(2018年投稿記事です。)
防衛省の平成31年度概算要求が発表され、海自では「油槽船(仮称)」が計上されました。
色々な艦艇建造の報道がありましたが、油槽船が防衛省内の査定を通過したようです。
揚陸艦やらの要求は、防衛大綱の改定以後になるかな?
今回は概算要求に登場した油槽船など、予算関係のお話をご紹介!
(1)油槽船(仮称)2隻が概算要求に登場したよ〜!
平成30年8月31日に、防衛省の『平成31年度概算要求』が発表されました。
この時期は各省庁の「概算要求」が出そろう時期でもあり、どんな要求になるか気になるところです。
海上自衛隊関係で、目新しいものとしては「油槽船(仮称)」2隻(約55億円)の整備です。
図1 油槽船(仮称)のイメージ
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/yosan/2019/gaisan.pdf
陸自用強襲揚陸艦が、概算要求にて計上は、「防衛計画の大綱」改定以後になりそうですね。
(関連記事):【揚陸艦導入】陸自の要求を満たせる「みうら型」輸送艦!
現在の「25大綱」と「26中期防」の改定が今年度(平成30年度)に予定されています。
※「中期防(中期防衛力整備計画)」について
「中期防」は、5年後までの防衛力整備計画を示したものです。
現在の「26中期防」は、H26〜H30までの整備計画となります。
とりあえず「油槽船(仮称)」が、今後の整備計画の様子見として出てきたというところですかね?
1.1 「建造」ではなく「整備」なのでPFI方式かな?
今回の概算要求で気になった記述は、
「艦艇の支援能力確保のため、油槽船(仮称)を整備」
と書いていることです。
通常、「自衛艦」を取得する場合は、「建造」となります。
このため「油槽船(仮称)」は「支援船(第1種)」にて取得するものと考えます。
ただ、要求額から考えると「新規建造」ではなく、「民間中古油槽船の取得」を考えているのかもしれません。(追記:その後の中央調達品目表にて新造船であることが判明しました。)
理由として、2隻分約55億円で「新規建造」を行った場合、船体トン数は「約1300トン」クラスになります。
(商船建造価格の推定と海自専用品のぎ装を考慮)
図2 「はくおう」(防衛省PFIによる運用)
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/はくおう#/media/File:はくおうIMGP1452.JPG
(2)油槽船(仮称)はどのように運用するのかな?
油槽船(仮称)の運用としては、情勢が悪化している沖縄方面に1隻を配備することになるでしょう。
沖縄には「ホワイトビーチ」にある「沖縄基地隊」があり、燃料タンクがあります。
しかし、給油能力が「佐世保」に比べて低いため艦艇支援体制の強化が必要です。
図3 沖縄基地隊桟橋
引用URL:http://okinawatanken.up.n.seesaa.net/okinawatanken/image/E3839BE383AFE382A4E38388E38393E383BCE3838120007.jpg?d=a1
油槽船(仮称)は、このホワイトビーチと行動中の艦艇を中継する形になるでしょう。
2.1 給油方法はちょっと大変!
油槽船(仮称)のイメージ図では、一般的な「民間油槽船」型を予定しています。
この場合の給油方法はちょっと大変です。
図4 一般的な油槽船での油移送作業
引用URL:https://d1d7kfcb5oumx0.cloudfront.net/articles/images/57b41e1e64cc4a65aa986920/slide_IMG_2751.JPG
結構大変な作業になるため、大型船では機械化で「油だ管」を接続しています。
図5 タンカーからの移送風景
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC#/media/File:Tanker_unloading_crude_oil.jpg
2.2 現在の護衛艦の給油方法を検討する必要あり!
現在の護衛艦等の給油口については、「洋上給油」での大型だ管を使用する方式になってます。
そのため油槽船(仮称)が整備された場合、一部改造などを検討する必要があります。
もしくは、洋上給油を選択せず港湾内での給油に専念させるべきかもしれません。
図5 洋上給油風景
引用URL:https://www.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/
2.3 油槽船(仮称)は最低3000トン級船が欲しい!
現状の海上自衛隊の補給体制を考えると、油槽船(仮称)にある程度の大きさが欲しいところです。
退役した「補給艦さがみ(5000トン)」よりも一回り小さな船体規模が欲しいところです。
また、陸自「水陸機動団」用の「所要燃料」を1隻で対応できる船体にもしたい所です。
となると、やはり3000トン級が必要かと考えます。
(3)研究開発費として「雑役務費」を使って研究!
新装備艦艇等の導入となると、やはり研究開発が欠かせなくなります。
開発隊群で研究が行われているかもしれません。
図6 開発隊群 試験艦あすか
引用URL:https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:JS_Asuka_(ASE-6102)?uselang=ja#/media/File:JMSDF_ASE_6102_Asuka.JPG
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大物装備の試験には、試験費用込みで「概算要求」が行われます。
しかし、財務省の査定で一番削減されるのが「試験費用」です。
こういうとき、試験費用を工面するのが「雑役務費」です。
概算要求の詳細をよく見ると、あちこちに「雑役務費」というのがあります。
大抵は「運営維持費」としての「雑役務費」です。
しかし、研究開発試験費としても使用できるようになっています。
艦艇開発隊で「研究開発」の「試験役務」は、半分くらい「雑役務費」から出ていました。
概算要求で試験費用が削減されていたためです。
目立たない装備の場合、試験費用が計上されていないため「雑役務費」をかき集めて試験をしています。
概算要求では、「大物装備」費用よりも「雑役務費」を見ると面白いですよ!
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