癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

いつものように会社での昼休み時間。
5分から10分程度の仮眠をするのが日課となっている。

食後は大好きな読書をするのだが、
その大好きな読書の最中に寝落ちしてしまう。
なので、眠気が強い時はいきなり寝ることも少なくない。

今日も、いつものように軽く読書をしながら
ウトウトと眠りに誘われていた時の事だった・・・

上手く伝わるかわからないが、
浮かんだ映像としては
今では懐かしいアナログテレビでおなじみの画面、
通称「砂嵐」の画面に近かった。

うたた寝中だから、浮かんだ光景に対していちいち感情は湧かない。
ただ、そういう砂嵐画面のような光景が目に浮かんでいた。

よく目を凝らして見つめると、
次第に何かが姿を現した。
その間ほんの数秒ほどだったと思う。

浮かんだ・・・いや、浮き出てきたのは
母の顔だった。
笑っている母、笑顔の母、それ以外の表情もあったが
あまり思い出せない。
悲しい顔や怒った顔は無かった、と思う。

初めての感覚で、
何が何だかわからないまま、次々に浮かんでくる母の顔を
一生懸命追いかけるようにして見つめた。

うたた寝の最中だったこともあり、
そのまま深い眠りに入ってしまったようだ。

できればもう少し長い間、夢見心地でいたかった。

最近、夢に出てきている筈の母の記憶が残らない状況が続いている為、
うたた寝とは言え、こういった形で母の記憶が残るのは珍しい。

何かのメッセージだったのだろうか・・・
母が夢に登場する時、必ずと言っていいほど会話がある。

しかし、今回の場合、会話した記憶はない。
ただ、次々に浮かんでくる母の顔を食い入るようにして見ていた。
それだけだった・・・記憶に残っているのは・・・

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