『木曜組曲 (2002)』
<個人的な評価:10点中8点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
またもや日本のミステリーを鑑賞。原作は小説。
ミステリーに関しては、私は日本の小説も映画も好き。
これは原作は読んでないけど。
この映画は、はじめて観た。個人的にはけっこう、こういうのも好きです。
『Les traducteurs(9人の翻訳家 囚われたベストセラー)(2019)』 に少し似た感じの印象があった。
もちろん内容は違うけど。
有名小説家が中心で、それを取り巻く人々と、クローズドサークルという環境と、登場人物同士の会話がメインのミステリーという点では似ている。
読書家というほど読んでないけど、私自身、読書は好きで、特にミステリー&ファンタジーは好んでいる。
ASOIAF とか、LOTR とか、Harry Potterとか、三体とか、漫画だとHunter xHunterとか、よく、あんな世界感の物語をかけるなーとか、天才小説家や漫画家って、一般の人では、わからないような悩みとか感情とかあるのかなーとか、どういう頭の中をしているのかなーとか、考えた事がある。
天才小説家も漫画家も脚本家も、私にとっては、芸術家だ。つまり異質な存在。
小説(漫画)は一つ一つが、それぞれの世界。その世界の想像主、つまり作家はその世界の神だ。
凡人で単に読む側の私にとっては、良い意味で、異質な存在の人達です。
そして、この映画に出てきた、死んだ女流作家・重松時子も、私にとっては異質な人に移った。
晩年はスランプだった時子。
その時子の最後の作品は.......
自分の死だった。
自分の死さえも、物語にする人。
そして、後世への託し方までもが、芸術的だった。
さて、この物語だけど、
4年前に謎の薬物死を遂げた女流作家・重松時子の死にまつわる真相を、美味しそうな食事を取り囲みながら、それぞれ登場人物が推理する物語だ。
彼女を偲んで毎年5人の女たちが時子の館に集って晩餐をする。
姪っ子だったり、遠縁だったり、編集者だったりと、時子に関係がある女たちだ。
今年は、謎の花束が届いたことにより、いつもと、食事会が、雰囲気が変わってしまった。
そして、彼女たちは時子の死について自らの推理を語りだす。
と、そんな内容のお話。
ミステリーだけど、不穏さはあるものの、重苦しい雰囲気というより、どこか独特な、お洒落な感じがあり、食事も美味しそうで、なんか、自然な印象の作品で、私は気に入った。
そういう舞台装置が、他のミステリーとは、違うのが、これまたお洒落だ。
そして最後の結末...
時子の想い。
えい子の想い。
希望や未来がある終わり方が、私は好きだった。
時子は死んでしまったけど、時子の存在は永遠に死なないし、永遠に語り継がれるだろう。
彼女が託した5人の女性によって。
人は二度、死を迎えるとよく聞く。
一度目は肉体の死。
二度目は、誰もから忘れ去られた時。
時子は、ある意味、永遠の生を受けたのかもしれない。
「奇怪な 暗い神殿、希望だけを待つ、それは死が新しい太陽のように空を飛び、彼らの頭脳の花々を咲かせるだろう」