2018年03月20日
覇穹封神演義 9話感想 誰向けかもわからない、方針に一貫性を欠くシリーズ構成
9話 神経衰弱
9話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
楊ゼンが金鰲島のバリア解除に成功し、崑崙山は金鰲島へと激突し主砲を破壊する。太公望は楊ゼンを救出すべく、彼の師である玉鼎真人とともに金鰲島へ侵入する。
太公望たちは十天君の一人・孫天君の化血陣に迷い込み、ゲームで勝負をさせられる。
主人の思うがままになる空間で太公望はゲームに敗れるも、玉鼎真人に後を託す。
感想
「何の話がいい?そうだな、俺が影の封神計画遂行者って話はどうだ?」
なにーーーーーっ!第一声でこの作品最大級のネタバレである。前回の記事で王天君の謎を先出しすることによるデメリットなどを書いたが、それをあざ笑うかのように追加で謎をつまびらかにしていくスタイルには仰天する他ない。王天君の目的もほぼ分かってしまったので、後は彼の能力(特性)のみである。謎のグレードで言えば、目的や生い立ちのほうが秘すべき上位であると思うのだが……。
ただ、楊ゼンではなく太公望との関係性がここで匂わされたので、視聴者の興味を引く要素は代わりに供給されたとも言える。この改変と原作のまま、どちらが演出として優れているかは原作ファンの自分には正直分からない。仙界大戦に入ったにも関わらず先取りアバンが復活したことを含めて驚かされたが、このアバンはまさしく序章に過ぎなかった。今エピソードの衝撃はここからが本番である。
原作では蝉玉というキャラが化血陣に誘い込まれてしまうのだが、さすがに出番を省略された彼女が唐突に出現するようなことは無かった。スープーが引きずり込まれる形に改変されている。ただ原作での、蝉玉が勝手にゲームを始める→人形にされて自爆の人質にされる→太公望たちもゲームに参加せざるを得なくなる、という流れを無くしたために、「人質が居ないのだから玉鼎が全部斬るだけでいいのに、なぜか相手の土俵に上がる」という不自然さが生まれている。細かい部分かも知れないが、改変するのであればスープーが即人形にされるとか、自爆の脅威に言及するとか、そういうケアもしてほしかったように思う。
お、三姉妹。趙公明編なしでどうやって彼女らを仲間にするのか、その回答がついに……
…ん?!?!
……んんん??!??!??!
「天化、大丈夫か。オメー腹に変な傷が残ってるんだから無理すんなよ」
………………。
蝉玉が唐突に出現しなかったことにほっとしていたら、天化の傷が唐突に出現した。 三姉妹もいつの間にか仲間になっていた。な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった…。うまく辻褄を合わせるのは難しいだろうとは思っていたが、辻褄を合わせることを放棄するとは思わなかった。どうやら趙公明編など、カットされた部分はあったこととして進んでいるようだ。そう考えればこれまでの「呼んでないスープーちゃん呼び」や「翼だけ出演する雷震子」や「説明のない初封神」など随所のミスも説明がつく。元々辻褄を合わせる気がないからミスではなかったのだ!!
……と納得できればよかったのだが(よくないけど)そうもいかない。それならなぜ今回のエピソードで蝉玉が居ないのだろう。「描写してないけどあったことにする」方針であれば化血陣の戦いで蝉玉も唐突に登場するべきだし、もっと言えば1話から仙界大戦に入ればいいのである。結果としてどっちつかずになり、原作既読者と未読者のどちらに向けているのかわからない、方針に一貫性を欠くシリーズ構成になってしまっているのは否めない。
あ、ここはちゃんと強調するんですね。オチのためには当たり前のことだが、当たり前のことがちゃんと出来ていることに安堵を禁じ得ない。
「玉鼎、後は任せたぞ」「安心しろ、太公望」
♪間遠い未来へ〜
あっ続いた。化血陣で引くとは思わなかった。前回のように重大なイベントであれば引っ張るのはいいと思うが、ここで1週引っ張るのは緊迫感よりテンポの悪さが際立つのではないだろうか……。なんというか、とりあえず毎週先取りアバンやってみたり、とりあえず毎週引いてみたり、と知ってる演出を適当に繰り返すだけで、その効果を理解していないのでは?と勘ぐってしまう。
なんだかんだと驚いた回ではあったが化血陣の戦い自体はコミカルで面白かった。来週にまたぐ描写になったが、ペテン師太公望と生真面目な玉鼎真人の以心伝心の信頼関係も味わい深い。声優さんの演技も見どころである。スープーなどはグランクレスト戦記のヴィラールと同じ人とはとても思えない……。
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