(2018年投稿記事です。)
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事件が収束しない、韓国駆逐艦(KDX-1)のFCレーダー照射事件です。
今回誰が行ったのか?艦長等が関与したのか?なかなか話がもつれています。
ここで密室であり、操作を行ったCICで何が起きていたのか技術的視点から犯人を推測!
秘密のベールの中で、CICが何をやらかしたのか!
(前回記事):『韓国レーダー照射彼らはルビコン川を渡ってしまった』
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(1)序論:哨戒機へのFCレーダー照射は通常では勝手にできない。
最初の前提条件として、
『軍艦が指揮命令を無視して、勝手に外国機へのFCレーダー照射はあり得ない』
という条件を最初に強調しておきます。
軍艦として当然のことであり、指揮管制機能が働かないということは通常あり得ません。
もし指揮管制機能が働いていないのであれば、軍艦とは言えません。
しかし、現実には
『海上自衛隊P-1哨戒機に対し、韓国駆逐艦から複数回・一定時間照射を受けた』
という事実が存在します。(防衛省発表)
図1 レーダー照射した韓国駆逐艦
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/21g-1.jpg
1.1 韓国側はFCレーダー照射の事実はないと反論
韓国側は、
『海上捜索救難中、FCレーダーも使用して捜索していた』
『FCレーダーを「P-1」に照射せず、EO(光学カメラ)で確認していた』
との反論をしています。
日韓双方の対立は、続いたままとなっています。
今後証拠などについては、水面下でのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)で協議されるでしょう。
(電子情報などは、機密性が高いため、非公表となりやすい)
結果は公表されずに、事件の収束が図られるでしょう。
1.2 機器を操作したCICの中では何が起きていたのか?
日韓双方の主張は、発生した事象が書かれていますが、ある部分の詳細について韓国側は触れていません。
FCレーダーを操作する、CICの動きについてです。
むろん、CIC内部の動きは秘密に該当するため公表しにくい部分があります。
ここに、問題の核心があると考えてみます。
1.3 視点を変えて技術的観点から事件推移を考察
秘密のカーテンが敷かれており、水掛け論になり始めている事件です。
ここは、視点を変えて技術的視点から事件の核心を推測してみたいと思います。
実のところ、西側各国のCICの運用は、NATO方式で統一されています。
公表されているCICの戦闘指揮システムの運用方法は、日韓とも同じです。
CICの機器や戦闘指揮システム、ドクトリンから何が起きたのか推測可能です。
船務士としてCIC勤務を経験し、艦発隊で戦闘指揮システムを学んだペンギンの推測です。
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(2)韓国海軍駆逐艦の艦艇戦闘システムについて
まずは、韓国駆逐艦KDX-1に搭載されている艦艇戦闘指揮システムについて確認しましょう。
KDX-1には、SSCS-MK7システムが搭載されています。
図2 SSCS-MK7システム概略図
引用URL:https://image01.seesaawiki.jp/t/v/taekwon_v/802edd56e488a088.JPG
システムは、英国BAE社の「SSCS(Surface Ship Combat System)」を韓国国内でライセンス生産したものです。
このシステム内に、仏タレス(旧シグナ―ル)社の武器統制システムが組み込まれています。
海上自衛隊でいえば、CDS(戦闘指揮システム)に該当するものです。
2.1 システム的にはあさぎり型に相似
KDX-1の艦艇戦闘システムは、海上自衛隊護衛艦では「あさぎり型」のCDSに似ています。
(OYQ-6,OYQ-7システムと同等、一部C2LAN・SM-2連接など独自化)
NATOコンセプトに従い、システム化による目標識別・評価・攻撃指揮を行います。
2.2 艦艇戦闘システムの基本機能
艦艇戦闘システムの基本機能は、大きく分けて4つあります。
(a)目標管理
(b)脅威評価
(c)攻撃指揮
(d)射撃指揮
さらに、細かくシステムと一連のシーケンスを図式にしてみます。
図3 艦艇戦闘システムの概念
2.3 システム戦闘は多くのオペレーターがいる。
対空・対水上戦闘に関して、いくつかのオペレータ―が介在します。
(a)対空目標追尾員 (AD/T)
(b)水上目標追尾員 (SD/T)
(c)追尾管理員 (TRK/SUP) (目標識別・ESM管制)
(d)戦術評定/武器管制員(EVAL/SWC)(攻撃指揮全般)
(e)射撃指揮管制官 (DAC) (FCS指向/砲管制)
(f)ミサイル管制官 (WAC) (FCS指向/SAM管制)
(g)武器発射管制官 (WCP) (武器の発射)
この中で(EVAL/SWC)が、艦長から戦闘指揮権限を委任された最上位者です。
(海上自衛隊では哨戒長(TAO)と呼び、船務長・砲雷長等が付きます)
今回目標となった、P-1哨戒機の場合は対空戦となります。
この場合、最低4人以上がCIC内でFCレーダー照射に関与した可能性があります。
図4 KDX-1の戦闘システム序列図
2.4 最悪1名でFCレーダ―照射は技術的に可能!
通常の場合という前置きをしておくと、
『1名の暴走でFCレーダー照射は不可能』
なのが、現代の艦船戦闘システムです。
理由として、各員が異なるコンソールで作業をするためです。
図5 KDX-1のWCS及びSSCSコンソール(英海軍)
引用URL:https://external-preview.redd.it/czTYMyG0hblZHMsGxWpz5-X3c1Vv6aXrcN_1QXHJ7UE.jpg?auto=webp&s=93c831a846f71918c1dde04c843ed96f2532acd8
http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/royalnavy/sscs-mockup.jpg
しかし、前提条件なしに技術的視点で話をすると、
『1名でEVAL/SWC/DAC/WAC操作を行い、FCレーダー照射は可能』
システムに習熟した人間であれば、30秒以内に一連の動作はできます!
(私も船務士時代にこのやり方を習った:NATOシステム上可能にしてある)
ただし、上位者がコントロール介入しないという前提条件があります。
密室のCICの情報が出てこないのは、上記のことが起きていたからかも?
軍艦の指揮管制能力を疑われる事態ですので、韓国側が隠したい部分はこの操作なのでは?
2.5 味方判定のまま、複数回FCS指向操作を行った
防衛省発表の中に、韓国駆逐艦から複数回一定時間照射があったとの記述があります。
この記述を戦闘システムの技術的視点から見ると、
『CICでは、P-1哨戒機を味方と判定』
『味方のシンボルに、ロックオン操作を強行』
(システム上、味方にロックオンを「強行」する操作方法がある)
というようなことが、駆逐艦の中で行われたと考えられます。
続けて、戦闘システムのコンピューターが介入して、味方へのロックオンをキャンセルする動作があったと思われます。
(誤射防止のため、一定時間味方をロックすると自動的にロックが外れる)
しかし、CIC内でさらに、
『P-1哨戒機へのロックオン操作を複数回実施』
したのではないかと、技術的視点から考えられます。
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(3)艦長はどこにいたのか?
今回もう一つの疑問は、艦長はどこにいたのか?ということです。
事象発生時に、艦長がいた場所(艦橋?CIC?)で問題が異なります。
3.1 CICにいたのなら国家レベルの意志!
想像したくはありませんが、艦長がCICにいたと仮定します。
完全に国家(韓国大統領府)の意志として、故意にFCレーダー照射を行ったことになります。
(最悪のことも考えて、あえて可能性として列挙)
3.2 艦橋でロックオンに気付き、艦長がレーダーカットした。
現実的な線として、艦長は艦橋にいて捜索救難を指揮しており、
『艦橋のレーダーでロックオンに気付き、艦長操作でレーダー停止した』
というのが、常識的に考えられる線です。
その後事態収束のため、海自機からの無線呼び出しを無視したと考えられます。
(電波情報などは、捉えられていないと思考したかも?)
いずれにしても、詳細な調査を要求することで問題が判明するでしょう。
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(4)結論:艦長の処分要求とCIC内部の詳細調査を求めよ!
いずれにしても、艦長の責任は免れることはできません。
海軍の作法に倣い、艦長の処分要求を日本側から求めるべきでしょう。
さらに、CIC内部で何が起きていたのか詳細調査と結果公表要求が妥当です。
想定される事象の詳細は、
『一部の下士官・若手士官が、暴走して脅しのつもりでFCレーダーを照射した』
『艦長は、P-1の追尾監視を命じたが命令不徹底により、ロックオンになった』
『海自機からの問合わせに、電波不良として無視することにした』
といったところでしょうか?
今後の調査が待たれます。
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