2018年04月17日
グランクレスト戦記 13話感想 原作と受ける印象の違いに注目 / 新OP・EDが素晴らしい
13話 故郷へ
あらすじ
テオたちは7人でシスティナへ上陸、中心街でロッシーニ三男サルヴァドルと黒魔女ヤーナに遭遇する。そこでの戦闘は回避し、村々に蜂起を呼び掛けるが、同調するものはいなかった。
テオの生まれた村で幼馴染のレベッカと再会するが、彼女はテオをサルヴァドルに密告していた。
その思惑を見抜いたテオの行動と、思い直したレベッカの説得により村人を蜂起させることに成功する。
戦闘の結果サルヴァドルを打ち取るが、レベッカは彼の逃走を防ごうとした際に命を落とす。
感想
2クール目に突入し、まず目に入る新OPが大変カッコいい。新規の絵が少なめなのは残念だが、目まぐるしくキャラクターが入れ替わる演出がこれまでの物語を反芻させ、各都市のイラストがこの世界に没入して楽しむ一助となってくれる。新規キャラが見当たらないということは前半で愛着を抱いた面子が引き続き活躍してくれるということだろう、楽しみである。
OP曲を歌うASCAさんの、まさにタイトル通り「凛」とした歌声にも非常に感じ入る。高音部分の清澄さとサビ終わりの勇壮さの両面が魅力的。前EDの「PLEDGE」も良かったが今回の曲調はOPらしい躍動感がさらに好み。
ロッシーニ家三男のサルヴァドル。ワカメ頭はだいたい三下と相場が決まっている(偏見)。CVは保志総一朗さん。個人的に一枚目か二枚目のイケメンが多いイメージなのでこういう役どころは意外。
「お゛前゛た゛ち゛は……!!」
サルヴァドルに甘える時の声とのギャップに笑ってしまう。黒魔女ヤーナさんまさかの再登場。ペデリコはともかくサルヴァドルなどはあまり手強そうに見えないが、初っ端に過去の難敵であったヤーナが出現することで開放が一筋縄ではいかないであろう印象を与えてくれる。
「ロッシーニ家を打倒する難しさが分かってきました……。」
前回Cパートの略奪シーンは正直チープさを感じたものだが、実際は高度にシステム化された圧政だった。シルーカの策は起こした火を広げることに重点を置かれていて、着火する部分はあまり考えていなかったというか、見通しが甘かったようだ。シルーカさんそういうとこあるよね。心理面での詰めが甘くやや楽観的に最高結果を追求する、という傾向が4話から一貫しているので、これはもはやミスというよりは彼女の性質なのだろう。
レベッカの密告を悟りつつも、村への被害を防ぐために単身サルヴァドルの罠に向かうテオ。アーヴィンが助けに来たのにも驚いた様子なので、シルーカと違ってこっちは本当に後先を考えていなかったようだ。まあ聖印も育っているだろうし少人数ならなんとかなる目算はあったのかもしれないが、それにしても向こう見ずである。ただ先週の感想で述べたように、テオの活躍は知力武力よりは性格によって見せられるべきとも思っているので、その点は今回も一貫して成立している。先々を頭に描ける切れ者ではないが、人の心理に聡いテオの性質は前述のシルーカの性質と対極になっており、互いを補いあう存在になっているのが感慨深い。
レベッカさん、おたまは素手と変わらないのでは……包丁とか麺棒とかもうちょいなんかあるでしょ。
流石におたまでの殺戮シーンは描かれませんでしたね。フラッグの恩恵を受ければあるいは…
— dany (@kdany) 2018年4月17日
おたま無双は残虐シーンとしてカットされた可能性がありますね…! pic.twitter.com/g1sqzNl6jU
— ぺーた (@peta_) 2018年4月17日
テオとサルヴァドルが手斧とレイピアで泥臭い戦いをしている横でドラゴンボールのような人外バトルを繰り広げるアーヴィンとボルツ。全体的にリアリティライン高めの演出が多い中で、ここだけ漫画チックでちょっとおもしろい。邪紋使いの戦いは他より強調して超常的に描写されているように思う。
レベッカの危機に焦るテオ。何度か書いてきたがこれまでのテオくんは善良篤実イケメンムーブが過ぎて人間味が薄く感じていたので、システィナで負の面とはいえ人間らしい表情が見られて自分としては満足である。
レベッカ、落命。いつものように13話視聴後に原作5巻を購入したので、ここからは原作との比較を書いてみる。アニメでは思い直したレベッカの説得が村人蜂起の最後の一押しになっているが、原作では改心するタイミングが遅くなんとそのままサルヴァドルにテオを売り、村人の蜂起はテオの行動とシルーカの説得に加えて「状況的な打算」が最後の一押しとなっている。サルヴァドルを食い止めて死亡するところは同じなのだが、原作が命をもって改心と贖罪を果たしたという救いのある印象になるのに対し、アニメは既に改心して功績もあるのに死んでしまう、という後味の悪い印象になっているように思える。村人の蜂起過程は原作のほうがリアリティが高いがアニメのほうがドラマチックなので一長一短と思うが、レベッカの死という結果は同じでも過程によって印象が変わってくるのが興味深い。
負傷者に肩を貸すプリシラ。こういうカットを用意するということは視聴者が「なんでレベッカをヒールしないんだよ」とツッコミを入れることは想定済みということだろうか。レベッカを死なせるために死なせた感がどうしてもしてしまう。ちなみに原作だとプリシラはそのシーンに記述がないのでどこにいるのかもわからない。それはそれでどうなんだ。
新EDはそれぞれの歩みを後ろから映したカットが味わい深い。主従っていいよねと思える構図なだけにプリシラとアイシェラがぼっちなのがかわいそうである。すでに退場したキャラクターもいるのが嬉しく、ヴィラール主従の後ろ姿で泣く。剣とタクトを置いて終わるのがストーリーの結末を示唆しているように思う。
EDテーマ「衝動」はイントロのピアノがこの手の物語性の高いアニメ主題歌の王道を感じさせる。綾野ましろさんの歌声は切なげで情感のこもったものになっており、物語の余韻を味わうのにこれ以上なく相応しいトーンだと感じる。
Tweet
タグ:グランクレスト戦記
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7555162
この記事へのトラックバック