2018年03月02日
グランクレスト戦記 8話感想 マリーネの声色のコントラストに注目 / 理解難度は高め
8話 会議は踊る
あらすじ
ヴィラールはアレクシスとマリーネのエーラムでの馴れ初めを語る。一目惚れしたアレクシスに対し、マリーネは熱意と才能に惹かれつつも立場を理由に拒絶する。
しかし彼の統治に対する信念を知り、彼の妃となることを決意する。
時は戻って現在、連合の方針を決める会議が開かれヴィラールは抗戦を主張する。
和平派のドーソン候に弁舌で勝るも、アレクシスの意図せぬ提案により和平で決してしまう。
マリーネは和平を拒否して進軍を開始し、援軍を望めないアルトゥークは窮地に立たされる。
感想
「愛という言葉は知っていました。ですが貴女を見て、それがどういうものか初めて知りました。」
「君と出会って僕の心はときめき、それが愛だと分かった」
「愛を知った心には逆らえない!」
「君の全てが僕の心に刻まれているから……!」
恥ずかしいセリフ禁止!!!前半部分は総じてこんな感じで見ていて照れくさかった。尊すぎて灰になりそう。
マリーネの声色が昔と今で全く違うのが印象深い。昔の可憐な声色と現在の厳かな声色で強いコントラストがあり、それを意識させられた上で最後の、昔の声色での「さようなら、アレクシス……」の一言が激しい悲壮感を実現している。演出とマリーネCVの茅野愛衣さんの演技が見事である。
最初のラブレター一通読ませただけであの第一印象から大きく巻き返すアレクシスの文才が恐ろしい。もはや呪文である。あやかりたい。
美しいカット。作画のクオリティは毎度さすがである。……いやこれ一晩でやるの無理じゃない?!…まあ例えばイラストなら完成形が脳内ある人は異常に早く仕上げたりできるので、アレクシスなら可能なのかもしれない。
マリーネの侍従レイラさん。マリーネから強く信頼を得ているようでモブではなくちゃんとしたネームドキャラであることが分かる。ちなみに原作だと2巻に登場してアーヴィンと軽口を叩き合うシーンがある。
「本当に愛し合ってるのなら一緒になるべきだ。立場がどうであろうとも。」
あんたが言うか。いや彼だからこそのセリフというべきか。ここでシルーカがちらっとテオを見るところが今週のしるかわ。
「どぉ〜めい勢力に囲まれている中で連合を名乗れば、せェ↑められるのはとぉーぜんというものではないか?」
ドーソン候(CV:横堀悦夫さん)の三下トーンがすばらしい。どういうキャラかを瞬時に印象づけるわかりやすさは作品の理解度にも少なからず影響を与えると思う。こちらも声優さんの力に感じ入る部分である。
会議部分、各所で感想を見るによくわからなかったという人も結構いるようだ。原作では地の文で解説が入る部分なのだが、アニメではそれが不可能なため理解難度はそれなりに高かったように思う。
簡潔に言うと、抗戦派ヴィラールVS和平派ドーソン候の論戦はヴィラールの勝利で終わったのだが、アレクシスが盟主の座を譲るために「武力で対抗するならヴィラールを盟主にしよう」と盟主と方針のリンクに言及してしまったせいで「盟主がアレクシスならやはり和平」という理屈に利用されてしまったと思われる。つまりアレクシスの見事なオウンゴールである。
以下、詳細な理解に必要な前提を挙げる。ちなみに自分は8話後に3巻まで原作を購入して読んだので、アニメ視聴のみの視点と区別して記述していく。
1.アルトゥークは立地的に危険なので連合全体で対抗したい
アルトゥークは元々同盟所属だったが、ヴィラールの父が裏切って連合に付いたという経緯がある。ここまではアニメでも印象に残る部分だが、その経緯ゆえに周囲を同盟勢力に囲まれている、という部分がいささか伝わりづらい。セリフで示唆はされているが、やはり地図などでグラフィカルな印象づけが欲しいところである。ヴィラールが余裕のあるキャラなせいもあるが、実は結構ピンチという印象を受けない点が理解の阻害を招いているように思う。連合の方針が和平では孤軍奮闘を抜け出せない状況なのである。2.同盟のマリーネは和平を受けるつもりがない
マリーネは今でもアレクシスを愛しているようだが、それ以上に大講堂の惨劇を繰り返すことを恐れているように見える。また同盟をまとめきれていない点から和平ですんなり事が収まるとは思っていないように思える。このマリーネの内心という前提がないと和平が選択肢としてなぜまずいのかという点がわかりづらいかもしれない。アニメの描写だけでも内心を察することは十分可能と思うが、原作ではヴィラールがマリーネの内心を確信している記述がある。3.ドーソン候らは和平というより自分が戦いたくないだけ
アレクシスが気付いているかは定かではないが、彼らは和平が現実的と思っているのではなく、自分たちは離れたところにいるのでヴィラールだけに戦わせておけば問題ないと思っているようだ。アニメでは7話のシルーカのセリフで示唆されている。つまり視聴者の思う「ヴィラール負けたらお前らもやばくね?」という疑問に納得の回答があるわけではなく、本当にダメなおっさん達なのである。ここまで敵方にも信念や理がある描写がされてきたので、真に取るに足らない人物が出てくると混乱するというものだろう。4.ヴィラールは血縁的に連合の盟主には適していない
祖父が望まないというのはヴィラールおなじみの直裁を避けた言い回しであり、実際のところは宿敵の孫であり裏切り者の子をトップに据えるのは連合をまとめる意味でリスキーすぎるということだろう。これに気づけなかったのがアレクシスの敗因だが、自分が血縁で今の地位にいる事に否定的なアレクシスには思い至れない感覚かもしれない。こういうキャラクターの心理的盲点が見える作品は大変見応えがあるのだが、分かりづらくなるのは仕方ないところか。「人が幸せに生きるには、心が満たされないといけないから」
オタクとしては強く同意したい。乱世のリーダーには向いていないが、治世であれば名君の資質は十分だったのではないだろうか。同一世界観のファルドリア戦狼記の主人公、レグナムのフラッグが「ライトスタッフ(適材適所)」であったことを思い出す。
原作では君主会議と馴れ初めエピソードの時期は離れていたらしいが、アニメでこの二つのエピソードを連結させることによって、何度失敗しても理想を追う理想主義のアレクシス、失敗を二度と繰り返すまいとする現実主義のマリーネという二人の性格が対照的に表現されたのではないだろうか。
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タグ:グランクレスト戦記
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