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2018年01月03日

断食4日目の父

痩せこけた頬。
施設のベッドの上にいる父を見てすぐに思った。

食事を摂ることが出来ないということが
どのような辛さかを知っているつもりだが、
2日以上の断食を経験したことが無い。
断食4日目の父に対してかける言葉なんて浮かばなかった。


ごめんね・・・という一言だけ。
今日、父に対してこの「ごめんね」を何度言っただろう。

泣いている父の声が声にならない。
口を大きく開けて泣きわめく仕草の父を目の前に
何もできない自分の無力さを感じた。
母の闘病中以来の感覚。

こんな感覚・・・懐かしくもなんともない。
思い出したくもない感覚だった。

ベッドに横たわる親の姿。
点滴につながれている姿。

心配を掛けまいと、気丈に振る舞う姿も
子供の前で涙する姿も、
どちらも辛くて悲しい。


何とかしてあげたいが、
何もできない。
掛けてあげる気の利いた言葉も浮かばない。

施設に入所することは、父にとって本望ではない。
何の楽しみもない日常。
父の唯一の楽しみは、食べること。
それ以外はないだろう。

その唯一の楽しみを奪われた父にとって、
現在の状況は生き地獄なのではなかろうか。

そんな弱っている父に見られた
唯一の回復の兆候と言えば、
「声」が出せるようになったことだった。

やせ細ってしまったが
父の声が出るようになった。
父のしっかりとした声を久しぶりに聴いた。
しかし、そこに嬉しさはなく・・・辛さだけが残った。

なぜなら、父の口から聴こえたのは
「まんま(=ご飯)」
だった。

声は出せるが、思うように口が動かない父の言動を聞き取るのは難しい。
半身麻痺の影響は四肢の動きだけではないのだ。

父の口から「まんま」という言葉が出たことに悲しみを覚えた。
と同時に、父の「食べたい」という強い意志が伝わった。
本当に辛い瞬間だった。


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緊急入院した母が,非小細胞肺がん(腺癌)「ステージ4」を宣告され、1年後に他界・・・母の闘病中の記録や、がんに関することを中心に記事にしているブログです。
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