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海上自衛隊の幹部中級課程において、最大の目的である図上演習準備が始まりました。
今回は、ついに作戦状況の詳細と任務・作戦エリア、敵の状況想定が付与されます。
与えられた任務、状況分析から自分の任務を分析・作戦目標を立案します。
カンタンにはいかない作戦立案の一端をご紹介!
(参考記事):『【艦補処】自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1)』
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図上演習統裁部を演じる統率科より、中級課程学生に対して図上演習のシナリオがついに公開されました。
図1 図上演習イメージ
引用wiki
中級課程共通教育において、一番重点が置かれている教育のためかなりの重厚さです。
そんなシナリオは、徹底的にリアルになるように練られています。
1.1 図上演習想定シナリオ(全般情勢)
(全般情勢)
・かねてより我国(燈国)と、X国との間における情勢が急変した。
・X国は領有権を主張する離島に向けて、空母機動部隊を派遣してきた。
・我国の領土である離島を防衛するために、防衛出動待機命令が発令された。
・X国との外交交渉は決裂状態であり、交戦の可能性が高い。
・離島に陸上部隊を事前展開させて、防衛準備を行うことが決定された。
・防衛出動命令の発令は不明。交戦は正当防衛のみ許される。
『命令:陸上部隊を離島に輸送・揚陸せよ。』
(JTF部隊情勢)
・JTF部隊については、以下の編成となる。
・TG21.1:第1護衛隊群(α港)
・TG21.2:第2護衛隊群(β港)
・TG21.3:第3護衛隊群(α港:掃海隊群を護衛)
・TG21.4:第4護衛隊群(β港:陸上部隊と輸送艦を護衛)
・TG21.5:航空任務群(γ空港:P−3C航空部隊)
・補給艦による洋上補給は、出港準備が間に合わない。
・潜水艦はX国機動部隊を追尾中(統裁部所定)
1.2 離島の状況
・離島については無人島であり、南北2つの港があるが空港はない。
・離島B港沖合で商船が爆発、X国の機雷敷設は確実と見積もられる。
・離島A港沖合でも爆発があり、機雷敷設の可能性があるが不確定。
・離島周辺には、我国及びX国商船が入り乱れて航行中である。
図2 図上演習初期シナリオ状況
1.3 敵X国の状況
・空母(クズネツフォ級)×1、駆逐艦×6の部隊
・離島の100nm北東にて遊弋、さらに接近する兆候あり。
・艦載機(Su-30MK2相当)16機搭載、12機が出撃できる。
・離島周辺にX国潜水艦2隻程度が航行している可能性あり。
図3 敵空母艦載機(想定Su-30MK2)
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D1hZC-6XcAA-vMm.jpg
当時、空母艦載機でJ−15の情報がありましたが、最大限の戦闘能力を見積りSu-30MK2と同等の能力としました。
(中国海軍所属Su-30MK2には空母発着艦能力はありません。)
特に兵装にて、1機につき対艦ミサイル6発が搭載できる点を重視して対処する必要があります。
図4 Su-30MK2系統の武装搭載
引用URL:http://www.knaapo.ru/media/rus/about/production/military/Su-30MK2_sheme_b.jpg
対艦ミサイルは、X−29・X−31が該当します。
本当はさらに細かい設定がありますが、概要としてはこんなシナリオとなります。
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統率科からの図上演習シナリオが示され、各班に任務分担が行われます。
今回は、離島に陸上部隊を輸送・揚陸させることが任務の大目標となります。
図5 部隊上陸
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DhfG5wEUYAAM9QS.jpg
大目標から、各TG(任務群)は自分の任務を導き出し作戦立案を行います。
以前に、自衛艦隊司令部後方幕僚部で経験した任務分析が生きてきます!
(参考記事):『【幕僚編D】反撃作戦立案!幕僚達の闘いは敵意図看破!!』
2.1 TGごとに状況が異なるいやらしさ!
図上演習では、TG(任務群)での作戦目標導出及び立案を演練します。
そのために、各TGごとに少しずつ異なる状況下で幕僚業務を行わなくてはなりません。
掃海部隊や輸送艦(陸上部隊)の護衛任務を持っているところもあります。
護衛隊群のみで活動を行うTGもありますが、どのように動くべきか試されます。
2.2 A港か?B港か?揚陸先の選択!
用意されたシナリオで、一番いやらしいのは揚陸先の港の選定です。
B港は、上陸部隊に近いですが機雷が敷設された可能性がほぼ確実と判断されました。
A港でも爆発が確認され、機雷が敷設されている可能性が捨てきれません。
掃海部隊による事前掃海を待って、揚陸作戦がベストですがX国空母部隊の攻撃を受ける可能性が高くなります。
図6 揚陸前の事前掃海
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/butai/img/41md/41int.jpg
各TGは、どちらの港に揚陸するか?作戦立案を行い部隊展開をする必要があります。
航空部隊(TG21.5)も、X国潜水艦への哨戒を行いますが、敵X国艦載機の攻撃を受ける可能性もあります。
まさに、各TGの作戦立案能力が試されます。
2.3 状況分析及び自己の任務確認こそが幕僚業務
幕僚というと、作戦を立てるだけのように感じますがかなり違います。
現在の状況を分析して、上級部隊からの命令目標を分析します。
図7 幕僚たちの戦い!
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/about/role/img/06/img02.jpg
自部隊の任務について「何を行うべきか?」「どのように動くべきか」を導き出します。
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私が配属された班は「TG21.1」に決定して、敵X国空母機動部隊に近い港から出撃となり、護衛隊群のみで行動します。
ここからTG21.1は、何を行い任務をどうすべきか立案します!
3.1 X国艦載機の航空攻撃防御が最優先になる!
すぐに戦闘となる可能性が十分に高い状況と判断を行い、X国空母機動部隊の攻撃を防ぐ必要があります。
上陸部隊の揚陸先をA港又はB港どちらにするにせよ、防空体勢を行う必要があります。
よって、TG21.1の任務の一つとして敵X国艦載機への防空が上げられます。
図8 対空戦闘!
引用URL:wiki
3.2 どこに向かい作戦を行うか?
任務の一つを「艦載機からの防空」と定めたからには、「どこ」で作戦を行うか決める必要があります。
A港及びB港どちらかによる掃海・揚陸を行うには、時間稼ぎを行う必要が出ます。
しかし、他TGから離れすぎると支援を受けられず、X国潜水艦を取り逃がす可能性もあります。
あくまで作戦目標は「陸上部隊の輸送・揚陸」です。
離島から離れて、敵X国機動部隊に殴り込みなんてナンセンスです。
よって、TG21.1の任務及び目標を、
『陸上部隊の輸送・揚陸を行うために、離島のA港沖合北東に展開して敵航空攻撃を阻止する』
として決定しました。
3.3 ほかの部隊とのすり合わせだ!
TG21.1の任務決定を決定して、弾薬燃料その他の準備を急ぎます。
併せて、他のTGとの任務すり合わせを行う必要があります。
他のTGがB港への掃海・揚陸を決定してたら、被害担当部隊になってしまう可能性もあります。
情勢分析と作戦立案を行う幕僚業務は、かなり面白いよ!
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