2017年04月12日
衣類に付いたたばこの臭いで健康被害!? 「三次喫煙」って何だ
たばこを吸っている人のスーツからはたばこの臭いがするし、喫煙者の人の自宅を訪ねると、吸っていないのに、なんとなく、たばこの臭いがしてくる。たばこを吸わない人には気になる臭いだ。
しかし、「煙を吸ったわけではないし、臭いだけなら大丈夫」と思っているなら、大きな間違いだ。単純に煙を吸わなければ健康被害に遭わないという考えは、もう捨てなければならないようだ。
□たばこによる第3の健康被害「三次喫煙」とは
たばこを吸っている本人は当然ながら、肺がんなどのリスクを負う。アメリカでは「一次喫煙」と呼ばれている。他人の吸っているたばこの煙を吸ってしまうことで健康被害が起こる「受動喫煙」は「二次喫煙」という。受動喫煙が原因で、肺がんや虚血性心疾患のリスクが高まることが分かっている。と、ここまでは有名な話だ。
ところが、たばこによる健康被害は、これだけでは終わらない。「三次喫煙」というものがあるのだ。たばこの煙に含まれる物質は、喫煙者の服や髪の毛、部屋のカーテンやソファなどに付着する。それが室内に存在している化学物質と反応して有害物質になってしまうというのだ。
□三次喫煙 何週間も何カ月間も有害物質を放出し続ける
衣類や室内に付着した有害物質は、煙よりもたちが悪い。付着しているので、窓を開けても、換気扇を回しても出ていってくれないのだ。したがって、衣類や部屋の中で何週間も何カ月間も有害物質を出し続けているのだ。
これまでの研究で、この三次喫煙を生じさせる有害物質は発がん性物質を生じる可能性があることが明らかになっている。
たばこの火が消えていて煙が出ていなくても、その煙が付着しているであろうたばこの臭いがする場所には、有害物質が存在する可能性があると考えた方がいいだろう。
□三次喫煙で2型糖尿病のリスクも
三次被害はがんのリスクだけでなく、糖尿病のリスクも高める。アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは、空のマウスのケージにたばこの煙を入れて「三次喫煙」の状態を作った。マウスをグループに分けて、一方を三次喫煙のリスクのあるケージに、もう片方を普通のケージに入れて比較した。
その結果、三次喫煙のケージのマウスの49%がインスリン抵抗性の症状を発症したことが分かった。2型糖尿病の症状だ。2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で、インスリンがある程度分泌されているのに効きにくくなるというのが症状だ。
たばこの被害は二次では終わらない。“三次被害”の実態を知っていただき、たばこを吸う人はもちろん、吸わない人も自分で自分の健康を守ることが必要だ。