2018年01月30日
グランクレスト戦記 4話感想 展開こそ早いが戦記ものらしい要素が満載
4話 決断
あらすじ
同盟への帰順はシルーカの養父アウベストの進言によって阻まれ、盟主マリーネとの戦闘になる。シルーカは次善策として連合の実力者、アルトゥーク伯ヴィラールへ救援を求めるが、追い返される。
テオの軍勢は有利な停戦をするべく奮戦するも、マリーネ旗下の騎士団と折り合いがつかず交渉決裂。
敗北必至の状況だったが、そこに現れたヴィラール軍の奇襲によりマリーネ軍は撤退。
ヴィラールがシルーカを追い返したのは、援軍はないと同盟側に思わせるための策だった。
ヴィラールはテオをセーヴィスの王として封じ、シルーカを自らの契約下に置こうとするが
テオはシルーカ1人のためにそれを断り、爵位を手放しヴィラールの従属騎士となる。
感想
アクションは言うことなしの迫力だが、とにかく展開が早い!起こっている事態やキャラクターの行動は非常に魅力的なのだが、それらを実感する前に次のシーンが始まってしまう。
例えばテオが慕われるフラグは前回できっちり立っているのだが、逆に言えば前回くらいしかないので、テオのために命をかける連中が多いということを納得はできるが実感が薄い状態になっている。
2クールで小説10巻分を映像化するようなので無理もないことか。4クールくらいで見たかった。
しかしながら、それゆえにギチギチに詰まっている中身はさすがと言うべきで、戦記物らしい魅力にあふれている。
相手の体面に配慮した、直裁を避けた言い回し
戦記物は人の上に立つ人物を描くことが多く、そういう人物は配下に対して体面を整える必要性が出てくる。
頭ごなしに要求を突きつけるのではなく、角が立たないような(それでいて時に強要的な)言い回しをするシーンが今回のエピソードで多数見られた。
「君は私と契約し使命を見事に果たしたじゃないか。」
→「……ということにしとくから私のものになりなさい。」
好色…アルトゥーク伯・ヴィラールの曲者ぶりがよくわかるセリフ。テオを破格の待遇で迎えつつもシルーカは貰っていくと強く要求している。まあ本人いわく女性を崇拝しているそうなのでシルーカの立場に配慮した部分もあるだろうが…。
「あなたに従属したく存じます。爵位はシルーカ1人を雇えるだけで構いません。」
→「シルーカは渡さない。代わりに従属しましょう。」
上のヴィラールの「要求」を受けてのテオのセリフ。大物君主を上座に迎えて言葉の上では目下の立場を取りながら、実質的部分では丁々発止の鍔迫り合いをする。アツい。広大な領地や高い爵位より君1人が必要なんだ、という色恋ではないが最上級のラブコール。わずか4話目でやるのもったいなくない?
それを瞬時に察するマルグレット先輩も実にいい女である。
「卿らは先刻、武が立たぬと言った。その為にというなら、そこにクライシェ家の紋章は翻っていないと思ったのでな。」
→「お前らの面子のために戦ってんじゃねーんだぞ?まあ好きなようにやれや。」
マリーネ様いい……従属したい。貫禄たっぷりに見えるが、父親の死で突発的に地位を受け継いで、さらに若い女性であるという点から、配下の騎士に対して威を示しつつもある程度配慮しないといけないのかな、というバックグラウンドが見える気がする。
多くの人物において可変的な敵/味方の関係
1話の小者君主などは明らかな敵として描かれているが、今回の相手であるマリーネなどはキャラクターの判断が少し違えば主君となっていた存在であり、逆にヴィラールは今回は友軍として動いたが完全な味方とは言えない存在。
養父アウベストは発端ではシルーカの策を潰したものの、休戦交渉時はシルーカの狙いに沿う動きをしていた。公の立場を全うしつつ娘を救おうとしていた?こういう可変的な人間関係が面白い。
また敵と味方が可変的であるからこそ、逆に、シルーカを全面的に信頼するテオ、そのテオに惹かれ始めるシルーカ、変わらぬ忠誠を誓うラシックなど「揺るぎない味方」の存在が尊く感じられる。
多様な戦術と、心理と実利の間でせめぎ合う戦略
・狭い道に敵を誘い込んで1:1の状況を作る
寡兵で大軍を相手にするときに使われる地形戦術。すごい山道だな…
・友軍すら欺くことで、敵の心理を誘導する
援軍はないと思わせたヴィラールの戦術。アウベストには予見されていたものの勝負を決める一手となった。
・局地的に大勝し、手強しと見せて有利な停戦をする
シルーカが狙うも失敗。騎士団の心理的抵抗を計算に入れていなかった。シルーカさんそういうとこあるよね。
・領地の獲得よりも、前例を作ったことによる弊害を避ける
こちらは養父アウベストの戦略。シルーカの戦略が最高結果追求型なのに対し、養父は最悪結果回避型で真逆の印象。しかしシルーカをやりすぎと評価するも、自分ももうひとりの養女アイシェラにやりすぎと評価されているあたり、根底は似た者同士なのかも。
こうして咀嚼すると本当に戦記物として面白い要素にあふれているのだが、アニメを1回見ただけではなかなか伝わらないかもしれない。個人的にはあと20回これを味わえると思うと楽しみで仕方ないんだけども。
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タグ:グランクレスト戦記
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