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2018年04月25日
グランクレスト戦記 15話感想 1話と対比されたテオの成長が印象的
15話 帰還
あらすじ
捕縛されたヤーナは魔法師協会により火炙りにかけられるが、デーモンロードを召喚し自決する。
一方アルトゥークではミルザーがテリウスの献策を受けて独立君主たちとの戦いを制する。
テオはシスティナから大陸に戻り、アルトゥーク条約の会議の席でミルザー打倒を宣誓する。
テオはミルザーの支配が及ばない常闇の森に入り、森の居城を拠点にアルトゥーク奪還を開始する。
感想
冒頭から先週に引き続きヤーナの顔芸とCV日笠さんの怪演が見どころ。水野先生のツイートのように、原作では本来先週のバフォメットを呼び出して自決する流れだったのがデーモンロード召喚に変更になったという。自分は現状6巻まで購入しており6巻末でも尋問の様子が描かれているが、原作ではシルーカの尋問に素直に応じているなど、ところどころで変更が見られる。原作のヤーナは生い立ちも明かされそれなりに同情できるキャラクターなのだが、アニメはわかりやすく悪役に徹した形だろうか。ヤーナが自らの命を代償に召喚したディアボロス界のデーモンロード・リリス。これは原作とは違うシーン。惨劇の実行犯であることを強調しようということで変更しました。 #グラクレ
— 水野良@小説グランクレスト戦記10巻発売中! (@ryou_mizuno) 2018年4月20日
ヤーナの自決にほくそ笑む協会からの使い。露骨に怪しい。そろそろラスボスを明確にしておく時期ということだろう。大講堂の惨劇の黒幕は原作では早々に匂わされ、マリーネとミルザーの邂逅あたりで明確に言及されるのだが、アニメでは伏線を仕込んでいる余裕が無かったのか少し遅れた結果に。ヤーナの最期が変更されたのもラスボス印象づけの一環と言える。
このモブには見えない君主はオイゲン男爵。原作では2巻で出番があるのだが、アニメは大きく再構成されたためカット。テオに初対面では威圧的に接するが、テオのわきまえた振る舞いですぐに好意的に転じる、人間的で好感の持てるおじさんである。ヴィラールから派遣されてきた契約魔法師と夫婦になり、ミルザーとの決戦を前に子を授かるシーンはなかなか涙腺にくるので興味のある方はぜひ原作を。
このシーン、原作ではミルザーも彼を倒した後「見事だった」と称賛しているのだが、アニメではヤーナほどではないにしろミルザーも悪役として強調されているように思う。
ラウラさん生きてた!めでたい。(僕の「アニメで進んだところまで原作を買う」スタンスだと、システィナ開放前に明らかになってしまうので新鮮な驚きが無かったのが残念。)エドキア様に仕えている、と聞いたシルーカの微妙な反応の理由がアニメで明かされるかわからないが、1カットくらいあるかも知れないので書かないでおく。別にひどい扱いを受けているわけではない……と思う。
「もう少し待ってくれないかな」「ずいぶん焦らしてくれるな」
距離近いな君ら。周りに兵士がいるので従属云々の話はこの距離でせざるを得ないのだろうが、やたら親密なカットになっている。モレーノ先輩のあからさまに不服な表情が同情を誘う。ラシックがテオのことを好きすぎるのは個人的に見ていて面白いが、そう感じない視聴者もいるだろう。モレーノ先輩はそう思う視聴者のために作中人物の価値観の偏りを防ぐ役割を担っている印象がある。
シルーカの進行を遮って発言するテオ。シルーカの根回しに関係なく、自ら考えて動き支持を得るテオという構図だろうか。1話時点での目的を果たして帰ってきたところなので、シルーカのなすがままだった1話当時からの成長を描いているように感じる。モレーノ先輩の「え?」と「認めちゃうんだ…」の天丼に笑う。前述したように味方ながら主人公ペアに反発する役割があるだけに、憎めないキャラとして描かれている気がする。
会議シーンは前が君主、後ろがその契約魔法師という配置になっているようだ。2話等に登場したペトルくんが出世してサトゥルスさんを従えているのが感慨深い。
同盟側にしては珍しく穏やかな会談シーン。ミルザーの場違い感が面白い。マリーネの表情も声色も優しく、ミルザーを造反させた経緯が経緯ながらも、彼に心情的わだかまりを持っているわけではないことが示唆されているように思う。
スタルク(9話でマリーネが混沌災害を利用して落とした地域)が現在ノルドの支配下にあり、領民をこのウルリカが奴隷としていることを自然な会話で説明するシーンでもある。この作品らしくそれなりに理解難度が高めの部分と言える。
システィナに城代として置いてくるかと思ったらついてきていた次男ジュゼル。まあ彼が城代ではいろいろ波紋もあるかも知れない。早速役に立ちそうな有能ぶりである。KOEI三国志とかで苦労して登用した元敵武将を使う瞬間、言い知れぬ達成感を感じるのは僕だけではないと思う。
「私は既に意見を具申いたしました。決定されるのは太守です。」
最初は疎まれていたテリウスがある程度ミルザーに認められるようになっているのも感慨深いが、それだけに彼がミルザーと運命を共にするのかどうかが気になるところ。個人的には生存して欲しい。范増コースと陳宮コースならまだ范増コースのほうが生存チャンスはあるが、物語的にぐっとくるのは陳宮コースかも知れない。
「俺は既に命じたぞ。常闇の森に攻め入りテオを討ち取る。」
このエピソード前半ではテリウスの策を採用したミルザーが、対テオでは頑なに反発する比較で、ミルザーがいかにテオを意識しているかが分かる。テオをただ侮っているならテリウスの命がけの制止を受けそうなものである。受けられないのは、見下していたテオの王道が自身の覇道とすでに並んでいることに対する苛立ちや焦りが大きいからではないだろうか。彼との決着にはあと2話ほどありそうなので、そのあたりの描写も楽しみである。
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タグ:グランクレスト戦記
2018年04月23日
覇穹封神演義 14話感想 新OPのセンスが合わない / 山場の前の貯め回
14話 寄生
14話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
太公望らは金鰲島を複数チームで探索し、哪吒は圧倒的な戦闘力で十天君の一人趙天君を撃破する。しかし仙道に感染する王天君のダニ宝貝により、哪吒や武吉を除いたほぼ全員が衰弱してしまう。
道行天尊の弟子・韋護は体質的にダニを免れており、太公望の要請で哪吒と合流する。
一方、崑崙で治療を受けていた楊ゼンは王天君を討つべく抜け出し、金鰲島で哪吒・韋護と合流する。
戦闘可能な仙道を倒すべく十天君の姚天君・金光聖母が現れ、哪吒たちは多重空間へと引き込まれる。
感想
「俺は独りだった。誰も必要としていなかった」
今回のアバンはいつもと逆で時系列が戻っている。独り?母親のために自死するレベルのマザコンのくせに何を言っているのかよく分からない。まあ「戦いに仲間はいらない」くらいの意味なのは分かるのだが。
4話に「太乙が哪吒を説得するときボコられて宝貝で懐柔した」という改変描写があったはずだが、今週の回想が普通に原作通りのためそれと矛盾している。脚本家が違うと連携が取れていないことはアニメでもドラマでもよくあるが、今週の脚本は高橋ナツコ氏である。シリーズ構成担当者がそれでは仕事が適当すぎる。
ただ、アバンタイトルとしては楊ゼン哪吒の共闘の前振りとして効果的に機能していたと思う。原作であれば魔家四将戦などで共闘済みの段階だが、アニメでは揃って聞仲に瞬殺されたくらいなので配慮が感じられる。その配慮を天化の傷や三姉妹にも欲しかったところであるが…。
2クール目ということでOPとEDが刷新。まずOPだが、この中心の◯はなんなんだろう。いや太極図であるとか地球であるとか何を表しているのかは分かるのだが……感性的な評価で恐縮だが、ダサい。もう少し大きくするとか円周にエフェクトをかけるとかそういう工夫が欲しい。太極図がギュルギュル回ってこっちに来る演出もなんだかコミカルである。
今後重要性の低い四聖を聞仲陣営の数合わせのように描くくらいなら、黒麒麟と二人きりのほうが彼の孤独が表現できて良かったのではと思う。太公望と聞仲が英語の歌を歌い出すシーンにも違和感。全体的にセンスが合わない。前半のOPはあまり動かないながらにセンスは結構好きだった(聞仲と飛虎の握手シーンに賈氏の血しぶきが割り込むところとか)し、絵コンテ・演出はEDも含めて同じ相澤伽月氏(監督)なのに今回はちょっと合わないのが残念である。
「ばかな…この趙天君の地烈陣をいとも簡単に…!」
原作では哪吒の突出した戦闘力を示すためか、アニメ以上の瞬殺で地烈陣がどんな能力なのか全く分からなかったので、今回少しでも描写されたのは嬉しい。全国1000万の趙天君ファンも喜んでいることだろう。
VS十天君の山場と言える姚天君&金光聖母戦の前の貯め回といった感じで、ギャグシーンが多めだったがテンポは一部を除いて悪くなかったと思う。BGMを変えたり止めたりするのが面白かった。個人的には三姉妹のBGMが好き。
セクシーでミステリアスな薄布を纏ったヴィーナスの接写。この作品では貴重な妲己以外のサービスショットである。筋肉質なヒップとふとももがなんとも妖艶で、さすがは主人公・太公望の妻を自称するだけある。
「俺は道行天尊とこの韋護ってやつだ、以後よろしく。」
韋護登場。思った以上にセクシー系のイケボである。CVは梅原裕一郎さん。個人的に知ってる作品だとSideMの鷹城恭二役だが、他にもメインどころの役を連発している人気の方である。
「足手まといだ、帰れ。」
哪吒の抑揚のない喋り方を維持しつつ楊ゼンを心配するトーンを出すのはなかなか難易度が高そうな演技である。哪吒CVは古川慎さん。もともと無口なキャラなので今回は登場回以来のセリフ量ではないだろうか。
紅一点(柏天君はノーカンとする)の金光聖母と原作で聞仲を一時封印した姚天君の多重空間VS哪吒・楊ゼン・韋護、作中屈指の名勝負がついに…!というところで来週まさかの総集編。先週も実質総集編だったでしょ!
新EDはとにかく背景が美しい。このアニメ最大の美点は背景のクオリティだと個人的に思う。ところどころ道路の破片のようなものが見えるが金鰲島の残骸だろうか。終末・退廃的な雰囲気が味わい深い。やなぎなぎさんの寝かしつけるような歌声も寂寥感に溢れていて、背景の内容とマッチしているのがとてもいい。
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2018年04月21日
グランクレスト戦記 14話感想 絵、声、音、物語、各クリエイター名仕事の結実
14話 システィナの開放者
あらすじ
三男サルヴァドルを倒したテオの元に民衆が集い、ロッシーニ家は長男ドーニが討伐に乗り出す。
ロッシーニ家の暗殺者ボルツはアーヴィンを狙い、黒魔女ヤーナはエマとルナを害そうとする。
テオは民衆の力を借りてドーニを討ち、アーヴィンはボルツを倒すも毒を受け、プリシラに救われる。
ヤーナはルナに重傷を負わされ、テオを道連れにしようと魔法を放つがシルーカに阻まれる。
ペデリコは降伏を決断、次男ジュゼルがテオに従属しシスティナの圧政に幕が降ろされる。
感想
サルヴァドルが討たれて憎悪と悲しみを露わにするペデリコ。モチーフがシチリアマフィアと思われるので家族思いな一面も描写された。ドーニも父親の思いに配慮しており、非道一辺倒ではなく描かれるのが興味深い。圧政するしか道がなかった、という生まれながらに敷かれたレールを抜け出せなかった点では彼らもマリーネやヴィラールと同じなのかも知れない。
先週に続いてアーヴィンVSボルツの人外バトル。ちなみに原作では「シルーカを奥様と呼びたいしテオとの子供の世話もしたい」という見事な死亡フラグを立ててから戦いに臨んでおり、あまり見られないアーヴィンの内心が面白いのだが、アニメは純粋にこのシーンの激しい動きが見どころである。何度か書いてきたがアニメならではの魅せ方がここでも意識されている。
ヤーナさんの顔芸がひどい。日笠さんの怪演も聞きどころ。これもアニメならではの魅せ方と言えるだろうか…。ちなみにこのシーン、原作ではヤーナとボルツの会話で彼らの生い立ち・背景が明かされるので興味のある方はぜひ原作をお読み下さい。
目の前の悪魔を無視し、召喚者であるヤーナを二段ジャンプで撃退するエマとルナ。双子はあまり頭脳派には見えないが機転が利くタイプのようだ。ヤーナの敗因もそういう先入観のせいかもしれない。ニコ動コメントでスカイラブハリケーンを連想する人が多くて笑う。幼少時に試したことのあるおじさんも多いだろう。私もです。
兵も装備も現地調達のはずなのでこれだけお揃いの鎧があるのは違和感。まあバラバラだと作画も手間だろうしね…ドーニが準備してる間に全村の鍛冶屋さんがフル稼働したのかもしれない。
フラッグの消失で心理の動きが視覚的に見えるのが面白い。テオのパトリオットは(アニメで明白な説明がないが)戦う勇気を与えるもので、ロッシーニのオメルタは残虐行為を遂行しやすくなるものだから、そりゃガチのぶつかり合いになったらテオ側が有利というものである。原作元のTRPGのように、気持ちや運命、これまでの行いで勝つというヒロイックな展開を、フラッグというシステムを用いることで論理的に実現しているように思う。
耐えて耐えて耐えてスタミナで勝つという泥臭い戦いでドーニを打ち破るテオ。敵のモブ幹部を二人瞬殺するなど相当強くなっていることが分かって感慨深い。性格的魅力メインの主人公ではあるが戦闘での活躍もやはり見ていて気持ちがいい。「俺の戦い方はこれしかない」というセリフで思い出すのは個人的に6話のミルザーとの手合わせであり、このしつこい戦いぶりがミルザー戦でも見られるかと思うと今から楽しみである。
箒星VS流れ星の魔法激突シーンはすさまじい迫力。今回はどこもよく動いたがここは特にスゴい。温泉中也さんという著名なアニメーターさんによる仕事らしい。調べてみるとシンデレラガールズアニメのライブシーンも何度か手がけておられるようだ。フリーランスながら重要なシーンを任されて誰がやったかファンにはすぐ分かる、というのはクリエイターとして大変尊敬する仕事ぶりである。
「私の願いは、きっと叶う!」の部分の鬼頭さんの声色は、抑えめな演技ながら背筋が震えるほどに凛とした迫力を感じる。SEも重厚で、アニメに関わる各クリエイターたちの見事な仕事の結実という印象を受ける。
アーヴィンを治癒するプリシラ。目に光がないのは今後の伏線だろうか。死すべき運命にない、と言われると先週レベッカが死んだのは運命だったのだなと納得できる。ダイス目悪くて天運も枯渇してたんだね……。
ヤーナの確保を指示されて一瞬間があくアイシェラ。これもこの描き方だと今後の伏線に見える。
ドーニを討たれ降伏を決断するロッシーニ家。ここの交渉シーンこそテオの本領発揮、性格的魅力のターンである。統治を円滑にするためではなく古き良きシスティナを築き直すためにジュゼルを従属させる、向こうの提案に乗るのではなくこちらから要求する、という実質は同じだが名分が違うことを強調する描写が面白い。4話の感想でも書いたが名分・体面を重視する描写は戦記物らしさを感じられる。
シルーカの表情から察するに、彼女の献策というよりはテオが主体的に交渉したようだが、自身の怨恨を抑えて領民の心情とシスティナの未来をバランスよく考えて決裁する、もはや聖人の所業である。このシーンに白々しさがなく、素直に立派だと感じられるのは、先週は珍しくマイナスの表情を見せていて人間味が描写されたおかげもあると思う。
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2018年04月18日
覇穹封神演義 13話感想 総集編のようで総集編でない少し新規描写もある総集編
13話 鏡
13話配信(Abemaビデオ)
メイン時系列でストーリーが進行した回ではない(と思われる)のであらすじはなし。まあほぼ総集編と言って差し支えないのだが新規描写もけっこうあった。
王天君=王奕=もうひとりの太公望の謎がほぼ開示。謎を先んじてがっつりつまみ食いして、後々そのメインディッシュまで時系列が到達したときに、空っぽの皿で何を味わえばいいのだろうか?実際に食べさせなくても食欲をそそるやり方がもっとあるように思われる。
少なくともこういうアレンジは原作ファンには好まれないので新規向けと判断するしかないが、新規視聴者にとっては先週から連続性が途切れているので一話飛ばしたような混乱を与えるだけのような気もする。
「広い世界をなるべく見ておきたいのじゃ」
……のじゃ?語尾警察だ!ホールドアップ!!原作が手元にないので定かではないが、太公望の口調は「〜のだ」「〜だのう」であり「〜のじゃ」「〜じゃのう」は使ったことがない……気がする。誤認逮捕だったらすいません。
「宝貝には相性があるからのう!乾坤圏では打神鞭には勝てぬわあ!!」
あれ?2話にこのシーン無かったような…わざわざここを作ったとは考えにくいので、先んじて作ってあったのが当時は脚本の都合でお蔵入りになったと考えるべきだろうか。2話と言えばシーンの反復横跳びが話題になった回でしたね…。
「武成王一族は全員人間界に残ってもらうぞ」
ここは明確に新規描写である。天化の傷含め飛ばしまくった部分の補完なのかも知れないが全然足りない。ほんとなんで天祥削ったんだろう。
女媧(ジョカ)。妲己の後ろにいる黒幕の名前が明らかに。やはり最後のジョカ編までやるようだ。片っ端から大事な部分を先行ネタバレしていく有意性を考えてみたが、仙界大戦後にジョカ編をじっくりやる時間がないので、必要な骨子だけを先行して散りばめることで、のちのち通常通りに物語をなぞるよりは時間を短縮できるということなのかも知れない。
いろいろ裏方の意図は推察できるが、意図が分かれば面白くなるエピソードかというと……。それならこの枠であらすじ回でも入れたほうが良かったように思う。飛ばしたパートの一枚絵をバックにスープーのナレーションでも入れて。一枚絵を新規に用意する必要はあるので作画の手間はあまり省けないが、それなりに新規描写のあったこの13話もそれは同じである。
Dパート(というのか?)でさらに意味深な映像が。原作のない新規アニメであれば物語の深淵を覗いたミステリアスな回として認識されるのかもしれない。新規視聴者が混乱を乗り越えてそう感じてくれることを願うばかりである。
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2018年04月17日
グランクレスト戦記 13話感想 原作と受ける印象の違いに注目 / 新OP・EDが素晴らしい
13話 故郷へ
あらすじ
テオたちは7人でシスティナへ上陸、中心街でロッシーニ三男サルヴァドルと黒魔女ヤーナに遭遇する。そこでの戦闘は回避し、村々に蜂起を呼び掛けるが、同調するものはいなかった。
テオの生まれた村で幼馴染のレベッカと再会するが、彼女はテオをサルヴァドルに密告していた。
その思惑を見抜いたテオの行動と、思い直したレベッカの説得により村人を蜂起させることに成功する。
戦闘の結果サルヴァドルを打ち取るが、レベッカは彼の逃走を防ごうとした際に命を落とす。
感想
2クール目に突入し、まず目に入る新OPが大変カッコいい。新規の絵が少なめなのは残念だが、目まぐるしくキャラクターが入れ替わる演出がこれまでの物語を反芻させ、各都市のイラストがこの世界に没入して楽しむ一助となってくれる。新規キャラが見当たらないということは前半で愛着を抱いた面子が引き続き活躍してくれるということだろう、楽しみである。
OP曲を歌うASCAさんの、まさにタイトル通り「凛」とした歌声にも非常に感じ入る。高音部分の清澄さとサビ終わりの勇壮さの両面が魅力的。前EDの「PLEDGE」も良かったが今回の曲調はOPらしい躍動感がさらに好み。
ロッシーニ家三男のサルヴァドル。ワカメ頭はだいたい三下と相場が決まっている(偏見)。CVは保志総一朗さん。個人的に一枚目か二枚目のイケメンが多いイメージなのでこういう役どころは意外。
「お゛前゛た゛ち゛は……!!」
サルヴァドルに甘える時の声とのギャップに笑ってしまう。黒魔女ヤーナさんまさかの再登場。ペデリコはともかくサルヴァドルなどはあまり手強そうに見えないが、初っ端に過去の難敵であったヤーナが出現することで開放が一筋縄ではいかないであろう印象を与えてくれる。
「ロッシーニ家を打倒する難しさが分かってきました……。」
前回Cパートの略奪シーンは正直チープさを感じたものだが、実際は高度にシステム化された圧政だった。シルーカの策は起こした火を広げることに重点を置かれていて、着火する部分はあまり考えていなかったというか、見通しが甘かったようだ。シルーカさんそういうとこあるよね。心理面での詰めが甘くやや楽観的に最高結果を追求する、という傾向が4話から一貫しているので、これはもはやミスというよりは彼女の性質なのだろう。
レベッカの密告を悟りつつも、村への被害を防ぐために単身サルヴァドルの罠に向かうテオ。アーヴィンが助けに来たのにも驚いた様子なので、シルーカと違ってこっちは本当に後先を考えていなかったようだ。まあ聖印も育っているだろうし少人数ならなんとかなる目算はあったのかもしれないが、それにしても向こう見ずである。ただ先週の感想で述べたように、テオの活躍は知力武力よりは性格によって見せられるべきとも思っているので、その点は今回も一貫して成立している。先々を頭に描ける切れ者ではないが、人の心理に聡いテオの性質は前述のシルーカの性質と対極になっており、互いを補いあう存在になっているのが感慨深い。
レベッカさん、おたまは素手と変わらないのでは……包丁とか麺棒とかもうちょいなんかあるでしょ。
流石におたまでの殺戮シーンは描かれませんでしたね。フラッグの恩恵を受ければあるいは…
— dany (@kdany) 2018年4月17日
おたま無双は残虐シーンとしてカットされた可能性がありますね…! pic.twitter.com/g1sqzNl6jU
— ぺーた (@peta_) 2018年4月17日
テオとサルヴァドルが手斧とレイピアで泥臭い戦いをしている横でドラゴンボールのような人外バトルを繰り広げるアーヴィンとボルツ。全体的にリアリティライン高めの演出が多い中で、ここだけ漫画チックでちょっとおもしろい。邪紋使いの戦いは他より強調して超常的に描写されているように思う。
レベッカの危機に焦るテオ。何度か書いてきたがこれまでのテオくんは善良篤実イケメンムーブが過ぎて人間味が薄く感じていたので、システィナで負の面とはいえ人間らしい表情が見られて自分としては満足である。
レベッカ、落命。いつものように13話視聴後に原作5巻を購入したので、ここからは原作との比較を書いてみる。アニメでは思い直したレベッカの説得が村人蜂起の最後の一押しになっているが、原作では改心するタイミングが遅くなんとそのままサルヴァドルにテオを売り、村人の蜂起はテオの行動とシルーカの説得に加えて「状況的な打算」が最後の一押しとなっている。サルヴァドルを食い止めて死亡するところは同じなのだが、原作が命をもって改心と贖罪を果たしたという救いのある印象になるのに対し、アニメは既に改心して功績もあるのに死んでしまう、という後味の悪い印象になっているように思える。村人の蜂起過程は原作のほうがリアリティが高いがアニメのほうがドラマチックなので一長一短と思うが、レベッカの死という結果は同じでも過程によって印象が変わってくるのが興味深い。
負傷者に肩を貸すプリシラ。こういうカットを用意するということは視聴者が「なんでレベッカをヒールしないんだよ」とツッコミを入れることは想定済みということだろうか。レベッカを死なせるために死なせた感がどうしてもしてしまう。ちなみに原作だとプリシラはそのシーンに記述がないのでどこにいるのかもわからない。それはそれでどうなんだ。
新EDはそれぞれの歩みを後ろから映したカットが味わい深い。主従っていいよねと思える構図なだけにプリシラとアイシェラがぼっちなのがかわいそうである。すでに退場したキャラクターもいるのが嬉しく、ヴィラール主従の後ろ姿で泣く。剣とタクトを置いて終わるのがストーリーの結末を示唆しているように思う。
EDテーマ「衝動」はイントロのピアノがこの手の物語性の高いアニメ主題歌の王道を感じさせる。綾野ましろさんの歌声は切なげで情感のこもったものになっており、物語の余韻を味わうのにこれ以上なく相応しいトーンだと感じる。
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2018年04月14日
覇穹封神演義 12話感想 綺麗な作画で普賢真人のキャラをじっくり描いた良回
12話 ニューロマンティック
12話配信(Abemaビデオ)あらすじ
金鰲島の内部を探索する太公望たちは十天君の一人・袁天君の寒氷陣に入り込む。氷を操る袁天君に対し、普賢真人は元素を操る宝貝・太極符印をもって圧倒する。
普賢真人は話し合いでの解決を臨むが袁天君は受け入れず、太極符印の爆発により封神される。
感想
「たとえそれが仙人界すら無くすことになったとしても、わしに出来るのだろうか」
アバンはおそらく序盤に妲己に破れた際の様子。後述するが今回はちゃんと本編の内容にリンクしているので久々に効果的なアバンであったと思う。
このカット、やたら写実的な背景に対してメルヘンな外見の袁天君のコントラストが強い。
毛玉こと袁天君のCVは福島潤さん。孫天君(松岡禎丞さん)・董天君(間島淳司さん)に続いてほぼ一話限りの登場である十天君に豪華な布陣である。袁天君の印象的なセリフ「ありおりはべり」とはラ行変格活用をする動詞全4種のうちの3つで、4つ目の「いまそかり」と合わせて古典で覚えるものらしい…と僕はたった今ググって知ったのだが、潤さんはちゃんと「有り・居り・侍り」と区切って発音している。さすが。
背景は毎回美しいが、今回はキャラクターの作画も大変良かったように思う。業界で活躍されているフォロワーさんいわく「ゆるキャン△が終わったから余裕が出来たのでは?」だそうだがなるほどそういうものか。
スープーが氷を避けるシーンもぐりぐり動いていた印象。これまでだったらこういうシーンも原作カットをちょっと動かすだけだったような気もする。
太極符印の表現もサイバー感があって男子心をくすぐるカッコよさ。元素を操る宝貝ということは、科学現象を司る敵には負けようがない強アイテムでは。袁天君は相性が悪かったと言う他ない。
約20年前の作品であることを感じるカット。崑崙の文明が遅れている演出だろうか。連載当時は携帯電話が普及して3〜5年くらいだったような気がする。
策士のくせに、味方の戦いを応援する側に回ると知能が一般人レベルになる太公望。メタ的に言うと驚き役になるからだが、意外と軍略・政治等の彼の専門分野以外はそんなに詳しくないのかもしれない。
「分かりあえないって悲しいことだね」
封神される魂魄をバックに悲しいといいつつ笑顔の普賢、という美しいけど普賢の恐ろしさも感じさせるカット。実際なかなかいい性格をしているので二次創作では腹黒キャラにされることも多いらしいが、袁天君に見せた涙は彼の優しさが本物である証であり、その上で使命のためには優しさの優先順位を下げることができる性格であることを示しているように思う。今後の彼の行動も一貫している。
これは優しさが勝ってしまう太公望と対照的な性質であり、ここで前述した今回のアバンタイトルが本編にリンクしていることがわかる。普賢真人が太公望を補う存在であることを強く表している。仙界大戦は2大勢力の激突展開なだけあって太公望-聞仲・王天君-楊ゼンなどキャラクターの対比表現が顕著なシリーズである。
今回は作画も演出もよく、話も綺麗に原作通りだった。袁天君戦はストーリー的にスタンドアロンというか、新キャラVS新キャラでこれ以前の展開とさほど連続していないのが(覇穹のマズい部分に抵触しないので)よい結果に繋がったのかもしれない。
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2018年04月09日
だがしかし2 12話・全体感想 いろいろな意味でノスタルジックな作品
12話 ただいまとおかえりと…
「自分の夢も忘れてるって気づいて…すごく焦って」
(僕はただ、また会えたときに変わったところを見せたくて……!)
久しぶりに会ったほたるに感情をぶつけるココノツ。原作でほたるさんが居なくなった当時はその展開について読者間でいろいろ言われたものだが、原作が終わろうとしている今となっては「ココノツの夢が一歩進む」というストーリー進行のために必要な展開だったということがよく分かる。それにしてもメインヒロインを一旦退場させるという判断が大胆である。
スーパーマリオくんコミックガム…買ったことない駄菓子だ。連載が1990年からだそうなので自分が年齢的に駄菓子屋に行かなくなったあたりから発売された駄菓子っぽい。なんと今も連載中らしい。すごい。
「諦めがついた顔には見えないわね」
ほたるさんお得意のアングル。ミステリアスというか、なんかこう強キャラ感のある角度。ほたるさんの、変人だけど他人の心を汲むことができる優しさが心地よい。
「あっ!そうだわ!たしかカバンにあれが…」
いやこんなブタメン100%のカバンを持ち歩いておいて今思いついたみたいな切り出し方おかしいでしょ。ブタメンのことで頭がいっぱいじゃないとおかしいでしょ。それでこそほたるさんでしょ。
久しぶりに会った想い人と朝まで二人きり。相変わらず思春期少年のツボを的確に突いてくる作品である。おじさんも10代の頃を思い出します。
ユタカさんの正体判明。消化試合のように兄妹判明してて笑った。ユタカさんが駄菓子
全員で走って終わり、というなんとも昭和感あふれるエンディング。まあ駄菓子というものがノスタルジックな存在なのでぴったりと言えるのかも。いろいろな意味で昔を思い出す作品である。
全体感想
1期と比較して時間が半分になってしまったが、それゆえに無理に時間をもたせる再構成の必要がなくなったせいかほぼ原作通りの展開だった。ギャグアニメは特に間の取り方が重要と思うが、原作の間を完全に表現できていたように思う。
一方で作画はやはり1期のほうが好みかなあ。2期のほうが原作に近くはあるのだが、絵柄はともかく画力が違うのか、あんまし可愛くないカットが結構あった。(自分も絵描きなので偉そうな事は言えないが…)ただ、動きのあるシーンはよかった。キャラクターが喋るたびにわちゃわちゃ動いていたのが可愛かったし、ユタカさんの謎ポージングは非常に彼っぽくてポイント高い。
ボイスに関しては言うことなしというか、大満足です。聞いていてすごく自然だし、杉田ユタカや赤アハジメの登場回は完全に声優さんの演技を堪能する回だったと思う。「君はスケベなものは好きか?」何回聞いても笑う。
原作でもストーリーに深く踏み込むパートということでシリアスなシーンも多かったように思う。ホームランバーのアタリも印象的なアイテムとして機能していた。先週の原作セミファイナルでも活用されていたので、原作・アニメ間で演出の連携があったのかもしれない。
3ヶ月間楽しませていただきました。原作は今週で終わってしまうけど、アニメは3期をぜひ期待したい。
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2018年04月07日
グランクレスト戦記 12話感想 後半へ向けて主人公の性格的活躍に期待
12話 条約結成
あらすじ
ヴィラールの死後、親アルトゥークの軍勢は第三勢力としてアルトゥーク条約を結成する。ミルザーはアルトゥークの支配に手こずり、レガリアへの侵攻もラシックらに阻まれる。
マリーネは先の戦いで失ったプルタヴァをテオから奪還すべく侵攻し、事前にテオと会談する。
しかしルクレール伯の北方からの攻勢により撤退を余儀なくされ、主戦場は北へと移る。
戦いの間隙を縫い、テオ一行は条約盟主となる資質を示すためシスティナ開放に向かう。
感想
なんと第三勢力としてアルトゥーク条約結成。三国志で喩えれば同盟が魏、連合が呉、条約が蜀ですかね。なんと、と言えるほど重大な出来事なので本来なら冒頭よりもラストに持ってくるのが相応しいと思うのだが、後がつかえているから仕方のないところだろうか。原作では4巻ラストにアルトゥーク陥落にくっついて独立を示唆するシーンが入るのだが、アニメはアルトゥーク陥落をドラマチックに見せることを優先したように思える。
新顔だ。親アルトゥークの有力君主ということはおそらくクローヴィス王のシェイクス子爵。1話から何度か名前が出ているキャラなので分かる人は分かると思うが、11.5話のようなテロップを出せば一発なのになあ、とも思う。まあ彼自身は今後も「有力モブ君主」くらいの立ち位置だろうから名前を知る必要もないのかも知れないが、本編で地図やテロップのような「明白な説明行為」を回避してキャラの自然な会話だけで理解させようとするのはやはり難しいのでは…と1クール全体を見て感じる。
ラシックとミルザーの一騎打ちシーンはぐりぐり動いて本当にカッコいい。キャプチャ静止画ではとても伝わらない。
左の人誰だろう。もしかしてサトゥルスさんかな…?こんな顔だったっけ。
「規則違反をしたせいで"選別"されかけたんです。お父様は魔法師協会の決まりに従っただけです。」
「だからって命まで…」
魔法学校の「選別」は原作では序盤からちょくちょく言及される。ファンタジー中世とリアル現代の価値観の違いに紛れているが、それを差し引いても魔法師協会の倫理観がどうもおかしい、と読者が違和感を覚えていく構造になっているのが原作だが、アニメでもそこに踏み込んだ形である。あっけらかんと話すシルーカと当惑するテオ、二者の表情差でその違和感を仕込んでいるように思う。
「「「二人の愛のためにー!」」」
今週のしるかわ。兵たちにはもともと恋仲であると思われていたわけだが、アイシェラに知られても大丈夫なのだろうか。テオの首と胴が分かれないことを祈るばかりである。
テオは5話のように戦闘で活躍するシーンもなくはないが、やはり彼の本分は「人の心を動かす振る舞い」であることがよく伝わるシーン。主人公が性格的魅力を持つのは当然のことだが、腕っぷしや頭の良さのような能力的魅力よりも性格的魅力のほうをメインとしているタイプはなかなか珍しいように思う。後半もブレずにこの性格による活躍を期待したい。
「
めっちゃ効いてる。しかも公式でネタにされる↓始末。マリーネ様おかわいそう。
【台本イラスト公開!】
— TVアニメ「グランクレスト戦記」公式 (@grancrest_anime) 2018年4月1日
『グランクレスト戦記』第12話「条約結成」の台本イラストを公開しました!
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ルクレール伯、有能。こういうサブキャラがすごく好き。主人公側のヴィラールに好意的でアレクシスに対しても「平時ならいい君主なんだけどね…」という妥当な評価を与える(※原作描写)、読者・視聴者にとってストレスのないキャラである。ドーソン侯で収束するストレスをルクレール伯で発散しているようにも思える。
「テオ様の最初の誓いを果たす時です!道をお示しします」
前半ラストで第1話のリフレインは実にドラマチックな演出である。ただ1話の生意気そうなシルーカの面影はもはやまったく無く、構図は同じでも二人の関係性は大きく変化している点が面白い。
「こっちの事は俺に任せろ。お前は故郷で誓いを果たしてこい!」
ラシックまじいいやつ。身内だけだとお互いにタメ口になるところが好き。モレーノが否定した直後にラシックに肯定されて困惑する流れが懐かしい、これも2話のリフレインだろうか。ラシックが義理堅く男気にあふれた好漢で、彼が立派すぎるがゆえにテオが危険を侵して資質を示す必要がある、というシスティナ攻略に向かわせるストーリーの流れも自然に思う。
描写はシスティナに渡り、絵に描いたような圧政。1話の悪兵長を思わせるテンプレ悪党ぶりがいっそ清々しい。
ロッシーニ一家はジュゼル(右下の黒髪)がなかなか優秀そうな雰囲気。こいつが親父以上の壁となるか、もしくは仲間になったりしないだろうか。来週からのシスティナ編が楽しみである。
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タグ:グランクレスト戦記
2018年04月06日
覇穹封神演義 11話感想 再構成の手間を惜しむ怠慢が目に余る
11話 虫
11話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
玉鼎真人が封神されるも、楊ゼンの救出を果たした太公望は一旦崑崙山へ帰還する。空間宝貝の十絶陣に対し、太公望たちは一網打尽を回避するためにチームを分けて臨むことになる。
一方、金鰲島に入り込んだ黄飛虎と黄天化は雲霄三姉妹とはぐれ、董天君の風吼陣に引き込まれる。
飛虎と天化は飛刀・火竜鏢を活用し董天君を撃破する。
感想
お得意の先取りアバンからスタート。5話と同じく本編の内容とリンクしていないのであまり効果を感じない。この描写を見るに◯◯編までやるようだが、このペースだととんでもないカット祭りになりそうである。
「感情的になりなさんな、こっちだって二人やられてんだぜ?おあいこだ」
ここで声のトーンが変わるところが意外だった。王天君はこの段階では常に余裕のあるイメージだったが、このトーンだと彼もそれなりに腹に据えかねるものがある印象。
「何が出るかな〜♪」
なんだこの軽い雰囲気は…玉鼎真人死んだ直後やぞ。艦これ4話を思い出す。いやまあ原作からしてこういう流れなのだが、サラッと流している部分をアニメではオリジナル描写で盛っているのがよくわからない。映像化するとリアル感が増すせいかシュールさも増す印象。
どうやら韋護は出るらしい。原作での出番で言えば彼も雷震子とどっこいだと思うのだが、彼を削ると金光聖母戦を大幅に改変しないといけないので無理もないことか。消された蝉玉や天祥のケースと比較すると改変がめんどくさいかどうかで出すかどうかを判断しているように見える。
このブタ妖怪、キャラデザが無駄に可愛くて好き。
ブ、ブターーーーッ!!無茶しやがって……。
董天君、虫のくせにやたらいい声をしている。CVは間島淳司さん。この声で、飛虎と天化の会話の後ろでずっと「ミーンミンミンミンミン…」と鳴いているところは笑うしかない。
「お、重い…親父がバカみたいにでけえから…」「親に対してバカとはなんだバカとは!」
親父が息子に「行くか?」と聞いてみたり、黄親子の兄弟っぽいやりとり好き。天祥もこの場で見たかった。
もはや突っ込む気力もないが、飛刀さん唐突に初登場おめでとうございます。原作未読者のために説明すると、カットされた趙公明編で登場する意思を持った妖剣です。飛虎に妻と妹の幻覚を見せて殺そうとするも失敗し飛虎の持ち物となりました。
同様に火竜鏢も唐突に初登場。陳桐戦がカットされたからどうなるかと言われていたけど普通に出てきた。まあ熱を持つ宝貝であることは今回の描写で分かるので(飛刀と比較して)そこまで問題があるとは思わない。ただ…
「上しか見てねえお前には見えねえだろうなあ、もう一本の火竜鏢がどこにあったかよ」
余所見をすると大事なことを見落とすという含蓄のある言葉なのだが、アニメには火竜鏢が二本一対の宝貝であるという情報がないので、残念ながら目を皿にして見ていた視聴者にもわからないと思う。
蝉玉(と土行孫)いるじゃん!じゃあなぜ化血陣戦は欠席だったのか…。前々回も書いたが方針に一貫性が感じられない。原作ファン向けに「カット部分を無視して後の描写を原作通りにする」のか、未読者向けに「改変して整合性をとる」のか、どちらかに統一すべきと思う。本当に、出すとめんどくさい場合は消し(蝉玉・天祥・趙公明)消すとめんどくさい場合は出す(飛刀・火竜鏢・韋護)という理由で出番を決定しているように見える。作り手としてそれでいいのか?
クリエイターにとってクオリティに響かないように「上手く手を抜く」事は大事なスキルだと思うのだが、この作品の構成に関しては原作既読者・未読者どちらの方にも向き合っておらず、ただの怠慢という印象を拭えない。
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2018年04月02日
だがしかし2 10・11話感想 ストーリーが一段進行しほたるさん復帰
原作がもうすぐ終わりということが発表されましたね。梅ジャム生産終了を知ったときのほたるさんの気持ちが、今ならよく分かります。
あらすじ
父・ヨウに漫画のことを聞かれたココノツは出張審査会に作品を出すことを決意する。ハジメやサヤのサポートを得て作品を完成させるが、審査会での評価は芳しくないものだった。
審査会からの帰途、落ち込むココノツの前に数カ月ぶりにほたるが現れる。
10話 紋次郎いかと漫画原稿と…
親父の入院先を知らない息子。冷たい。
紋次郎イカBOXは子供心にあこがれだった。単品でも買えたと思うけどいつかBOXを大人買いしたいと思っていた記憶がある。
「お前、隙の多そうな子好きでしょ…」
はい。
「MAXペースを維持できれば間に合う」は「サイコロで6を出し続ければ勝てる」と言ってるのと同じなんだけど、なぜか可能だと思ってしまう心理。わかる。
「横でゲームしながら実況してあげるね!」
親友の一大事に何の役にも立たない男、遠藤豆。極めていつもどおりである。ココノツが漫画家になろうと駄菓子屋を継ごうと、サヤ師かほたるさんのどっちかとくっつこうと、ココノツがどう変化しようとも彼はいつもどおりに接するのだろう。これはヒロイン3人にはできない役割で、ギャグシーンながらコトヤマ先生の友人観が見える気がする。
「自分はシカダ駄菓子のバイトです。上司が困ってるなら部下は手伝いまスよ。」
絵の描ける人だったハジメさん。しかもかなり上手いようなのでココノツと同じように漫画家を目指していた可能性もある。彼女の存在によってココノツの漫画家になるという夢が一段現実味を帯びてくる。ハジメさんが単なるテコ入れ要員やほたるさんの代打ヒロインではなく、ココノツの夢を後押しする、ストーリー上必要な同志だったことがわかる。ちなみに原作だともう少し伏線が入念だった気がする。コタツでたこせん食うエピソード見たかったな。
価格:324円 |
11話 ホームランバーの当たり棒と雪と…
ココノツが描いてる漫画は原作では明示されなかったはず。ラブコメっぽいですね。
こちらも原作にない演出。根拠のない成功妄想やるやる。この作品、男ならココノツや豆のやることにいちいち共感できるところが面白い部分でもあるので、いいオリジナル演出だと思う。
「ココナツが漫画家になるかも知れないんだよ?なんか落ち着かないんだよ!」
「そうだ!帰ったらお祝いしようかな〜♪」
サヤかわMAX。
「多分めっちゃ落ち込んで帰ってくると思うんで。」
ハジメさんの姉さん女房ぶりがたまらない。3ヒロインの役割が分かれていて、ブレないところが魅力的。
「もっと時間かけられなかったの?」
ここのアドバイスが実にリアルというか、コトヤマ先生の実体験なんだろうか。基本がギャグ漫画ながら時たまこういう生っぽい描写が出てくるギャップが印象深い。コトヤマ先生の次回作が気になるところだが、ガチガチのストーリー漫画もちょっと見てみたい。
ホームランバーのアタリを持って出るのもアニオリのはず。ココノツにとってはほたるさんと自身を繋ぐ象徴的なものなので、ほたるさん復帰エピソードとしては大事なアイテムだと思う。ただ、後の描写を思うと漫画家になるルートを選べばほたるさんルートからは外れる気もするので、演出としてふさわしいのかどうかは判断が難しい。
ほたるさん復活ッ!!絵的なインパクトで言えば見開きどーんの原作のほうが強いが、アニメは音楽でドラマチックに演出されている。原作だとほたるさんが映る瞬間まで一切存在を匂わせないサプライズ的な演出だったが、アニメでは原作ファンにはストーリーが知られているからか、来るぞ来るぞ…来た!という期待に応えるタイプの演出になっていたと思う。ホームランバーのアタリを持って出たのもそういう、原作と違う効果を狙ったものなのかもしれない。
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