10/02(水)TV出演した福井晴敏氏を見て「キャラホビ2013」のメインステージの話を思い出したのでレポートにまとめておこうと思う。当然の様にイベントは撮影録画録音禁止なので記憶を頼りに私が見聞きした内容を記録していく。記憶をもとに書き起こしているので間違いがあったらその時は勘弁して頂きたい。(敬称略)
13/08/31(土) 15:30〜16:10 『キャプテンハーロック』トークイベント
出演は荒牧伸志監督、脚本の福井晴敏の2名。最初に映画冒頭15分の上映があった。「この続きが気になる方は映画館へ」と福井氏は笑って案内した。
この映像をもとに2人が制作5年間の苦労を語った。『キャプテンハーロック』は東映アニメーションのプロジェクトとして予算と時間に制限を設けず制作することが出来た。これはクリエイターとして幸せかと言うと質の探求に切りが無くなり精神的な負担になったと2人は同意した。
福井氏は「よくハリウッド映画で製作費なん億円というセールストークを聞くが、話題作りに大金が注ぎ込まれたとかさ上げしていると思っていた。実際自分がCGアニメ制作に関わったら、本当に多額の費用が掛かると分かった。ちょっと頑張ってテクスチャを貼ったら数百万なんて簡単に消えていく。」と苦笑した。
荒牧監督も「CG技術は日進月歩の世界で、ピクサー・アニメーション・スタジオが毎年新作を公開するとクオリティが1段階上がってしまう。すると今まで作ったシーンを新しいツールで再制作しないと映像の質の一貫性が保てず、年数を掛ける程作り直しの手間が掛かった。」と長期に亘る制作の苦労を語った。
福井氏は「この作品は2D/3D同時公開だが是非3Dで見て欲しい。最初から3D効果を考慮して制作したので見ごたえがある。特に宇宙空間での艦隊戦は2Dで見るとビームやミサイルが入り乱れて位置関係が分かり難いが、3Dでは奥行きが感じられて非常に分かり易くなる。」とAV Phileらしく3Dを薦めていた。(笑)
荒牧監督は「セルアニメ(漫画的なキャラクターデザイン)では観客層が狭まってしまう。かと言って実写では納得出来るキャスティングは行えない。だからリアルなフルCGアニメが必要で、この作品を起爆剤として優れた日本のコンテンツを世界へ売り込みたい」と語った。
「CGキャラクターにどこまで演技を要求して良いのか分からず、脚本を書きながら悩んだが、出来た映像を見たらそんな心配は無用と分かった。ゲームのオープニングムービーとは違う繊細な感情表現が出来るキャラになっていた」と福井氏もCGの出来に満足の様だ。
「漫画的な3頭身のヤッタランはCGによるモデリングは無理かと思っていたら、デザイナーが頑張ってくれて松本キャラらしさを残しつつ格好良い男になった。これが友人の樋口真嗣にそっくりだった」と福井氏が言うものだから会場爆笑。
「監督が荒牧さんなのでパワードスーツも出しました。」「アルカディア号による頭突きは2回見られます。」「ガンダムUCではワープ航行が使えず欲求不満を覚えたが、ハーロックではワープし放題でそんな不満が解消出来た」と福井氏は裏話を話してくれた。
福井氏は「多額の予算を注ぎ込んだこの作品の成否で私の老後の生活が変わってしまう」と冗談を言いつつ劇場へ足を運ぶようお願いしてトークショーは終了した。
15時半から開始だったが、整理券がまだ余っており余裕で座って見ることが出来た。劇場公開が近いのにこの程度の集客力で大丈夫かと心配になった。(冷汗)
映画冒頭15分は酒場の描写などCGの作り込みは頑張っていると思うが、まだCG臭く感じた。キャラクターは最初違和感があったもののすぐに慣れることが出来たので「不気味の谷現象」を上手く回避しているようだ。設定が原作と異なる点やパワードスーツが登場することの方が気になった。(苦笑)
なかなか面白そうな作品だが、今何故ハーロックなのかと思ったらフランスやイタリアでは1978制作のTVアニメが大人気なのでマーケットとして期待出来るのだそうだ。特にフランスでは記録的な視聴率を上げたとのこと。ハーロックの初期キャラクターデザインをフランス人の女性ファンに見せた所不評だったので修正したと監督が話していた。
確かにリアルCG映画が成功すれば日本のアニメ、ゲーム、漫画と言ったコンテンツを世界マーケットに売り込める。この試みに挑戦するのがハーロックと知り応援したくなった。