癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

今、父が会いたいと思っている人。


その名を聞き取ることが出来た・・・


左半身麻痺の父は、言葉を発することが殆どできない。


聞き取るのは中々難しい。


それでも私は父にいろんなことを話しかける。


一生懸命話しかけてくれる時は嬉しいが、


その反面では、少々困っている。


多少会話が成立しなくとも、会話を強引に続けることは多い。


それでも、聞き取れた時は嬉しい。


たぶん・・・お互いに嬉しい。


父が会いたい人・・・それは、


私もよく知っている人だった。


幼少の頃から私がお世話になってきた方。


血の繋がりもないのに、親戚のようにかわいがってくれた。


私は今でもその方を尊敬している。


そして、その方は父が大事に面倒を見ていたうちの一人だった。


父の口からその方の名前が聞けたとき、


私の目から涙が零れた。


なぜだかわからないが・・・とめどなくこぼれ落ちた。


それとほぼ同時・・・だったと思う・・・


父も涙を流して泣いていた。


こんな姿になってしまった・・・老人ホームにいる姿・・・


車椅子姿・・・、カッコ悪い姿を見せたくはない・・・


父はそう思っていると思い込んでいた。


しかし、父はその限りではなかった・・・。


会いたい・・・と、父が言った・・・。


凄く凄く涙が止まらなかった・・・。

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