『Crooked House (ねじれた家)(2017)』
<観賞2度目>
<観賞2度目>
<個人的な評価:10点中9.5点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり
下記、個人的な感想。
ネタバレあり
"There was a crooked man,"
(BY MOTHER GOOSE)
There was a crooked man, and he walked a crooked mile,
He found a crooked sixpence against a crooked stile;
He bought a crooked cat which caught a crooked mouse,
And they all lived together in a little crooked house.
マザーグースが歌詞がモチーフの本作品。
マザーグースは、小さい時から好きで、物心つく前から母がよく聞かせてくれてたらしい。
大人になってからも、たまに童謡を読み返す時がある。
この作品、『ねじれた家』(ねじれたいえ、原題:Crooked House)は、私が大好きなイギリスの女流作家 Agatha Christie(アガサ・クリスティ)の推理小説(1949年に発表)が原作だ。
本作は、クリスティが自ら最高傑作と語った作品。
ファンであるにも関わらず、実は原作はまだ読んだ事がなく、映画の方を先にみてしまった。
その後、原作を読んだが原作はもちろん最高だった。
映画もとっても面白かったので、評価はとても高い。
私は、これで観賞二度目!
1度目は機内の中で観た。その時は、犯人の正体がわからなかった!!
衝撃的な結末と、雰囲気が超私好みで、舞台の館が素敵で、すごく面白かった記憶がある。
今回は、犯人がわかった上で、再度、じっくり観てみた。
サスペンスにも、色々あるけど、やっぱり私は、奇妙な館や古い城が舞台のサスペンスが好き。
今回は、主人公の探偵Charles Hayward&ヒロインのSophiaが、私好みの主人公たちだった。
Sophiaが、上品なお嬢様でありつつセクシー美人で、賢いところが好き。
主人公の若くてかっこいい探偵との恋愛関係が、けっこう面白いし好み。
そして舞台の館『ねじれた家』がなにより、好き!!!!住んでみたい。
ちょっとゴシックなテイストがする。
ねじれた家に住んでいるねじれた住民たちも必見。
個性が強すぎる面々。
犯人は誰!?
館の内容も、美しい。
あらすじ:
ねじれた家に住む資産家のAristide Leonidesが毒殺された。孫娘Sophiaは、元恋人のCharles に事件捜査の依頼をする。ねじれた家に住む住人の誰が犯人なのか。誰が犯人であってもおかしくない。
その最中、さらに第2の殺人が起こる...
家族から嫌われ、疑われてるのは死んだ当主の後妻 Brenda。元はラスベカスの踊り子...
この娼婦まがいの女が、後妻になるとか、まあ、普通だったら家族が嫌な目を向けるのも当然だろう。
実際に、後妻になった後も、性格は安っぽい娼婦のような女だし、私もこのキャラは生理的に無理。
Charlesの事も、Sophiaから寝取ろうとしたし、本当にどんだけ根性が腐ってるビッチなんだよ。
けど、彼女が犯人とか、そんなわかりやすい事は、まずないだろう...
ナルシストで、人の男が大好きな破壊女だが、所詮は、娼婦らしく身体だけが売りの頭が悪い女。
このバカ女に殺人なんて無理だろう。(誰かが彼女を操っているのなら、もしかして、可能性はあったが...)
かといって、他のキャラも、癖が強すぎて、殺人を犯せるほど、そこまで頭が良いようには見えない。
途中、冤罪で捕まったけど、まったく同情しない。このビッチは本当に嫌いだ。
他にも癖の強いキャラ、Sophiaの母親で元売れない舞台女優Magda。クレオパトラのような外見をしている。子供に一切興味がないんだなーというのが、凄くわかる。
夫もパッとしない。誰もが、当主が死んだ事をあまり悲しんでいない。わざとらしく悲しんでいる人もいるが笑。Lady Edithにいたっては、本当に悲しいんだろう。たぶん、当主に複雑な愛憎を抱いていたのかも。
個性豊かなキャラ達の中で、当初は、やっぱり、Sophia、もしくは、 Lady Edith が怪しいかなと思った。
この二人が頭脳派っぽくて、そして何かを隠していそうだからだ。
まあ、実際真犯人は違ったけど。
今回は観賞二回目なので、真犯人が誰かわかってる上で観た。
そしたら、ヒントは既にそこにあったんだね。
一番ありえない人が犯人。
誰も彼女に興味がないが、みんなの動向を誰よりも知っているのは彼女。
そんな人物が一人だけいた。
やっぱり真実は、シンプルで、だからこそ、怖い。
CIAの関わりだのマフィアだの、財産のドロドロだの、そんな動機を探してもしょうがなかった。
少女Josephine が真犯人だった。
その事をしった、病気で余命わずかの Edith は、Josephineを連れて心中自殺。
全てを知ったが、もう何も遅く、泣き崩れるSophiaと、彼女を抱きしめるCharles。
そこで、物語は幕を閉じた。
やはり、この作品は、犯人を知ったときの衝撃がすごいだろう。
探偵のCharlesは、はっきりいって役立たずなのが残念だね。
けど、毎回、すごい頭脳で、いつの間にか謎を解いてる万能探偵が、毎回都合よく出てくるとは限らない。
むしろ、それはそれでワンパターンだ。
ストーリーが面白くて、キャラが個性豊かで、犯人の正体が衝撃的だったからね。そこは評価したい。
後味は、悪い感じもするけど、Edithのとった行動も、悲しいけど理解はできる。
Josephineを愛しているからこそ、悲しいし、だから彼女をこの世に野放しにしてはいけないとも思ったのだろう。おそらく、あのまま生きてたら精神病院か少年院行き。賢い彼女の事だから、しばらくしたら、また社会に出てきて、何くわぬ顔で殺人をするかもしれない。サイコパス気質のある子だったのかもしれない。
ただ、Josephineは本当にサイコパスなんだろうか?
確かに、初めて見た時、犯人を知った時は、サイコパスだと思った。
けれど、今回は観賞2度目、改めてよく考えてみると、子供だからこんな事するはずがないとう先入観があって、だからこんな事をする子供はサイコパスだ!って勝手に認定して、思考停止をしたのかも。
もう一度考えたい。彼女は本当にサイコパスなんだろうか?
実は、純粋なゆえに犯した罪で、大人になったら、自分の罪を悔いる可能性もあったと思う。
彼女の殺人には、動機がちゃんとあった。
彼女は祖父から精神的屈辱を受けてたし、彼女は祖父の言葉で、深く深く傷ついた。
バレエ大好きな子供だったけど、その夢をも否定された。
姉のように優雅で上手ではないから??あの踊り子娼婦のように美しくないから??
夢を否定され、暴言を浴びさせられた。
それに、祖父は支配的で沢山の人を傷つけ支配した。
Josephineは、性格が悪く意地悪な祖父が大嫌いだった。
だから、大嫌いな祖父を殺したのだ。
これは、立派な動機ではないだろうか?
それだけで殺す??
いや、夢を否定されたら、子供だって大人だってキレる人はキレるよ。
それに一度だけじゃない。
祖父は、何度も彼女に意地悪な言葉を吐いたのだろう。
動機が理解できるからサイコパスではない...とまでは思わない。
何しろ、おそらく彼女は、祖父を殺した事で、殺しの快感を覚えたのだろうから。
そのあとは、自分の周りを嗅ぎつくしムカつくからという理由で乳母も殺した。
ただ、乳母は、彼女の犯罪に気づくおそれもあったから、自己防衛のために、殺したともいえるだろう。
なので、その殺しも理解はできる。
結局、彼女がサイコパスかどうかはわからない。
素質はあると思う。
けど、少なくとも、祖父殺しには理由がしっかりあるし、祖父が彼女に吐いた暴言は精神的虐待ともいえる。
殺したい!とまでは、思わなくても、誰だって、ムカつく酷い事を言われたら、相手に対して、口に出さなくても、『死んじまえ!』と思う事はないだろうか?
それを実際に行動におこしたら、一線を越えた事になって犯罪だけど。
ただ、何度も何度も暴言を浴びさせられ、夢を否定されたら、一線を越える可能性も高くなるだろう。
色々と考えさせられる作品で、面白かったです。