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2018年09月29日
ヨーロッパのカップ戦のチェコチーム2(九月廿日)
次に登場したのは、昨シーズン2位のスラビア・プラハで、チャンピオンズリーグ予選の非優勝チームの部でディナモ・キエフと対戦した。正直、中国資本に支配されたスラビアはあまり応援する気になれないので、結果も内容もはっきり覚えていないのだけど、確か、プラハで1−1で引き分けた後、キエフで0−2で完敗。あっさり敗退が決まった。獲得したポイントは0.5点。幸いなことにチャンピオンズリーグの予選三回戦以上で敗退したチームはヨーロッパリーグに出場することができる。
結局このディナモ・キエフとの二試合で一番話題になったのは、目立つことが大好きなスラビアのオーナーのトブルディークが、キエフでの試合の後にSNSを通じて騒ぎを起こしていたことだ。何でもヨーロッパのサッカー連盟の審判関係の部署の偉いさんの中にディナモ・キエフ関係者がいて、それがキエフでの結果につながったというのだ。スラビアの失点はどちらもオフサイドかなんかの反則からのもので、審判がまともだったらゴールは認められなかったはずだとか言っていたかな。ゴールが認められていてもいなくても、スラビアの敗退は変わらなかったんだけどさ。
去年までは、チャンピオンズリーグの予選の最終ラウンド、いわゆるプレーオフで敗退したチームは、そのままヨーロッパリーグ本選への出場が決まり、その一つ前三回戦で負けたチームは、ヨーロッパリーグのプレーオフに進んでいた記憶があるのだけど、今年からルールが変わったのか、三回戦で負けたスラビアも、プレーオフで負けたディナモ・キエフもともにヨーロッパリーグの本選に出場することになっていた。グループステージで再会することになったら、またトブルディークがうるさいんだろうなどと考えてしまった。
ここまでが予選の結果で、出場3チーム中、1チームも予選を勝ち抜けなかった。スラビアは負けてもレギュレーションのおかげで生き残ったけど。予選全8試合で獲得したポイントは3.5点、チェコの年間ポイントは0.7、プルゼニュのボーナス4点を足しても、1.5でしかない。あとは、本選でどこまでポイントを積み上げられるかである。
先週の水曜日にチャンピオンズリーグの初戦を迎えたプルゼニュの相手は、CSKAモスクワ。実はこの相手は、この前プルゼニュがチャンピオンズリーグに出場したときにも同じグループに入っていて、どちらも上の2チームからは勝ち点を挙げられなかったから、2チームの直接対決で3位の座を争った。最終的にはプルゼニュがグループ3位に入って、ヨーロッパリーグの春の部に勝ち進んだのだった。減がいい相手といえば言えるし、今回もこの2チームで3位を争うことになりそうである。
試合は、前半はプルゼニュがすばらしく、クルメンチークが2ゴール挙げて2−0で終わった。得点したのはクルメンチークだけれども、最近衰えが指摘されることも多いリンベルスキーがすごかったらしい。むらっけのある選手だから久々のチャンピオンズリーグに張り切った結果なのだろう。この二人以外の選手たちも、前半はすばらしく、チーム全体としてもここ数年で最高の出来だったと解説者たちが語っていた。
それが、後半に入って守りに入った結果、一方的に攻められる展開になったらしい。終了直前まで失点を1に抑えて、2−1で勝っていたのだけど、94分にコーナーキックからのゴール前の混戦でコバジークが反則をしてPKを与えてしまい、最後の最後で同点に追いつかれてしまった。昔のプルゼニュは後半のほうが内容も結果もよくなる傾向があったのだけど、最近は逆になっているのが心配である。
同グループの残り2チームは、レアル・マドリードとASローマ(チェコ語風にジームと書きたくなる)だから、プルゼニュをなめてかかってきたとしても勝つのは難しそうである。なんかの間違いでプルゼニュが勝ち点を獲得するという可能性がないとは言わないが、以前のスパルタが強かったころと違って、プルゼニュがグループステージを勝ち抜けるというのが想像できない。3位でヨーロッパリーグに回るというのが現実的な期待かな。
チェコ的に楽しみなのは、ASローマとの対戦で、チェコ人フォワードとしては久しぶりにイタリアリーグで結果を残しつつあるパトリック・シクが出場するかもしれないのである。シクが出ない場合も、テプリツェ育ちのジェコがいるし、チェコのチームとチェコ育ちの選手の対決になる。イタリアで活躍したチェコ人フォワードといえば、ラツィオにいたコザークを思い出すんだけど、怪我が多かったからなあ。相手を怪我させることも多かったけど。
ヨーロッパリーグの予選に何度出ても勝ち抜けることができず、オーナーのペルタを、これだけ補強してもだめなら、何をすればいいのかわからないと嘆かせていたヤブロネツは、本選からの出場でフランスのレンヌで初戦を迎えた。レンヌといえば、チェコではペトル・チェフがスパルタを出て最初に国外でプレーしたチームとして有名だが、現在のゴールキーパーもチェコ人のコウベクである。
試合は、先制された後、劣勢ながらも、同点に追いついて試合終了間際までは、勝ち点1獲得だと喜んでいたのだが、プルゼニュと同様、最後の最後でPKを与えてあえなく負けてしまった。こっちの反則はもうレスリングじゃないんだからと言いたくなるような見事なもので、審判のせいにできるようなものではなかった。
同じグループの残り2チームは、遠くカザフスタンのアスタナと、スラビアを破っていながら結局ヨーロッパリーグに回ってきたディナモ・キエフ。どちらも勝てない相手ではないと思うのだけど、ヤブロネツは結構チェコリーグでも、下位のチームにころっと負けたりするからなあ。ヨーロッパでの経験にかけては3チームともヤブロネツよりは上だし、勝ち点を、ポイントをいくつか獲得してくれれば御の字かな。経験豊富なヒュプシュマンの活躍に期待しよう。
スラビアの初戦の相手もフランスのボルドー。このチームにもチェコ人選手プラシルがいる。移籍したばかりのコウベクとは違って、チェコで一部リーグデビューをする前にモナコに買われて行って以来、フランスを中心に、スペイン、イタリアなんかでも活躍してきた選手である。ブリュックネル以後の弱体化するチェコ代表を支えた中心選手で、主に監督のせいで代表の成績が低迷した責任を一番負わされた選手で、チェコ国内では過小評価されきたところがある。
試合は、予選のときと比べると状態のよくなっているスラビアが、ホームのファンの後押しもあって、優勢だった。攻め込んではいても、最後のゴール前の部分がかみ合わずなかなか点が取れないという状態がながく続いたが、最後はズムルハルが見事なシュートを決めて1−0で勝った。
残り二つのチームは、コペンハーゲンとゼニット・ペテルスブルク。どちらもチェコと縁の深いチームである。コペンハーゲンでは、かつてシオンコとポスピェフが大活躍していたし、今もスラビアから移籍したルフトネルが在籍している。ゼニットをロシアリーグの強豪に引き上げたのはチェコ人監督のペトルジェラで、当時はチェコ人選手が何人かいて、そのうち一人はオロモウツから移籍したホラークだったかな。チェコ代表の常連だったシールルもゼニットでの活躍が代表につながったはずである。
チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの第一節で獲得したポイントは3点。これでチェコの今年のポイントは2.1点になった。3チームともというのは無理だろうけど、プルゼニュとスラビアが、ヨーロッパリーグの春の部にまで生き残ってくれることを願おう。そうすると年間ポイントも5点を超えて、ランキングもそれなりに上がるはずである。ヨーロッパのカップ戦を楽しく追いかけるにはチェコのチームが出場していることが不可欠である。今年はその上、グループステージでチェコと縁のあるチームとの対戦が多い分楽しみも大きい。
女子サッカーのチャンピオンズリーグにはチェコからはスパルタとスラビアが出場していて、スパルタはアヤックスに負けて敗退が決まり、スラビアはリトアニアかラトビアのチームに勝って、次のステージに進出した。こちらはそれほど話題になることもないから、いつの間にか試合が行われていたという感じだけどさ。
2018年9月28日22時。