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2016年09月25日

大きく見開いた目

あの日・・・母の目には何が見えていただろう・・・

最期に母が病院に運ばれた日・・・

物凄い速さで母の身体が変化して行く様を見ていた。

大きく見開いた目。

肺がんの恐ろしさを目の当たりにした。

呼吸が乱れていた。

会話も厳しくなった。

自分たちのことが見えていない・・・

そう感じるようになった途端、

瞳孔が見開いたようになり、

一点を見つめたままの母の目は

見ているようで、何も見えていない・・・

そう感じさせた。

目が見えていないんだ・・・言葉にならなかった。

苦しそうで・・・辛そうで・・・

何か言いたいことがあるんだ・・・と、

でも、話すことが出来ない・・・話す余裕がないのだ。

苦しくて、苦しくて、

酸素マスクも邪魔をする。

酸素マスクは喉が異様に乾くらしい。

母は水を欲しがった。

見開いた目が印象に残っている。


あのような光景は、二度と思い出したくはない筈なのに、

母が永眠して9か月・・・これまでに何度も思い出している。

大きく見開いた目・・・。

自然と思い出されることもあれば、

意図的に思い出すこともある。

とても辛い思いでなのだが、

同時に、絶対に忘れてはいけない思い出でもある。

だからこそ、時々思い出さないと

記憶が少しずつ風化してしまいそうで・・・

眠りから一瞬目覚めた母が病室で言った言葉・・・。

「ここ・・・家?」

母の見開いた目にはどのような光景が見えているのだろうか。

あの時、母は何をみていたのだろうか・・・

暗闇か・・・三途の河が見えたのか・・・

「まだ死んでないの??」

というセリフも残している。

そんな母に対して

逝かないでくれとは言えなかった・・・

むしろ、早く逝かせてあげたかった・・・

あの姿は決して忘れない。

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緊急入院した母が,非小細胞肺がん(腺癌)「ステージ4」を宣告され、1年後に他界・・・母の闘病中の記録や、がんに関することを中心に記事にしているブログです。
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