『Les traducteurs
(9人の翻訳家 囚われたベストセラー)(2019)』
(9人の翻訳家 囚われたベストセラー)(2019)』
<個人的な評価:10点中7.5点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
あらすじ
フランスの人里離れた村にある洋館に、9カ国から翻訳家が集められた。全世界待望のミステリー小説『デダリュス』の完結編の各国語への翻訳のためだ。しかし9人は、洋館の地下に隠された要塞のような密室に隔離されてしまう。海賊行為と違法流出を恐れた出版元が著者の同意のもと、彼らを隔離して極秘に翻訳を行わせることにしたのだ。9人は外出はおろか、電話やSNSなどの通信も禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿をひたすら翻訳していく。そんなある夜、出版社社長の元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば、全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。
映画館でやってたけど、観に行く機会がなくって、U-NEXTでようやく出てたから、観た!
人里離れた洋館!!!集められた9人の翻訳家たち!冷酷な編集者!!
好きなジャンルです。サスペンスミステリー!
クローズとサークル系のミステリーサスペンスに目がない私。
今回は、文学がテーマ。
全世界待望のミステリー小説『デダリュス』かー。
架空の小説だけど、もしこれが、私が、続編と完結編を今でも待っている『A Song of Ice and Fire』だったら?それに置き換えて、物語を楽しみました。ファンなら、誰だって結末は気になるもの。
映画の前半は話の進み具合が遅いように感じたけど、中盤から終盤にかけては、ハラハラドキドキで、どんでん返しで、そうきたかーーーって感じだった。
それにしても、人気小説とか人気漫画とか、本当に、金というものが付きまとってくるんだな。
作者そのものが、金目当てや有名人になりたい願望の人達も多いだろう。たぶん、ほとんどはその部類だろう。自分が書きたいものより、巷で人気が出るような作品、みんなが喜ぶような作品を書く作者もいるだろう。それについては人それぞれ考え方があるが、個人的に、そういうのを私は本当の芸術とは思わないし、そういうのは、ただのビジネスであって、将来的には、AIでもできる。
どの漫画とは言わないけど、実写ドラマ化だの、似たようなワンパターンを、何巻にもわたって、ダラダラ書いてる作家もいるだろう。それでも一度ついた人気はなかなか消える事はないから(離れた人も多いが)、本人も、やめれないんだろうな。もしくは、やめたくても、編集や周りが許してくれないとか。
そうなると、もう本当に、ビジネスなのでは?と思えてくる。
先の展開を待ち望んでいるファンとしては、はた迷惑な話だが、案外、作者の気分で書きたいものを書き、書きたい時に書く、Hunter x Hunterの富樫先生や、Game of Thronesの原作者、GRRMこそが、真の作家だと思う。ぜひ、まわりの声に絶対に流されず、自分の書きたいものを書いてほしい。もちろん、生きているうちにね。
でも最近は、人種差別だの女性差別だの、変な団体がマジでうるさくて、エンターテインメントの分野にまで口を出してくるから、本当に書きたいものを書ける環境ではない時代。つまり、いっけん自由に見えて実は、とても不自由な時代になってしまった。
中には書きたいものを書いているけど、表には出したくない、自分の中でそっとしまっておきたいって人もいるだろう。
そう、この映画の真犯人のように。
殺人の真犯人ではないけど、一連の真犯人、というか、『デダリュス』の真の作者。
まさか、あの若い青年が...
無慈悲な出版社社長が、最初から最後までムカつく奴だった。そして、こいつは殺人犯なんだけどね。
金のために、自分の為に、簡単に人を殺す。
ああ、そうか、作者はこの人だったのか。
真の作者だからこそ、結末がわかるもの。
納得。
そして、どんでん返し。
個人的には好きなパターンの話だ。
冒頭から中盤までは、展開が遅すぎて担々としすぎて、あくびも出てきたけど、中盤から終盤は、ハラハラしたし、特に終盤は、一種の感動さえも覚えて、なぜか涙が出た。
文学を愛する人なら、何か、こみあげてくるものがあるのではないかな。
金で買えない何かが、そこにはあると思う。