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2015年06月16日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き11(金剛輪)

金剛輪 尊格の配置と順番

続いて供養会 金剛輪内の尊像パーツ描きに進みます。

金剛輪内の尊格の配置と順番がちょっとわかりにくいのでここでかいつまんで説明します。

すこし詳しい内容は三昧耶会 金剛輪の記事で説明してますのでご参照ください。

EPSON004-Edit-Edit-3-Edit-Edit-4.jpg
(金剛界 供養会 金剛輪尊格)

金剛輪内の尊格は大きく四つのグループ(@〜C)に分かれます。
   @ 五仏     (白番号:1〜5)
   A 四波羅蜜菩薩 (黄番号:6〜9)
   B 十六大菩薩  (水色番号:10〜25)
   C 内四供養菩薩 (桃色番号:26〜29)

       (カッコ内の色数字は上図の色番号に対応します。)
@ 五仏(白番号:1〜5)

白番号1〜5の五仏(五智如来)は金剛輪内に十字に配された五つの解脱輪の中央に住します。

金剛界曼荼羅世界は中尊 毘盧遮那如来(1)を中心にできていて、四方四仏(2〜5)は東南西北の時計周りに配されます(金剛界曼荼羅は上が西)。
A 四波羅蜜菩薩(黄番号:6〜9)

黄番号6〜9の四波羅蜜菩薩は毘盧遮那如来(1)の四方を囲むように東南西北の順に時計周りに住しています。
B 十六大菩薩(水色番号:10〜25)

水色番号10〜25の十六大菩薩は毘盧遮那如来(1)と四仏(2〜5)との位置関係から配置が決まります。

各四仏を取り囲む十六大菩薩をそれぞれ四親近菩薩と言い、それぞれ次の二つのルールに従って配置が決まります。

  1)毘盧遮那如来に近い方が上位
  2)毘盧遮那如来に向かって四仏の右側が上位


尊格がこちらを向きに座して描いている西院本金剛界曼荼羅ではわかりにくいのですが、金剛界世界では毘盧遮那如来に向かって説法を聴いていますので、同グループ内では毘盧遮那如来に近い尊格が上位になり、また右側上位文化の影響も働いています。
C 内の四供養菩薩(桃色番号:26〜29)

桃色番号26〜29の内四供養菩薩は八方位の東南西北が抜け「東南→南西→西北→北東」の順に配されることになります。

次回から以上の分類と順番で上記1〜29の尊格を順にパーツ描きしていこうと思います。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月15日

本紹介 No. 021 水野弘元 著『釈尊の生涯』

水野弘元 著『釈尊の生涯』

密教や曼荼羅の理解には、釈尊についての知識が必要となることが少なくない。

仏教のはじまりとなる釈尊ゴータマブッダとはいかなることであったのか。その時代・思想の背景、人物、出来事などから仏教が起きた理由や状況を知りたい。

そう思い釈尊の伝記を読むことにした。

水野弘元 著『釈尊の生涯』(春秋社 1972)


人類史上一回限りの現象であった釈尊の悟りとはどのようなことであったか。
構成

四六判、318ページ、ハードカバー、図版はインド地図のみ

構成は以下の通り。

  まえがき
   一、釈尊および釈尊伝について
   二、釈尊前後のインドの時代と環境
   三、釈迦族について
   四、釈尊の出生から出家前まで
   五、出家の旅にのぼる
   六、太子の修道ー(一)禅定
   七、太子の修道ー(二)苦行
   八、菩提樹下の思惟と成道
   九、さとりの内容ー仏教の立場からみた外教批判
  一〇、成道後の坐禅思惟
  一一、最初の説法
  一二、ベナレスにおけるヤサなどの教化
  一三、ウルヴェーラーにおけるカッサパ兄弟の帰仏
  一四、サーリプッタ、モッガラーナおよびマハーカッサパの帰仏
  十五、マガダ濃くにおける一般民衆への教化
  十六、故郷釈迦国の訪問
  十七、祇園精舎の建立とコーサラへの仏教の進出
  十八、コーサラ国における教化
  十九、比丘尼教団の成立と長老尼たち
  二〇、西方地域への遊歴
  二一、デーヴダッタの反逆など
  二二、最後の遊歴
  二三、仏の入滅
   付、釈尊の伝記について
  索引

内容

著者は、いわゆる仏伝には史実に反した荒唐無稽の超人伝説的要素が含まれ、これがかえって実在した釈尊ゴータマブッダを捉えにくくしているとし、できるだけ根拠が明確で史実に近いと考えられうることのみを抽出し実在した釈尊の生涯を浮き上がらせたいとしている。

そこで主に南伝大蔵経(パーリ文献)の記述を根拠に時間的(いつのことか)・空間的(どこでのできごとか)矛盾が生じず、現実的と考えられるできごとに関してのみまとめている。

一方で、釈尊の神通奇跡を荒唐無稽な創作として排斥せず、非常に高い精神性と広範な知識、高度に発達した洞察力や人心掌握術の結果が一般の者には神通力や奇跡にみえた可能性があるとしている点が興味深い。

ヴェーダ、ブラーフマナ、ウパニシャッドの時代背景からの流れで釈尊の生きた時代を理解し、釈尊の思想と他の思想との比較考察を行い、仏教の独自性と特異性を強調している。

他の宗教や哲学は世界や人生が(いつまで)あるかないか(本体論)を問題とし、また、変えられないものである(宿命論)としたが、釈尊は世界や人生がどうあるか(現象論)を明らかにし、どのようにあるべきか(実践論)を説いた。

そのことは釈尊の悟りの内実として縁起と四諦を知り、三明六通を体得し、その成果として世界・人生の平和と幸福を実現することを理想とするとしている。別の言い方をすれば、一切皆苦を出発点とし、個人人格の完成や社会の融和浄化を目標としているといえる。

本書の記述は大変に論理的でわかりやすく、釈尊の生涯を通して仏教の本質に迫る姿勢がみられる。

その一方で、十二縁起説や三論、思念処、大空法などの概念は解説せずに使われているために、ある程度の仏教知識が無いと理解しにくい。

気になる点としては成道を得てからは釈尊が教化した様々な登場人物の話がほとんどですこし飽きてくる。

また、しかたのないことであるが、基本的な問題点として、釈尊のものとして語られる思想が、釈尊個人のものであるのか、仏教の歴史的産物や仏教研究の結果、あるいは、著者の思想の反映であるのかを本書のみによっては区別できない。

その意味でこの一冊にとどまらず広く釈尊の生涯や仏伝に類する記述に当たらなくてはならないと思う。
曼荼羅作画とのかかわり

本書を読むにあたり、釈尊の生涯を理解することで、仏教や密教美術を図像学的に解釈するための基盤が作れるかもしれないと期待していた。

例えば、阿閦如来の触地印や不空成就如来の施無畏印といった印契の由来となる釈尊の出来事とはどのようなことであったのかを理解できるものと考えていた。しかしながらこの本にはそのような内容は書かれていない。

一方で、釈尊の生涯から密教の教義の元となる事柄の幾つかを理解することができた。

仏教が釈尊の悟りや教えを理解するために様々な概念を展開させてきたと考えれば、密教の中に釈尊の思想が含まれているのは当然である。

仏教の起こりを知ることで曼荼羅を生み出した歴史の一端を知ることができるものと期待する。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ




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2015年06月14日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き10(第二重6)

第二重の尊像パーツ描き 6回目

今回の賢劫十六尊の北側の四尊(21〜24)で、供養会第二重の尊像パーツ描きの最後です。

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-3.jpg
(金剛界 供養会第二重 賢劫十六尊北方四尊:21〜24)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西

第二重 尊像パーツ B 賢劫十六尊北(黄色番号21〜24)

21)無尽意菩薩

_DSC5226-Edit-Edit-Edit-3.jpg
だいぶ絵の具の剥離がはげしいが、図像の形や色の判別は容易。

無尽意菩薩は無量慧菩薩ともいい、尽きることのない仏の智慧であまねく衆生に満足を与える菩薩。
梵篋(経典の意)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。梵篋は無尽蔵の仏智を象徴し、智慧の無限の働きを示す。

22)辯積菩薩

_DSC5226-Edit-Edit-2-Edit-2.jpg
とくに月輪の白い絵の具の剥離がはげしいが、一方で尊像の墨線や色はよく保存されている。

辯積菩薩は文殊菩薩のことで、なめらかに辯舌を積み上げ、辯説巧みに衆生を導く菩薩。
五色雲を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。五色雲は広大無限の智慧の象徴。

23)金剛蔵菩薩

_DSC5226-Edit-Edit-3-Edit.jpg
蓮華上の三昧耶形の判別が難しい。

金剛蔵菩薩は金剛薩埵と同体で、金剛智を胎蔵する菩薩。
井形独鈷杵を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。井形独鈷杵は堅固な智慧を象徴する。

24)普賢菩薩

_DSC5226-Edit-Edit-2-Edit-Edit.jpg
北方賢劫四尊の捧げ持つ蓮華の向きは全て左腕側になっている。これらの配置になにか重要な意味があるだろうか。

普賢菩薩は普く二徳が行き渡るにことにより衆生を救う賢者の意を表す菩薩。
金剛剣を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。金剛剣は悪鬼・煩悩を滅する大いなる智慧の働きを象徴する。

以上。

これで供養会第二重の尊像パーツ描きを終わり。次は金剛輪の中の尊格へ進みます。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月13日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き9(第二重5)

第二重の尊像パーツ描き 5回目

供養会第二重の尊像パーツ描きをしています。
今回は賢劫十六尊のうち西側の四尊(17〜20)です。

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-5.jpg
(金剛界 供養会第二重 賢劫十六尊西方四尊:17〜20)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西

第二重 尊像パーツ B 賢劫十六尊西(黄色番号17〜20)

17)無量光菩薩

5_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit-3.jpg
色、形とも細部までよく保存されている。上衣の赤い色が鮮やか。剥離の全くない鮮やかな図像を見たい。

無量光菩薩は無量の智慧の光によってあまねく十方世界を照らす菩薩。
光明を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。無量光明は無量の智慧の光を象徴する。

18)賢護菩薩

5_DSC5226-Edit-Edit-Edit-4.jpg
これも、蓮華上の三昧耶形に至るまで形がよく保存されている。千年の時を経ているとすればやはり奇跡的とおもう。

賢護菩薩の衆生救済を固く誓願し、魔性・煩悩から衆生を賢く護る菩薩。
賢瓶を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。賢瓶の中には煩悩を滅する智慧が入っている。

19)光網菩薩

5_DSC5226-Edit-Edit-Edit-2.jpg
ここも細部の形がよくわかる。

光網菩薩は網明菩薩ともいい、苦海に溺れる衆生を智慧の光の網で救うことを誓願した菩薩。
羅網(宝珠を連ねた光り輝く網)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。羅網は衆生救済の方便の網である。

20)月光菩薩

5_DSC5226-Edit-Edit-Edit-2-Edit.jpg
蓮華座の花びらの色も着衣の色との兼ね合いで決まっているところがあるよう。

月光菩薩は暗夜の月の光のように衆生の迷闇を照らし菩提心の円満を導く菩薩。
三日月を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。月光は清涼なる光にて煩悩炎を滅する境地へと導く。

以上です。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月12日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き8(第二重4)

第二重の尊像パーツ描き 4回目

供養会第二重の尊像パーツ描き中です。
今回は賢劫十六尊のうち南方の四尊(13〜16)について。

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-3-Edit-2.jpg
(金剛界 供養会第二重 賢劫十六尊の南方四尊:13〜16)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西
第二重 尊像パーツ B 賢劫十六尊南(黄色番号13〜16)

13)香象菩薩

4_DSC5226-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit.jpg
南方賢劫四尊では三昧耶形を載せた蓮華が13,14,15,16の順に左手側、右手側、左手側、左手側になっている。着衣も上衣だけ見た場合に13,14,15,16の順に赤、橙、橙、赤になっている。蓮華の向きや着衣の色は交互順番のルールがあると思っていたが、それほど単純でもないか。

香象菩薩の香象とは発情期に芳香を放ち異性を誘引する象のことを示す。
香器を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。香器は仏の慈徳が心を清め拡がることを香の清涼なかおりが身体を清め広くひろがることで象徴している。

14)大精進菩薩

4_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit-Edit-Edit.jpg
同じような尊像がつづく・・・

大精進菩薩は勇猛菩薩ともいい、衆生の苦難を砕破する菩薩。
独鈷戟(鏘戟ともいい先端に独鈷杵をつけた槍)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。精進努力を怠らず、菩提心を貫くことを象徴する。

15)虚空蔵菩薩

4_DSC5226-Edit-Edit-2-Edit-Edit-2.jpg
すこし絵の具の剥離があるが保存度は高い。

虚空蔵菩薩は二徳(福徳と智慧)に富み、その広がりが虚空(宇宙)に等しいとされる。
三瓣宝珠を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。三瓣宝珠は虚空蔵菩薩が二徳を豊満していることを如意宝珠があらゆる富喜を包含していることで象徴している。

16)智幢菩薩

4_DSC5226-Edit-Edit-3-Edit-2.jpg
ここで蓮華に載る如意幢幡は旗頭の如意宝珠と同じくらい旗そのものが重要。供養会は蓮華上に載る三昧耶形に尊格の存在意義があるので、三昧耶形が見えにくくなっているところを理解するために描くという意味では、他の会と比べても供養会は重要。

智幢菩薩は智慧の幢幡を意味し、如意宝珠は智慧の象徴。
如意幢幡(如意宝珠を旗頭に載せた幢幡(旗))を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。如意幢幡は仏智と衆生済度を旗印とし衆生を鼓舞し仏の道を突き進むことを象徴する。

以上、賢劫十六尊のうち南方の四尊は仏の慈悲・智慧・福徳を観得し精進に励むことを象徴する菩薩が見られる。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月11日

本紹介 No. 020『図説 「理趣経」入門』

『図説 「理趣経」入門』

前回の本紹介『図説 密教入門』でしたが、そのp31に

金剛界曼荼羅とその根本経典である『金剛頂経』、また胎蔵界曼荼羅とその根本経典である『大日経』、それに真言宗でもっとも大切な経典である『理趣経』については『図説 理趣経入門』(鈴木出版社)で詳しく述べてあります。ご参照ください。

とありましたので参照します。

大栗道榮 著 『図説 「理趣経」入門』(鈴木出版社  1997)


構成

四六版、254ページ、モノクロ

構成は以下の通り。

      はじめに
      I 密教の世界
         密教の仏さま
         密教経典と曼荼羅
         理趣経のあらまし
  
      II 理趣経の教え
         勧請
         序説
         初段  大乗の法門 金剛薩埵の巻
         二段  覚証の法門 大日如来の巻
         三段  降伏の法門 降三世明王の巻
         四段  観照の法門 観世音菩薩の巻
         五段  富の法門 虚空蔵菩薩の巻
         六段  実働の法門 金剛拳菩薩の巻
         七段  転字輪の法門 文殊菩薩の巻
         八段  入大輪の法門 転法輪菩薩の巻
         九段  供養の法門 虚空庫菩薩の巻
         十段  忿怒の法門 摧一切魔菩薩の巻
         十一段 普集の法門 降三世教令輪の巻
         十二段 有情加持の法門 外金剛部の巻
         十三段 諸母天の法門 七母天の巻
         十四段 兄弟の法門 三兄弟の巻
         十五段 姉妹の法門 四姉妹の巻
         十六段 各具の法門 五部具会の巻
         十七段 深秘の法門 五秘密の巻
         流通
         合殺
         回向
      おわりに


なるほど
内容

本書を読むきっかけとなった『図説 密教入門』と重なる表現もみられますが、ほとんどが『理趣経』の解説に当てられています。

『図説 密教入門』との違いとして、和尚が大石くんと小石くんという二人の弟子に教えるスタイルで書かれており、会話形式を織り込んだ表現になっています。

初めの方で金剛界曼荼羅や胎蔵界曼荼羅の解説もなされておりますが、それほど詳しいというわけでもありませんでした。あくまで、メインは『理趣経』です。

『理趣経』の十七段全てに読み仮名付きの漢文と意訳文があり、詳しい解説がなされています。また、解説の中で、十七清浄句や四障(四魔)、十善戒、阿字観、六種供養と六波羅蜜行、菩薩行などについて機会を得て説明しています。

『理趣会』で説かれる十七もの段をただ漫然と解説されても途中で飽きてしまうかもしれません。本書では大石くん、小石くんと和尚の掛け合いのなかから様々な事柄を解説し、いつの間にか『理趣経』の理解が進むようになっています。

結論を先に言えば、今回『理趣経』のイメージが全く変わりました。

どうも『理趣経』には「性欲」のイメージが付きまとうために、積極的に学ぼうという気にはなれませんでした。

また、理趣会の下絵を描いている時も主尊が金剛薩埵であったり、他の会に登場しない菩薩が描かれていたりするため特殊な会だと感じ、両界曼荼羅を描く上でもあまり重視していませんでした。

両界曼荼羅を『大日経』『金剛頂経』『理趣経』の三経で単純に割ると、『大日経』が全体の半分、『金剛頂経』が半分のさらに9分の8で、『理趣経』は理趣会に相当するので全体の半分の9分の1になる。

単純計算では両界曼荼羅への『理趣経』の貢献度は約5-6%になる。

にもかかわらず、真言密教では『理趣経』を重視しているので、常々なぜだろう?と思っていた。

『理趣経』を読んでみて、非常にわかりやすく、短いなかに様々な角度から密教の教えを説いている興味深い経典であることがわかりました。

この十七段のなかに能く仏の智慧が現されています。

また、真言宗では毎日の勤行で他の経典ではなく『理趣経』を唱えることから、真言宗では『理趣経』を重要視していると思っていましたが、単に『理趣経』のなかに読誦の功徳が説かれているためであることがわかりました。

『理趣経』につきまとう「性欲」のイメージにしても、十七段のうち「性欲」に関する記述は初段のみで他には出てこず、『理趣経』をもって「性欲」のイメージとするのは間違いであることがわかりました。

『理趣経』初段で「性欲」を中心に話が始まるのは、経典成立の上でシャクティズムとの兼ね合いもあるのでしょうが、「性欲」にしか興味がない者や「性欲」にとらわれている者にも成道への道を示そうとした入門としての役割があるのではないかと思いました。

そう、本書は『図説「理趣経」入門』となっていますが、『理趣経』そのものが密教(五部)への入門書とみなせます。

・・・まあ、僕が知らないだけで、他に有名な入門用経典があるかもしれませんので、他の経典も読んでみないとなんとも言えませんが・・・

今回『図説 密教入門』からのながれであまり考えずに本書を読みましたが、予期せず『理趣経』を理解することができました。

入門用の経典なのでわかりやすく書かれているのでしょうが、他の経典を読み解くきっかけになったと思います。

本書と同じようなスタイルで『大日経』と『金剛頂経』を解説してくれる本ってどこかにないかなあ。
曼荼羅作画とのかかわり

すでに理趣会の下書きは終えていますが、これからが本番ですし、これから描く金剛界曼荼羅の会についても今回読んだ『理趣経』の知識が役に立つと思います。

でも・・・『理趣経』の中に理趣会を描くための尊像の姿や配置についての記述はなかったと思う・・・

あれっ?どうやって理趣会を描いているのだろう?『理趣釈経』の方に書いてあるのだったかな?

まだまだ読まなければならない本や経典が山積みです。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ




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2015年06月10日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き7(第二重3)

第二重の尊像パーツ描き 3回目

今回から供養会のB 賢劫十六尊を東南西北の四回に分けてあげていきます。
今回は賢劫十六尊のうち東側の四尊(9〜12)です。

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-6.jpg
(金剛界 供養会第二重 賢劫十六尊:9〜12)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西

時間を過去・現在・未来に分け、現在に現れる千仏を賢劫千仏といい、その上位十六尊を賢劫十六尊と言います。
第二重 尊像パーツ B 賢劫十六尊東(黄色番号:9〜12)

9)慈氏菩薩

3_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit.jpg
蓮華を両手で持つ形がほとんど同じなので、供養会は描きやすいと思ったのだけれど、小さな三昧耶形を詳しく描くのはそれなりに手間がかかる。

慈氏菩薩は別名で弥勒菩薩といい、賢劫十六尊の筆頭菩薩。
軍持(ぐんじ=水差し、梵語のクンディの音訳)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。軍持は慈徳をあらわし、衆生に智慧の水を注ぐ働きの象徴。

10)不空見菩薩

3_DSC5226-Edit-Edit-2-Edit.jpg
前々回や前回描いた尊像パーツの外四供養菩薩や四摂菩薩はそれぞれのグループで光背や着衣の色が共通になっていた。しかし、ここでは光背の色は同じでも、9,10,11,12と北から南に向けて並ぶのにもかかわらず上衣と下衣の色が交互に変化する。

「見逃さない」の意を名にする不空見菩薩は仏眼(五眼)を開き遍く衆生を観察、済度する菩薩。
仏眼独鈷杵(独鈷杵の左右に仏眼)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。仏眼独鈷杵は衆生をよく見、煩悩を砕破する働きの象徴。

11)滅悪趣菩薩

3_DSC5226-Edit-Edit-Edit.jpg
東方に位置する賢劫四尊の捧げ持つ三昧耶形蓮華は9,10,11,12と左手側、右手側、左手側、右手側と交互に向きを変えている。これにより絵にリズム感や動きが現れ、かつ、全体のバランスを取っているのだと思う。細部まで意識が向いていることがわかる。

滅悪趣菩薩は衆生を地獄道・餓鬼道・畜生道の三悪趣から離れさせることを誓願した菩薩。
梵篋(経典の入った箱または経典)を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。梵篋は法門(仏の教え)を象徴し、三悪趣に堕ちた衆生を法門により救済する働きの象徴。

12)除憂闇菩薩

3_DSC5226-Edit-Edit-2.jpg
これは蓮華に載る三昧耶形がほとんど見えない。

除憂闇菩薩は衆生の一切の憂悩と心の闇(迷妄・暗愚)を砕破する智慧を象徴する菩薩。
無憂樹の五葉を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。無憂樹五葉は衆生の憂悩や煩悩を払う働きの象徴。

ここでは、仏の智慧と煩悩砕破の働きにより、遍く衆生救済の誓願をする菩薩が見られる。

以上、東方の賢劫四尊でした。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月09日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き6(第二重2)

第二重の尊像パーツ描き 2回目

金剛界供養会第二重の尊像描きをしています。

今回はA 四摂菩薩(番号:5〜8)です。

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-3-Edit.jpg
(金剛界 供養会第二重 5〜8)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西

第二重 三昧耶形パーツ A 四摂菩薩(番号:5〜8)


5)金剛鉤菩薩

2_DSC5226-Edit-Edit-3.jpg
ほとんどなにがなんだかわからないが色の配置が見えるのは助かる。

金剛鉤菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重東門を守護、管理する門衛。
金剛三鈷鉤を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。金剛三鈷鉤は衆生済度、諸尊集合の象徴。

6)金剛索菩薩

2_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit-Edit-2.jpg
これは正直絵を浮かび上がらせるのが難しいがヒントはある。

金剛索菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重南門を守護、管理する門衛。
金剛龍索を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。金剛龍索は衆生を菩提にとらえ引き入れる働きの象徴。

7)金剛鎖菩薩

2_DSC5226-Edit-Edit-5-Edit.jpg
ここでは三昧耶形が見えにくいが尊像は大変よく保存されている。

金剛鎖菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重西門を守護、管理する門衛。
金剛鎖を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。金剛鎖は衆生を菩提に繋ぎとめる働きの象徴。

8)金剛鈴菩薩

2_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit-2.jpg
蓮華上に乗っているはずの金剛五鈷鈴がほとんどわからない。また、これに限らず三昧耶形を火炎で包むべきか否か。多分全て火炎で包むがここでは小さな三昧耶形の形を見やすくするために包まずにおいている。

金剛鈴菩薩は毘盧遮那如来の心の臓よりを出生し第二重北門を守護、管理する門衛。
金剛鈴を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。金剛鈴は衆生を歓喜せしめ菩提に留めおく働きの象徴。

以上。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月08日

金剛界 供養会 尊像パーツ描き5(第二重1)

第二重の尊像パーツ描き 1回目

外周が終わって次は第二重の尊像パーツ描きです。
第二重の尊格の配置については三昧耶会のところでも説明しました(2015/05/07の記事参照)。

ここでは供養会の配置と番号をあげておきます。

第二重の二十四尊格は大きく三つに分類されます。
    @ 外四供養菩薩(白番号:1〜4)
    A 四摂菩薩  (水色番号:5〜8)
    B 賢劫十六尊 (黄色番号:9〜24)

      (カッコ内の色と数字は次の図の色番号に対応)

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit-4.jpg
(金剛界 供養会第二重 色番号付)

今回から第二重の尊像パーツを何回かに分けて描きます。
今回は@ 外四供養菩薩(1〜4)です。
第二重 供養会尊像パーツ @ 外四供養菩薩(1〜4)

EPSON004-Edit-Edit-2-Edit-Edit-Edit.jpg
(金剛界 供養会第二重 1〜4)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西

1)金剛焼香菩薩

1_DSC5226-Edit-Edit-3-Edit-Edit.jpg
ここから月輪円内に蓮華座に座す尊像を描く。尊像は両手で三昧耶形を載せた蓮華を捧げ持つ。ここに見られる外四供養菩薩はまさに「供養」を象徴する尊格であり供養会で光るように感じる。

金剛焼香菩薩は阿閦如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、焼香を尊格化したもの。
宝香炉を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。

2)金剛華菩薩

1_DSC5226-Edit-Edit-5.jpg
外四供養菩薩は全て光背や着衣の色が統一されている。統一することで同じグループに属していることを図像から示そうとしているのだとおもう。

金剛華菩薩は宝生如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、盛華を尊格化したもの。
盛華を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。

3)金剛橙菩薩

1_DSC5226-Edit-Edit-4.jpg
この上二つは左手側に三昧耶形を捧げ持つようにしていたが、ここから下二つはは右腕側に捧げ持つ。これは外四供養菩薩がそれぞれ四仏によって毘盧遮那如来を供養するために出生したことから毘盧遮那如来に向けて捧げ持つようにしているため。

金剛橙菩薩は阿弥陀如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、橙燭を尊格化したもの。
橙燭を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。

4)金剛塗香菩薩

1_DSC5226-Edit-Edit-Edit-Edit-Edit.jpg
それぞれ目を閉じ真剣に念ずるイメージで描いている。

金剛塗香菩薩不空成就如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊であり、塗香器を尊格化したもの。
塗香器を載せた蓮華を両手で捧げ持つ。

色数が限られている中にあって絶妙なバランスでの配色がすばらしい。
下絵の描きかたは軌道に乗りはじめたと思ったら、意識が自然に色へ向かうようになってきた。

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ

2015年06月07日

本紹介 No. 019『図説 密教入門』

『図説 密教入門』

これまで両界曼荼羅を中心に密教と諸尊や密教美術の本をみてきましたが、そもそも密教では何をするのでしょう?

観法や儀式の名称などを幾つか目にしましたが、実際に密教僧のかたがどのような修行をされているのか全くわかっていません。

では、密教に入門してみようということで・・・

大栗道榮 著 『図説 密教入門』(鈴木出版社 2000)


まずは本でお勉強です。
構成

四六版、198ページ、モノクロ

構成は以下の通り。

      はじめに 
      第1章 密教の根本経典と曼荼羅
         五部の秘経
         金剛界曼荼羅
         胎蔵界曼荼羅
         修行道場と曼荼羅
         五輪塔婆
         念珠

      第2章 密教の修行
         密教修行の実際
         修行の心がまえ
         心を落ち着ける修行法「阿字観」
         密教の秘法「護身法」

      第3章 密教の歴史と教え
         密教を伝えた八人の祖師
         弘法大師空海の生涯
         代表的な大師の著作
         大師と縁の深い経典
         空海と最澄
         密教行者 覚鑁
         大師の教え
         煩悩・六道・六波羅密行

      第4章 密教の儀式とご真言
         声明
         法会
         儀式と四度加行
         密教のご真言
      おわりに


上げた項目がちょっと多いのですが、これらの項目から本書がどのような本であるかが見えてきます。
内容

章立てだけでも、

      第1章 密教の根本経典と曼荼羅
      第2章 密教の修行
      第3章 密教の歴史と教え
      第4章 密教の儀式とご真言

と密教の基礎と実践について一通り書かれています。
このうち基本的な内容については覚えておかないとまずそうです。

これまで読んできた本が知識の本とするならば、本書は実践の本と言えると思います。これは貴重です。

三句の法門の解説にはじまり、入我我入の仕方や五相成身観(月輪観)、阿字観の観法、護身法の実践方法が説かれています。

五輪塔婆や卒塔婆および支分生曼荼羅のこと、念珠の密教的解釈や由来、部分の名称に使い方など、密教と関わりのある方なら常識なのかもしれませんが、これまで知らなかったことがわんさか出てきます。

第2章の密教の修行では修行道場の作り方について壇の大きさや宝塔・五瓶・輪宝などの位置、金剛盤・独鈷杵・三鈷杵・五鈷杵・五鈷鈴の配置なども絵入りでひとつひとつ具体的に解説されています。

法会では、施餓鬼法会、土砂加持法会、理趣三昧法会、庭儀大曼荼羅供法会について簡単な説明があり、得度式や四度加行、灌頂の種類など密教の儀式について書かれています。

最後には金剛界大日如来、胎蔵界大日如来、虚空蔵菩薩、五大明王、聖天、毘沙門天、弁財天および光明真言のご真言がルビ付の梵字で示されています。

これら修行や法会の実際や実践に限らず、密教の歴史や伝持の八祖、弘法大師の生涯や代表的著作についても詳しく解説されています。

内容は深く多岐によ呼びますが、やさしく丁寧な解説により理解しやすいと思います。

密教の実践を行おうと思いました。
曼荼羅作画とのかかわり

曼荼羅を描いて・・・さて、どうするのか?全く考えていません。

いまのところ描くことに意味があると思っていますが、さて、密教ってなんだっただろうか?

曼荼羅や密教のことを調べるなかで曼荼羅の使用法に限らず、修行や法会を含めた密教全般について知る必要があると思い始めました。

本書を読みあらためて実践のなかにこそ本当の意味での密教があると思いました。そのことをわすれないように心に留めて曼荼羅を描きます。

南無大師遍照金剛

では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ




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