してもらうことで、
喫食量アップにつながります。

喫食量アップは、管理栄養士の腕の見せ所です。
喫食量アップは栄養状態アップのために欠かせませんよ。

2018年03月21日

適切な栄養管理とは?

栄養管理の基本は、「患者さんを診ること」だと思います。
電子カルテの普及によって、栄養管理は机上での可能になりました。
体重変化は?喫食量は?検査値は?浮腫の有無は?排便の回数や状態は?尿量は?発熱は?
情報は溢れています。

病院によっても一人の担当する患者数は異なりますが、100人前後のことが多いのではないかと思います。
この100人前後の多い患者数の栄養管理をする上で、
全ての患者さんに会いに行って栄養管理を行うというとなかなか大変です。
特に入退院が頻繁な急性期病院であれば患者さんに会うことなく退院というのも多いはずです。

そこで、栄養管理の必要のある患者さんの抽出が重要です。
それは、
・栄養状態の悪い患者
・栄養状態の低下のリスクがある患者
・喫食量が悪い患者
・状態が悪い患者
・静脈栄養や経管栄養の患者
・提供栄養量が必要栄養量に達していない患者
こんなところでしょうか…。
こんな患者さんのカルテは出来るだけ毎日チェックし、実際に患者さんに会って、
看護師さんなど他の医療職からの情報収集を行い、
管理栄養士として食事調整や静脈栄養や経管栄養などの栄養処方についても
必要に応じて主治医に変更の提案を行うことが必要になるでしょう。

そして、栄養状態が良好で、経過観察とした患者についても放っておいてはいけません。
いつ状態が悪くなるかわかりません。
いつ食べられなくなるかわかりません。
昼食時のミールラウンドの際は、気になる患者だけでなく、
全体をラウンドするようにするといいと思います。
そして出来れば、「管理栄養士の〇〇です。」なんて挨拶を交わし、
「お食事は美味しく召し上がれていますか?」などとお話し、
患者さんと管理栄養士の距離を縮めておくことが重要です。
あの管理栄養士さんだったら何でも話せそうとなれば、
患者から直々に「管理栄養士さんと話したい」とお話を受けることもしばしばです。
このコミュニケーションが喫食量アップにつながり、栄養状態の改善にも寄与します。

管理栄養士は自分から患者さんに歩み寄っていかないと成立しない食種です。
自分から動こうとしなかれば、栄養科の事務所で一日を送ることが出来る食種なので。
管理栄養士としての誇りと責任を持ち、日々精進してほしいと思います。

2018年03月20日

厨房の衛生管理

食事の提供に当たっては、安心安全な食事を提供するのが管理栄養士としての責任です。
ではどうやって衛生的な環境を維持するか…です。
私は今までに三つの病院を経験しましたが、正直言って病院によって衛生管理には大きな差があります。
衛生管理の難しさは、栄養科の全職員が衛生に関するモチベーションを維持して始めて、
衛生的な環境が維持できるということです。
一人でも適当にやろうとしている人がいたり、衛生を心掛けても一時的であれば意味がありません。

衛生の基本はまず「手洗い」だと思います。
手洗いのマニュアルを作り、それを全職員に徹底してもらうこと。
ポスターを掲示したり、定期的な勉強会を開くのが効果的と言えます。
手洗いは「二度洗い」が有効で、使い捨てのペーパータオルを使います。
衛生の担当者を決めるのがベストだと思います。

そして病院側の管理栄養士も委託側にお任せにするのではなく、
定期的にしっかりと厨房をラウンドして衛生チェックをすること。

委託会社は時間に追われて決まった時間に配膳することに集中するので、衛生は二の次になり易いです。
衛生状態は目に見えるものではないので、意識付けが難しいものですが、地道な努力が実を結びます!





2018年03月19日

病院から件数アップを求められる栄養指導

病院で管理栄養士の求人が増えない理由は分かりますか?
管理栄養士は稼ぎ頭になりにくい。
管理栄養士が唯一患者さんからお金を頂けるのが栄養指導です。
いくら栄養管理を頑張っても給食管理を頑張ってもお金はいただけないのです。
悲しい現実ですが、病院は経営を考えないといけないので、
やっぱり…こんな理由で管理栄養士はなかなか募集がかからないんでしょうね…。

そんな私たちにも朗報が!
国家試験を受けた皆さんならわかると思いますが、診療報酬改定で栄養指導料が変わりました。
個人栄養指導が130点から260点(初回)となり、
指導対象病名にがん、摂食嚥下機能低下、低栄養の患者が加わりました。
指導時間も長くなりましたが…。
この病名の追加は正に現在の医療を反映しているなぁというのが私の感想です…。。。
そして、入院中の栄養指導はベットサイドで行うことも多いのですが、
初回の場合30分以上行わないといけないのでさすがにこの時間はきつい…。
初回だと栄養指導というよりは病院で提供している食事の説明にとどまることも多く、
必要に応じて栄養指導の回数を重ねていくこと多いのです。
それに患者さんの状態が落ち着いている時も見計らっていくのですが、
体調が安定していなかったり寝ていたり。
医療行為やリハビリなど他の医療スタッフとの予定もあるので、
そんな中栄養指導を行うのは、患者さんだけでなく周りのスタッフにも気を使います。
こんな理由で、ベットサイドでの栄養指導は栄養指導と呼べる内容にならないことも多いです。

しっかりと患者さんと向き合って話を出来る栄養指導室という環境で栄養指導を行えるのが、
管理栄養士としては嬉しいです。
とはいえ、栄養科が病院の中でしっかりとした組織として認められるためには、
収益も上げなくてはならないので、栄養指導件数をあげることは病院側から求められることです。
栄養指導件数をあげるためにはベットサイドの栄養指導が一番件数を上げやすいので、
ベットサイドの栄養指導に頼るという悲しい現実が…。
理想と現実のギャップですね…。。。

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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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