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2018年03月09日

グランクレスト戦記 9話感想 前回の恋物語から衝撃の落差 / 男女二組の対比が鮮明

9話 漆黒の公女


あらすじ
マリーネへの従属を拒んだパーヴェルの領地スタルクはヴァルドリンドの侵攻を受ける。
ヴィラールはスタルクからの救援要請を断り、強硬に反論したシルーカを領地へ返す。
テオとシルーカは領地を巡る道行きの中で、互いの想いを伝え合う。
マリーネは混沌災害を利用してスタルクの難関を落とし、パーヴェルの聖印を収奪する。
さらにミルザーに接触し、アルトゥーク攻略のために彼に裏切りを交渉する。
ミルザーは覚悟の証として自身に抱かれることを条件とし、マリーネはこれを受け容れる。
感想
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非常に衝撃的なエピソード。あらすじを書くのもなかなか悩ましかった。
あらすじは基本的に「心情は避けて事実を列挙する」「解釈が分かれる部分は書かない」というルールで書いているのだが、今回は個人の心情が大きくストーリーを動かした回だったのでそうも行かず、最後の一行がかなり難しかった。ミルザーがなぜマリーネの身体を要求したのかは解釈が分かれる部分だが、理由の明記を避けるとただのスケベ野郎に読めてしまうので書かざるを得ないという悩ましさがあった。

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「私はアレクシス様を裏切れないのだよ」
裏切れないのだよ、という半ば強いられているような言い方が印象深い。アレクシスへの忠義や愛着があることは本心なのかもしれないが、彼の信念「美学」に反する行動は取れないと言っているようにも思える。

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「それを決めるのは私であってあなたではない!」
スタルクの領主パーヴェル子爵。モブ面のくせになかなか気骨のあるおっさんである。まあ感情的にマリーネを侮ったせいで配下を巻き込んで命を落とす、というしょうもないおっさんでもあるが、個人的には先週のドーソン候よりは好感が持てる人物である。どうか安らかに眠ってほしい。

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「とても大事なことなので厳密にしておきたいのですが!」
役所じゃあるまいし。しるかわMAX。1話のあの生意気さはどこに消えてしまったのか…ちなみに原作だとシルーカは魔法師としては自信家だが女性としては自己評価が低いように描かれている印象。対してテオ様は堂に入っておられる。いわゆる難聴系よりは絵に描いたようなイケメンムーブのほうが好感が持てるが、相変わらず人間味が薄いようにも見える。とりあえず、アイシェラに殺されないように気をつけてほしい。

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しかし1クールの終わりを待たず、結構早くくっつきましたね。プリシラと双子にチャンスはないんですか!俺ぁラブコメで主人公とヒロインがくっつくのはラストがいい派なんだよな〜〜などとアラフォーのおっさんが気持ちの悪いことを思っていたら、後半のインパクトでそれどころじゃなくなった。むしろ後半の闇を深めるための光ですらあった。そう、ラブコメではなく戦記物なのである。

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混沌災害を利用して城塞を落とすシーン。逃げ惑う人の中にメイドさんの姿を描くのが外道感マシマシで上手い。(この世界だとメイドも戦闘員の可能性が高いが。)卑劣な戦法、というと他にもいろいろあると思うが、混沌災害を鎮めることが本来の君主の存在意義であることを踏まえると「道を踏み外した」描写としては最適と言えるのではないだろうか。

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結果的にマリーネの闇落ちを全力で推進しているシルーカパパ。「私情を捨てるべきとはいえやりすぎ」というもうひとりの娘の言葉が彼の主にも刺さる。ある意味では最高、ある意味では最悪の相性といえる主従関係かもしれない。

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「アレクシスが見たらどう思うだろうか……」
スタルク攻略だけでもミルザーの覇道に沿った行いに見えておかしくないが、やはり内心ではアレクシスに未練を残すマリーネ。ミルザーの要求が彼にとっては正解だったことがわかる。

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マリーネの侍女である二人。彼女らが目撃者として怒りと悲しみをあらわにすることで視聴者も共感できる構成になっている。先週彼女らとも信頼関係が構築されていることを描いたことが生きている。


アレクシス役の井口祐一さんのツイートより。見ているだけでも感情移入するのだから、演じるとなればさらに大きく入れ込むものかもしれない。
ミルザーからすると、主人と見込んだヴィラールがアレクシスへの忠義を理由に日和ってしまったため、マリーネにも同じ「アレクシスという轍」を踏まれては困るという思いはあって当然だろう。姿は出てきていないのにアレクシスの影がちらつくエピソードなのが興味深い。

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この作品に関してはアニメで進んだ部分まで原作を読むスタンスなのだが、原作2巻(アニメ5話)は本来ヴァルドリンド騎士団も絡むエピソードになっており、その影響もありマリーネが心理的に追い詰められていく描写がある。先週にマリーネらの馴れ初めが挟まれたのは視聴者が2巻部分でするはずだったマリーネへの感情移入の補完、という側面があるように思う。結果として、切ないロミオとジュリエットをやった直後にこの展開になったのは鬼畜構成と言う他ない。(※称賛です)

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抱かれている最中、決意の表情になり、マリーネ視点で瞳が閉じられて完全に光が遮られる…というラストの演出が印象的。インパクトを狙っただけの無理やりではなく、マリーネ・アレクシス・ミルザー・ヴィラール4者の性格と選択、そして状況が絡み合った結果としてインパクトが生まれる、というストーリーの組み立てが見事である。


posted by ぺーた at 17:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
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