2018年03月17日
グランクレスト戦記 10話感想 主人公不在のメインストリームをどう受け取るか
10話 裏切りの刃
あらすじ
連合から同盟に寝返ったミルザーは父王を弑してダルタニアの軍権を掌握する。アルトゥークはダルタニアに海から、ヴァルドリンドに陸からと両面で侵攻される。
キルヒス王ソロン、ハマーン女王エドキア、レガリア伯セルジュが救援に向かう。
ヴィラールの弟であるセルジュは早着を焦り、ヴァルドリンド軍に包囲される。
ソロンはセルジュを包囲から救い出すも、彼を逃がすために凄絶に討ち果てる。
感想
「貴君は端役に過ぎなかったということだ」
その端役・サブキャラクターにがっつりとスポットが当たった回。ソロン・エドキア・セルジュは6話(ダンス回)の軍議シーン以来の登場。
序盤で地図を使ってグラフィカルに状況を示しているので分かりやすい。できれば毎回これをやってほしいところだが…。
グッドルッキングガイをはべらせるファビュラスな女傑エドキア様。こういう現代人の感覚からはぶっ飛んだキャラを見られるのもファンタジー戦記物のいいところだと思う。
父を弑するほどの激情を持ちながら、自分が望むのは皇帝の地位ではなく皇帝の剣、というミルザーのキャラクターが興味深い。感性は極端だが思考は現実的というギャップを感じる。マリーネから見ると性格的には理想家のアレクシスよりよほど自身に近いのが皮肉である。
ヴィラールの異母弟セルジュくんと契約魔法師エレットさん。生い立ちからして重くシリアスな兄貴と違って、セルジュは愛すべきバカキャラっぽい。エレットはなかなかいい性格をしているようで、全体的に深刻なエピソードにおいて彼らの掛け合いが癒やし。まあ彼の行動の結果としてソロン様死んじゃったんだけど…
「完全ならざる世界を脱し、共に理想世界に旅立とうぞ!」
劇場王ソロン様、実にあっぱれな散り様。口上がいちいちリズミカルで心地よく、味のある好漢だった。ミルザーと渡り合ったモブ船長といい、今回のようにサブキャラクターの描写が濃厚であることは舞台の広さを感じさせるので個人的には好印象……なのだが、彼よりも主人公テオくんの活躍を描くべきでは?という感想もあるようで、それもまた当然と思う。聞く所によると原作でもここでテオの戦闘は描写されないらしい。これをどう受け止めるか。
主人公不在で歴史のメインストリームが進行していくというのは、三国志演義であれば官渡の戦い、大河であれば織田勢以外が主人公の時の本能寺の変、と戦記物としてはあるあるの状況なのだが、見る側がそれを納得するのは「まあ史実だしね」というエクスキューズがあるからという見方もできる。なので、史実縛りのない創作物であれば常に主人公が主役であるべきでは?という主張もわかる。実際、横山光輝三国志では官渡の戦いをスキップしているし、荒川弘の漫画版アルスラーン戦記では敵国ルシタニアの政争は省略されがちである。メディアの違い、発表スパンの違い、読者視聴者層の違い、という部分も意識するべきポイントかも知れない。個人的にはなかなか結論が出ない部分だが、史実縛りがないせいで展開に縛りができる(主人公不在が書きづらい)とすれば皮肉なことだなとも思う。
「あの男に私の部族は滅ぼされました」
ん?つまり巫女になる必要も無くなったのでこの戦いが終わったら結婚できる……?あからさまな言葉に出さずとも、視聴者が死亡フラグを感じてくれることを狙ってのセリフなのだろうか。だとしたらお見事という他ない。
お願い、死なないでヴィラール!あんたが今ここで倒れたら、連合の運命はどうなっちゃうの? 海の宮殿はまだ残ってる。ここを耐えれば、ヴァルドリンドに勝てるんだから!
次回、「一角獣城、落つ」。己の理想を世界に刻め!
……タイトルでネタバレするのやめませんか!いやまあこの流れでヴィラールが無事に勝てるとは思わないけど、そういうのよくないと思います。ついでにこの機会に、もうすぐ出る原作最終巻のタイトルにも文句を言いたい。9巻まで読んでたら予想がつく内容なのかもしれないけど、少なくともアニメ組は検索しないことをオススメします。
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タグ:グランクレスト戦記
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