2021年12月17日
【高齢者運転】旭川の男山でアクセル踏み間違い事故 高齢ドライバーが多い都市では死活問題になる?
旭川市・永山の男山酒造り資料館構内で事故
2021年12月15日の午前。旭川の永山地区にある有名な酒造会社、「男山」の構内(敷地内)で80代男性の乗る軽自動車が事務所と工場の壁2箇所に衝突する事故が発生した。
画像参照元:HBCニュース
事故原因は「アクセルペダルの踏み間違い」。80代男性は軽自動車で男山酒造り資料館にに訪れ、(おそらく商品を買った帰りに)敷地内でバックしようとしたところ間違えてアクセルペダルを踏んでしまった。
そのせいで敷地内の事務所の建物に衝突。その後パニックになり、敷地内を一周した後50メートル離れた工場の壁にも再衝突。これでようやく止まったというもの。
なんだか下手なラジコンカーが操縦ミスで壁にぶつかって、それでも勢い余ってグルっと回ってもう一回ぶつかって止まるるなんてことあるけど、オモチャみたいな話が現実に...
幸いけが人は出ず、物損だけの事故ですんだ。昨今は全国的に高齢ドライバーのアクセル踏み間違い事故が多発。場合によっては人を巻き込んで大事故に発展するなど社会問題化しているが、旭川でもまた発生してしまった。
またというのは去年もアクセル踏み間違いによる事故が旭川市内で発生している。2020年の事故では末広地区を走行中の乗用車が柵を突き破り、およそ3メートル下の川に転落。事故原因は一時停止でアクセルとブレーキを踏み間違えたそうで、同乗してた助手席の60歳女性が膝を骨折する重傷事故となった。
高齢ドライバーへの対策が改正道交法で22年5月13日より施行
このような全国的な背景を受けて75歳以上の高齢運転者(高齢ドライバー)対策の充実・強化として改正道交法が2021年5月13日より施行。施行後は75歳以上で一定の違反歴がある人に対し、更新時に新設定された「運転技能検査」の受験が義務化される。
この運転技能検査は決められたコースを走行し、一時停止や決められた速度での走行、右左折、信号通過などを組み合わせ、減点方式で採点。一般の免許であれば70点以上。2種免許であれば80点以上を合格とし、これに満たない場合は免許更新できないというもの。
ちなみに不合格となっても更新期間内であれば何度も受験可能なので、これで免許がなくなる心配は無いが技術的や体力的にも合格が難しく、更新が難しいとなれば免許返納の英断も必要になってくるのかもしれない。
高齢ドライバーはMT車が自動ブレーキ搭載車の選択を
アクセルペダルを踏み間違えて発生した今回の事故。そもそもアクセルペダルの踏み間違いはほぼオートマの車で起こっており、今回の旭川で起きた事故もおそらくAT車両と思われる。
画像参照元:HBCニュース
オートマは誰でも簡単に運転できて便利な一方で、構造的にアクセルペダル1本のみで車が前にすすみ、ギアも変速し続けて最高速度まで出てしまうことから、こういった踏み間違え事故が起きやすく、かつ重大事故につながりかねない。
人はパニックになったとき、冷静な判断ができないもの。これがブレーキを踏むという正常な判断ではなく、さらにアクセルペダルを踏んでしまうという誤動作につながってしまう。
特に高齢にもなれば判断能力が低下し、反応速度も若い頃より確実に遅くなる。とっさの判断そのものも難しくなり、こういった状況下では顕著に現れると思う。
しかも人によっては自分の非を認めようとせず「アクセルとブレーキが壊れた」とか訳のわからない言い訳をする始末。
画像参照元:PhotoACより
もしMT車ならクラッチペダルの操作をしない限り車を前に進ませることはできないし、進ませてもギアを変速しない限りそのギアの最高速度にしか達しない。
なのでそもそもアクセルペダルとブレーキを間違えることが少ないし、間違えてもクラッチペダルの操作が適切でないと前に進まないし、そのギアの最高速度(発進時なら1速の最高速度しかスピードは出ない)。なのでボケ防止も含めてマニュアル車は高齢ドライバーにこそ必要ではないかとつくづく思う。
また、マニュアル車が乗れない人には自動ブレーキ搭載モデルでも「誤発進抑制装置」などペダルの踏み間違いを防止する機能を備えたモデルが軽自動車でも存在する。こういったマニュアル車か自動ブレーキ搭載モデルを特に高齢ドライバーに載ってもらう必要がとてもあると感じた。
ただし、自動ブレーキ搭載モデルは非搭載車よりも値段が高くなりがち。また古い車ではそもそも搭載モデルの設定すら無いので難しいのだが、最近は後付けタイプの誤発進抑制装置も出てきている。少々高価だがアクセル踏み間違いによる事故を防止できると思えいば価格に見合った見返りは大きいと思う。
一方で落とし穴もある。誤発進抑制装置でもセンサーやカメラを利用するタイプで雪国などで使用した場合、悪天候の時や積雪によりセンサーが覆いかぶさるとうまく機能しない場合もある。そのため特に冬期は自動ブレーキ搭載モデルでも絶対的な過信はできないので注意が必要だ。
高齢化と自家用車の利用が多い旭川市。高齢ドライバー問題は死活問題に?
前の記事でも扱ったように現在、旭川市の人口データによれば高齢者(65歳以上)の割合は令和3年12月1日現在で34.2%。平成2年が11.6%(国勢調査)の11.6%と比べると約3倍にも跳ね上がり、3人に1人がお年寄りとなってる。
※旭川市の人口より
そして75歳以上の高齢者は総人口約33万人のうち17.8%(約6万人)となり、ざっと見積もっても5人〜6人に1人は75歳以上の高齢者ということになる。
そして旭川市は公共交通機関が札幌よりも発達しておらず、もっぱら自家用車の利用率が高い都市でもある。
これがということを意味するかというと、年々高齢ドライバーが増え続け高齢ドライバーに由縁する事故の発生率が高くなっていくということである。
もちろん年齢や体力の低下を理由に免許返納をする人も居ると思うが、旭川は地区によって公共交通の便がとても悪い地域もあり、気軽に移動できないバスなどと比べると自家用車が利用しやすく、買い物や病院へ行く際の生活の足として便利な車を簡単に手放させない実情もある。
ただ、体力的に運転が厳しい状態でクルマに乗り続けるのは事故の可能性が高くなる。今後はそういったクルマが必須な地区に住んでいる人向けの対策も必要になってくると思う。
画像参照元:北の散歩道より
今から10年前まで旭川市の永山地区では路線バスよりもかなり小さなマイクロサイズの路線バスを住民の足として使ってもらうコミュニティバス(ミニバスは〜とふる)が導入されていた(※現在は廃止)。大人150円、小人80円の一律運賃で住宅街をこまなくまわり、特に高齢者は生活の足として気軽に乗ることができた。が、最終目的地にたどり着くまで時間がかかりすぎるという問題もあった。
今後ますます進む高齢化と高齢ドライバー問題を考えると、まったく同じシステムといかないものの再導入する時期が来たのでは個人的には思う。
マイクロ路線バス以外でも自家用車を相乗りしたり、マイクロバスよりも小さなサイズのジャンボタクシーや相乗りタクシーを走らせるなど、高齢車が運転せざるを得ない環境をカイゼンしていくことが高齢化&自家用車が多い地方都市で求められる。
それこそウーバーみたいな白タクシーを旭川みたいに高齢者が多くて自家用車の利用率が高い都市で、高齢者が気軽に使えるようになれば、高齢者はタクシーよりも気軽に足を簡単に確保でき、運転する側も簡単に副収入が得られるので一石二鳥だと思うんだけど...現在の法律では壁で難しいね。
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