2018年03月25日
覇穹封神演義 10話感想 玉鼎真人の喪失を痛烈に印象づける良演出
10話 血の雨
10話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
化血陣の戦いで太公望が敗れるも、彼の策を承けた玉鼎真人が孫天君を撃退する。引き続き楊ゼンを探す太公望たちに対し、王天君が楊ゼンを人質に単身で来るよう誘いかける。
太公望が乗り込もうとするが、楊ゼンの抱える秘密を理由に玉鼎真人が行くことになる。
玉鼎真人は王天君の紅水陣に入り込み、楊ゼンを抱えて脱出した末に封神される。
感想
「とぅぁーいくぉーヴぉーゲェーットぉ さぁ玉てぇー真人、残るは君どぅぁーけどぅぁーよ」
う、うざい!蝉玉人形時と演技を変えているところが芸が細かい。孫天君CVは松岡禎丞さん。モレーノ先輩なにやってんの。
玉鼎ピースかわいい。
「なぜって俺があいつ以上のペテン師だからだ」「いいだろう、行くがいい」
聞仲の「ペテンの質は正反対だがな」はカットせず言ってほしかったな。聞仲が太公望を認めている部分であり、太公望と王天君の関係性の伏線とも言えるので。
「今楊ゼンはお前に来てほしくないはずだ、私にはわかる」
読者・視聴者は神の視点で楊ゼンの正体を知っているから納得の言であるが、知らないキャラクターの視点で聞くと意味不明な内容のはずである。それでも太公望が承諾するのは正体を察したのか、もしくは玉鼎真人との間に揺るぎない信頼関係があるからだろう。孫天君戦で二人の以心伝心を描いたことが活きている。話作りの観点で言えば、視点の違いをきっちり掌握して下準備の孫天君戦を用意した藤崎竜の構成力にうなる。封神演義は全編通してこういう連続性があるところが大きな魅力なので、うまくカットして再構築するのが難しいと言える。連続性を重視するなら、化血陣の解決を今週に引っぱったのも効果的と言えるかもしれない。
「もう一つあるだろう?それはお前を倒すことだ!」
これまでの戦闘シーンは原作のカットを多少動かすくらいだったが、ここはアングルがぐりぐり動いてかっこいい。BGMも相まって盛り上がる部分。後半が静的な展開なのでメリハリが効いている。
「俺って格闘するタイプじゃねえんだよなあ」
ここで無音になる一瞬がゾクっとする。王天君の底知れぬ不気味さがよく出ている演出。
原作からしてそうなんだけど「もっと急いで!!」と言いたくなる。まあ成人男性を大事に抱えて移動するのは大変だろうが…玉鼎真人に武吉ほどのフィジカルがあれば死なずにすんだのかもしれない。とりあえず会話シーンで立ち止まるのはよくない。
玉鼎真人のCVは諏訪部順一さん。個人的にはシャドウバースのユリアスでよく聞く。ユリアスはドスの効いた露悪的なトーンなので、玉鼎の穏やかで父性的なトーンは新鮮だった。この玉鼎の演技だけでも玉鼎ファン・諏訪部ファンとしてはたまらないエピソードになったのではないだろうか。
「見てごらん、楊ゼン。雨が上がったよ」
アニメオリジナルのセリフ。これまでのアニオリ演出は得るものの代わりに失うものもある印象で、良し悪しを判断しかねるところがあったが、今回のこれは玉鼎真人の喪失を痛烈に印象づける、悲劇的で情感の深い演出だと思う。
前回が前回なのでかなり身構えた部分はあるが、今回のエピソードはかなり完璧に近かったのではないだろうか。原作に思い入れが強いとどうしても粗探しのような目線になってしまってよくないと思う。反省。
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