きっと「DOLBY TRUE HD」を採用した映画のデモディスクで、もしかしたら「Dolby TrueHD Advanced 96kHz Upsampling」かも、と予想していたがその内容は想像の斜め上を行く豪華な物だった。AIX Recordsが制作した市販のBDソフトをそのまま付録にしたという太っ腹ぶりだ。
amazon.co.jpでは「Goldberg Variations Acoustica [Blu-ray] [Import]」発売日: 2012/05/29 [ASIN: B007N0SWEG] 2,865円で販売されている物と同一だろう。amazon.comのレビューでは収録時間55分とあるが付録は53分と計測誤差と思われる。
映像と音声の仕様は次の通り。内容は6人のミュージシャンによるJ.S.バッハのゴルトベルク変奏曲をモチーフにしたフュージョン演奏だ。
映像:3D HD映像(1280×720 @59.94Hz)MPEG4 MVC
音声:1)5.1ch DOLBY TRUE HD “Stage” MIX
2)5.1ch DOLBY TRUE HD “Audience” MIX
3)2.0ch PCM “Stereo” MIX
録音:96KHz/24bit PCM
ミキシング:非ダイナミック処理、非EQ、非人工リバーブ
なおディスク台紙の裏面「ブルーレイディスク仕様」には「5.1-ドルビーデジタル」の記述があるが収録されていないし、P174にも”音声トラック3種類”とあるので印刷ミスだろう。
アップサンプリングではなく96KHz/24bitハイレゾ録音というのだから「高音質」を謳う筈だ。確かに音の情報量は豊かで余韻が美しい。チャプター1の「アリア」が大人しい曲だったのでボリュームを-15dBまで上げて楽しんでいたら途中のチャプターで演奏が盛り上がり慌てて音量を下げる羽目になった。ボリュームを上げても煩くならず音の迫力だけが増すことからも高音質なのは間違いない。打楽器の音の立ち上がりも鋭くスリリングだ。
前述の通りこのソフトは映像では 1)2D HD 2)3D HD の2種類、音声では 1)5.1ch “Stage” MIX 2) 5.1ch “Audience” MIX 3) 2.0ch “Stereo” MIX の3種類が収録されていて計6通りの組み合わせで同じ曲を楽しむことが出来る。これが予想以上に音楽と映像の印象が変わるので面白い。
1:2D HD × 5.1ch “Stage” MIX
ステージ上でミュージシャンに囲まれているサラウンドになる。リアにS-3EX-Tを奢っておいて良かったと思えるほど5本のスピーカーから出る音の情報量は等しく豊かだが、映像で正面に写されているミュージシャンの楽器の音がバックから聴こえてくる所に違和感を覚える。
2:2D HD ×5.1ch “Audience” MIX
観客席で視聴しているサラウンドになる。コンサートに参加しているという感覚にピッタリの音場だ。映像的にしっくりくる。
3:2D HD ×2.0ch “Stereo”
5.1chを聴いてから2.0chを聴くと完全に音が映像に負けている。ハイレゾ音源だしプロジェクターを消してピュア・オーディオとして聴くにはいいかもしれない。
4:3D HD ×5.1ch “Stage” MIX
一流ミュージシャンでも6人の小父さんを3Dで観ても面白く無いだろうと思いながら視聴したが、これが面白い。3Dの立体感と6人の楽器に囲まれている音場により、確かにステージ上にいるという疑似体験が味わえる。これは癖になりそうだ。(笑)
5:3D HD ×5.1ch “Audience” MIX
悪くはないが3Dの必要性を余り感じない。2Dの方がミュージシャンの演奏テクニックをじっくり観られて良いと思う。
6:3D HD ×2.0ch “Stereo”
2D映像にも負けている音で3D映像を観るとただ目が疲れるだけで「何故3Dで撮る?」と思ってしまうほど印象が悪くなる。(苦笑)
毎週水曜日20時から放送大学で『認知神経科学('12) シラバス』を放送しており、興味本位で見ているのだが、音楽と映像を見聞きしているのは耳と目ではなく結局脳の認知機能だということをこのBDソフトは気付かせてくれる。大変楽しめるので是非手に入れてご自宅のシステムで試して欲しい。
【関連リンク】
『認知神経科学('12) シラバス』
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H24/kyouyou/B/sinri/s_1528874.html
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