2018年03月22日
グランクレスト戦記 11話感想 美しい画と荘厳な音で演出される滅びの美学
11話 一角獣城、落つ
あらすじ
親アルトゥークの軍勢はソロンを失ったものの、海戦を制し戦闘を優位に進める。しかしマリーネかねての戦略によりノルドの船団が出現し、一転、敗北が決定的となる。
海の宮殿はノルド船団に重囲され、エドキアは逃されるも多くの敵を巻き込んで自爆する。
ヴィラールはマルグレットと共に自らヴァルドリンド軍と戦い、激闘の果てに力尽きる。
一角獣城は陥落しラウラは自決、アルトゥークとヴィラールの聖印はミルザーの手に落ちる。
感想
ヴィラールの美学がある意味ついに結実してしまう滅びの瞬間。ストーリーが進むごとにOPの描写の意味が判明していくのが痛快な反面、悲しい。好色伯って呼ばれてるとかどんなひひじじいだよ、と思った1話がもはや懐かしい。
「君には幸せになって欲しかったのだがね」
「私が不幸に見えますか?」
マルグレット先輩がいい女すぎる……原作では彼女はヴィラールの美学にはまったく共感できないと地の文でこぼしているのだが、彼の「滅びを受け容れる美学」は尊重しつつ「大事な女性を遠ざける美学」は蹴っ飛ばして本懐を遂げるところが冷静さと熱情が同居する彼女の性質とリンクしているように思う。
ヴィラールとマルグレットの、戦闘というよりは命を賭した情交。ランデブーという言葉がぴったりな気もするが、死語ですかね。特攻の直前、慰撫するようにヴィラールの周囲を巡る炎の化身が艶めかしい。どのシーンもかっこよくて何枚キャプチャしても足りない。この美しく躍動する画と荘厳で心揺さぶる音楽は当然アニメならではのものなので、メディアミックスの真骨頂と言える部分なのでは。
今回の悲壮感を実現するためには前半のダンスシーンのようにこの二人の別れを強く描く必要があり、このためには1クール目は主人公が割を食うのもやむなしかもしれない。
「アレクシス殿と君が結ばれることを祈らせてもらうよ……それこそが君の本当の幸せだと思うから」
これが最期の言葉で、マルグレットの「幸せ」を強く理解したであろう直後の言葉と思うと痛切である。
「我が従兄弟殿……私は自分の幸せは捨てたのですよ」
この二人が作中で初めて会話した4話では「普通いとこをいとこ殿とは呼ばないだろ、関係性を説明するためだな」と思ったものだが、その後もほとんどのシーンで「いとこ殿」呼びだった気がする。ヴィラールに敷かれた末路とマリーネが敷いた覇道はどちらもクライシェの血縁に拠るものが大きく、それを思うと「いとこ殿」呼びが多かったのも彼らの心理が顕れたものだったのかも知れない。
勝敗を決定づけたマリーネの戦略、突如出現したノルドの船団。しかし、原作では密偵を使った情報戦の様子が頻繁に描かれているのだが、近場でこんなに船作ってたら絶対バレると思うのだがどうだろう。徹底して隠し切ったと思うしかない。大きな犠牲を払ったミルザー獲得以外にも切り札を用意するマリーネがさすがと言うべきか。
そのノルド船団を率いるウルリカさん。マリーネ姉さまと言っているが血縁ではないっぽい。やたら可愛らしい声や見た目と狂気のベルセルクぶりのギャップが印象的。CV原田彩楓さんは個人的にシンデレラガールズの三船美優役としておなじみ。
エドキア様の契約魔法師ソーラスさん。子供に言及したからこの人が旦那かと思ったら恋人の一人らしい。なるほど、平等。アニメでは名前が出てこないにも関わらず、強力な魔法を披露し死に際に走馬灯までもらえるなかなか良い扱い。先週のソロン様といい端役にもスポットが当たる物語は個人的に好ましい。先週の時点ではエドキア様も危ないかと思っていたが生存したので今後が楽しみである。
ドーソン候、もう声を聞いているだけでムカついてくる。以前も書いたが演者さんの熱演が大きい。こいつが嫌われ役になることによって視聴者のアレクシスへのヘイトが緩和されている感じすらする。分かりやすくていいキャラである。
「各地の領主はあなた方に抵抗するでしょう。アルトゥークに栄光あれ。」
ら、ラウラさーーん!!ヴィラールとマルグレットは覚悟していたけどラウラまで……。ヘルガは生存、コリーンは生死不明なのでおそらく生きているとして、3人セットで助かるか全滅かだと思っていたので意外。7話でアレクシスにのぼせていたところが可愛かった……。偉大な先輩OGの復帰で一歩下がるところに奥ゆかしさを感じたが、それでも現魔法師長としての責任を全うしたと思うと泣ける。
そして完全に負け戦から切り離された主人公テオくん。ヴィラールがあえて遠ざけたようにも見えるけど、1クール目最終話で主人公にセリフがないってなかなか珍しいのでは。後半からの活躍に期待したい。
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タグ:グランクレスト戦記
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