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2018年01月16日

C健康状態・疾病の測定と評価【ポイント】

今日は、「健康状態・疾病の測定と評価」のポイントをお話します。

【疫学の概念】
疫学とは、疾病の発生頻度をさまざまな要因に分類して比較し、
発生頻度の偏りを検討して疾病のリスクファクターを明らかにする学問のことを言います。

【疾病頻度の指標】
@罹患率
 対象集団について、一定期間におけるある疾患の発生状況を示す指標
 *罹患率=一定期間の真発生患者数/対象集団の人口✕100,000
A有病率
 対象集団について、ある時点においてある疾患をもつ者の割合
 *有病率=調査日における有病者数/対象集団の人口✕100,000
B死亡率
 人口1,000人あたりの死亡数の割合
 *死亡率=年間死亡数/人口✕1,000
C生存率
 ある疾患に罹患して生存できる割合
 *生存率=生存者数/罹患者数✕100
D致命率
 ある疾患に罹患して死亡する割合
 *致命率=死亡者数/罹患者数✕100

【曝露効果の指標】
曝露とは、一般に化学物質や物理的刺激などに生体が曝されることをいいます。
つまり、疾病発生の前に存在する特定の状態をいい、
日常生活習慣や、年齢・性別・遺伝的要素なども全て曝露にあたります。
@相対危険度
 リスク要因の曝露が罹患の危険を何倍に増加させたかを示す指標
 *相対危険度=曝露群における罹患率/非曝露群における罹患率
A寄与危険度
 リスク要因の曝露によって、罹患の危険がどれだけ増加したかを示す指標
 *寄与危険度=曝露群の罹患率ー非曝露群の罹患率
B寄与危険割合
曝露群でみられる罹患のうち、その曝露要因と関連していると考えられる罹患の割合
 *寄与危険割合=曝露群の罹患率ー非曝露群の罹患率/曝露群の罹患率
Cオッズ比
 因果関係を知る上でも重要な相対危険度を近似値として求める式
 〇要因ありの患者:a、要因ありの対照:b、要因なしの患者:c、要因なしの対照:d
 *オッズ比=患者曝露あり/患者曝露なし/対照曝露あり/対照曝露なし=a✕d/b✕c≒相対危険度

【疫学調査法】
〇横断研究
 ある集団のある一時店における疾患の有無と要因の保有状況を調査し、
 その関連性を明らかにする研究方法。
〇記述疫学
 疾病の発生頻度をさまざまな要因ごとに分類して比較し、
 疾病発生のリスクファクターについて仮説を打ち出す基本的な疫学
〇分析疫学
 記述疫学で設定した仮説を証明するために行う疫学
 コホート研究と症例対照研究に分類
〇ランダム化比較試験(RCT)
 対象者を乱数表やくじ引きでランダムに介入群と対照群に分け、
 介入群には有益と思わせる治療や予防を実施し、
 対照群にはそれらを行わずに従来の治療やプラセボを与えて経過を追跡調査する方法

【バイアスと交絡】
偏りともいい、結果や推定値の真の値から一定方向へのずれやそれを生じる過程を指し、
仮説要因と疾病との真の関連をゆがめて、誤った研究結果を導く原因となります。
選択バイアスと情報バイアスがあります。

【スクリーニング】
〇スクリーニングの定義
 迅速に実施可能な試験・検査その他の手技を用いて、無自覚の疾患を暫定的に識別すること
〇スクリーニング検査
 スクリーニング検査は、検査の能力を表現するのにさまざまな指標が用いられます。
 a:真陽性(疾患があり異常と判定)
 b:真陰性(疾病はなく正常と判定)
 c:偽陽性(疾病がないのに異常と判定)
 d:偽陰性(疾病があるのに正常と判定)
・敏感度
 疾病罹患者に占める検査陽性者の割合、または疾病罹患者を@検査で陽性とする率
 *敏感度=a/a+b✕100(%)
・特異度
 疾病に罹患していない者に占める検査陰性者の割合、または疾病に罹患していない者を陰性とする率
 *特異度=d/c+d✕100(%)
・偽陽性率
 疾病に罹患していない者に占める検査陽性者の割合
 *偽陽性率=c/c+d✕100(%)=100−特異度
・偽陰性率
 疾病罹患者に占める検査陰性者の割合
 *偽陰性率=b/a+b✕100(%)=100−敏感度
・有効度
 検査が疾病の有無を正しく反映している割合
 有効度=a+d/a+b+c+d✕100(%)
・有病率
 対象集団内に疾病罹患者が存在する割合で、検査前より疾病が存在する確率を示す

【エビデンスに基づいた保健対策(EBM)】
EBMとは、「根拠に基づく医療」の略であり、患者の治療に対して判断するにあたり、
最新かつ最善の根拠を、誠実かつ明確に、思慮深く利用することを指しています。
〇一次・二次予防戦略
・ハイリスクアプローチ(ハイリスク戦略)
 肺がん患者に対する喫煙者の禁煙教育のようにハイリスク群に焦点を当てたプログラム(二次予防主体)
・ポピュレーションアプローチ(ポピュレーション戦略)
 一般住民や雇用者などに対する疾病予防プログラム(一次予防主体)


次回、問題を出題します。

2018年01月15日

B健康、疾病、行動に関わる統計資料【解説】

それでは、「健康、疾病、行動に関わる統計資料」の問題の解説をします。

Q1.保健統計に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)老年化指数は、総人口に占める老年人口の割合である。
(2)合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に産む女児の人数を意味する。
(3)新生児死亡は、生後4週未満の死亡である。
(4)標準化死亡比の計算には、昭和55年モデル人口を用いる。
(5)平均寿命は、その年次に死亡した人の平均年齢である。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。老年化指数は、年少人口に占める老年人口の割合である。
   これは、人口の高齢化を示す指標である。
   老年人口と年少人口が等しければ老年化指数は100で、
   老年人口が年少人口より多ければ100より大きく、逆ならば100より小さくなる。
(2)誤り。合計特殊出生率は、1人の女性(15歳から49歳まで)が生涯に産む平均子ども数を意味する。
   なお、1人の女性が生涯に産む平均女児数を意味するのは、総再生産率である。
(3)正しい。なお、生後1年未満の乳児の死亡を乳児死亡という。
(4)誤り。間接法の標準化死亡比は、年齢構成の差異を基準の死亡率で調整した値に対する
   現実の死亡数の比である。
   主に、小地域の比較に用いる。
   なお、その他に、年齢構成の異なる集団の死亡状況を比較するために考案された指標として、
   直説法の年齢調整死亡率があり、
   この計算における基準人口には一般に「昭和60年モデル人口」が用いられる。
(5)誤り。平均寿命とは、その年の0歳の子どもが今後平均して何年生存できるかという統計的調査を指す。
   すなわち、0歳の平均余命である。


Q2.A地域における年齢階級別人口と1年間の死亡数、並びに基準集団の年齢階級別人口を表に示した。直接法によるA地域の年齢調整死亡率である。正しいのはどれか。1つ選べ。

            A地域   基準集団
0〜39歳 年齢階級別人口200、死亡数400      年齢階級別人口400
40〜64歳 年齢階級別人口300、死亡数600      年齢階級別人口400
65歳以上 年齢階級別人口500、死亡数1,500      年齢階級別人口200
 合計   年齢階級別人口1,000、死亡数2,500     年齢階級別人口1,000
(1)220
(2)250
(3)1,000
(4)2,200
(5)2,500


【解説】…正答(1)
年齢調整死亡率(直接法)の計算式は、
「{観察集団の年齢階級別死亡数✕基準集団の年齢階級別人口}の各年齢階級の合計/基準人口の総和✕1,000」
である。
まず、A地域の年齢階級別死亡数を求める「死亡数÷人口」と、以下のとおり。
 0〜39歳:400(人)÷2=200
 40〜64歳:600(人)÷3=200
 65歳以上:1,500(人)÷5=300
次に、A地域の年齢階級別死亡数を基に、
基準集団の年齢階級別死亡数を求める「死亡数✕年齢階級別人口」と、以下のとおり。
 0〜39歳:200✕400(人)=80,000
 40〜64歳:200✕400(人)=80,000
 65歳以上:300✕200(人)=60,000
基準集団の各年齢階級死亡数の合計を求めると、
「80,000+80,000+60,000=220,000」となり、
基準人口の総和で除すと、「220,000÷1,000=220」となる。
(1)正しい。
(2)誤り。A地域の粗死亡率である。「2,500÷10(10万人)=250」で求められる。
(3)〜(5)誤り。

2018年01月13日

B健康、疾病、行動に関わる統計資料【ポイント】

今日は、「健康、疾病、行動に関わる統計資料」のポイントをお話します。

【人口静態統計】
人口静態統計とは、ある時点の人口状態を把握するための統計です。
2005年の国勢調査による10月1日現在のわが国の人口は約1億2777万人で、
1年前の人口を約2万人下回りました。
〇年齢別人口(2015年)
・年少人口(0〜14歳)−12.7%(前年比‐0.1)
・生産年齢人口(15〜64歳)−60.6%(前年比‐0.7)
・老年人口(65歳以上)−26.7%(前年比+0.7)
〇一般に老年人口割合が7%を超えた状態を高齢化社会、14%を超えた状態を高齢社会といいます。

【人口動態統計】
人口動態統計とは、ある期間内の人口の変動を把握するための統計です。
具体的には、厚生労働省が人口の動きに影響する5事象の要因(出生、脂肪、婚姻、離婚、死産)について、
人口の動態を調査して統計にしたものです。
〇出生
出生率とは、人口1,000人当たりの出生数で表現します。
出生率=出生数/人口✕1,000
・合計特殊出生率:女性の年齢階級別出生率の15歳から49歳までの合計
・総再生産率:同様のことを女児だけについて求めたもの
・純再生産率:総再生産率にさらに母親の世代の死亡率を考慮したもの

【死因統計と死因分類】
〇死亡
粗死亡率=死亡数/人口✕1,000
〇死因順位
我が国では、死因分類としてWHOによるICD‐10が用いられています。
@悪性新生物
A心疾患
B肺炎
C脳血管疾患
D漏水
E不慮の事故
F腎不全
G自殺
H大動脈瘤及び解離
I慢性閉塞性肺疾患

【平均寿命】
我が国の平均寿命は、男性80.75年、女性86.99年(平成27年完全生命表)です。

【母子保健統計】
〇妊産婦死亡:妊娠中または妊娠終了後満42日未満の死亡
〇死産率:妊娠満12週以後の死産の出産
〇周産期死亡:妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡を合わせたもの
〇乳児死亡・新生児死亡:生後1年未満の乳児の死亡を乳児死亡、生後4週未満の死亡を新生児死亡

【傷病統計】
傷病統計.png

【学校保健統計】
児童・生徒、及び幼児の発育・健康状態を明らかにし、
学校保健における情勢上の基礎資料を得ることを目的としています。


次回、問題を出題します。

2018年01月12日

A環境と健康【解説】

それでは、「環境と健康」かの問題の解説をします。

Q1.地球環境問題に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)地球温暖化の原因の一つとして温室効果ガスの排出増加がある。
(2)地球温暖化はマラリアの分布域拡大をもたらす。
(3)成層圏オゾン層の破壊に伴って、赤外線が人体に悪影響を及ぼす。
(4)酸性雨は湖沼や森林等の生態系に影響を与える。
(5)砂漠化とは、「乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における気候上の変動や人間活動を含む
   さまざまな要因に起因する土地の劣化」と定義されている。


【解説】…正答(3)
(1)正しい。
(2)正しい。
(3)誤り。赤外線ではなく紫外線である。
   成層圏オゾン層は有害な紫外線を吸収する。
   オゾン層が破壊されると、有害な紫外線の地上への到着量が増えるため、人体に悪影響を及ぼす。
(4)正しい。
(5)正しい。


Q2.高温職場の環境測定項目でないのはどれか。1つ選べ。

(1)気圧
(2)気流
(3)乾球温
(4)黒球温
(5)湿球温


【解説】正答(1)
高温環境による健康障害の要因となるのは、気温・湿度・気流・輻射熱である。
気温・湿度の測定には乾湿温度計、輻射熱の測定には黒球温度計がそれぞれ用いられ、
許容基準の指数は乾球温度・湿球温度・黒球温度から算定される。


Q3.廃棄物に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)学校給食施設からの残菜は、産業廃棄物である。
(2)一般廃棄物の総廃棄物は、年々増加している。
(3)一般廃棄物のリサイクル率は、年々減少している。
(4)一般廃棄物の処理責任は、市町村にある。
(5)産業廃棄物の処理責任は、都道府県にある。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。学校給食施設からの残菜は、事業系一般廃棄物である。
   学校や共同調理場は事業者である。
(2)誤り。近年の一般廃棄物の総排出量は、4,500万トン前後であり、
   年々増加ではなく、ほぼ横ばいである。
(3)誤り。近年の一般廃棄物のリサイクル率は、約20%であり、年々減少ではなく、横ばいである。
(4)正しい。一般廃棄物は市町村が処理責任を有しているが、できるだけ資源化・再利用化を図り、
   残りのごみを焼却・埋め立てなどで衛生的に処理する方法が基本となっている。
(5)誤り。産業廃棄物の処理責任は、排出事業者にある。

2018年01月11日

A環境と健康【問題】

それでは、「環境と健康」から三問出題します。

Q1.地球環境問題に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)地球温暖化の原因の一つとして温室効果ガスの排出増加がある。
(2)地球温暖化はマラリアの分布域拡大をもたらす。
(3)成層圏オゾン層の破壊に伴って、赤外線が人体に悪影響を及ぼす。
(4)酸性雨は湖沼や森林等の生態系に影響を与える。
(5)砂漠化とは、「乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における気候上の変動や人間活動を含む
   さまざまな要因に起因する土地の劣化」と定義されている。



Q2.高温職場の環境測定項目でないのはどれか。1つ選べ。

(1)気圧
(2)気流
(3)乾球温
(4)黒球温
(5)湿球温



Q3.廃棄物に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)学校給食施設からの残菜は、産業廃棄物である。
(2)一般廃棄物の総廃棄物は、年々増加している。
(3)一般廃棄物のリサイクル率は、年々減少している。
(4)一般廃棄物の処理責任は、市町村にある。
(5)産業廃棄物の処理責任は、都道府県にある。




次回、解説します。

2018年01月10日

A環境と健康【ポイント】

今日は、「環境と健康」のポイントをお話します。

【環境保全】
我が国の環境行政は、1950年代に顕在化した公害への対策から始まりました。
1993年には環境基本法が制定されています。
<環境基本能の基本的な理念>
@環境の恵沢の享受と継承等
A環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等
B国際的協議による地球環境保全の積極的推進

【環境汚染と健康影響】
〇問題点
・地球温暖化
・オゾン層の破壊
・大気汚染(硫黄酸化物、窒素酸化物、ダイオキシン)
〇公害
四日市残速、イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病


次回、問題を出題します。

2018年01月09日

@社会・環境と健康【解説】

それでは、「社会・環境と健康」の問題の解説をします。

Q1.一次予防はどれか。1つ選べ。

(1)脳卒中患者の機能回復訓練
(2)骨粗鬆症検診での骨量測定
(3)高血圧の予防を目的とした減塩教育
(4)エイズ患者のカウンセリングサービス
(5)胃がん検診での関節胃エックス線撮影


【解説】…正答(3)
(1)誤り。三次予防である。
(2)誤り。早期発見を目的とする検診での測定であるから、二次予防である。
(3)正しい。減塩教育は一次予防である。
(4)誤り。三次予防である。
(5)誤り。(2)と同様に二次予防である。


Q2.オタワ宣言のヘルスプロモーションに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)健康を生きることの目的としている。
(2)個人の受動的な活動である。
(3)疾病予防方治療への方向転換を重視する。
(4)環境対策と対立する活動である。
(5)公共政策として実施される。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。健康は生活の資源であるとしている。
(2)誤り。「人々がミス方の健康をコントロールし、
   改善することができるようにするプロセス」と定義されているように、積極的な活動である。
(3)誤り。健康管理能力を高め、疾病を予防することを重視している。
(4)誤り。健康のための健康づくりを活動分野としている。
(5)正しい。

2018年01月08日

@社会・環境と健康【問題】

それでは、「社会・環境と健康」から二問出題します。

Q1.一次予防はどれか。1つ選べ。

(1)脳卒中患者の機能回復訓練
(2)骨粗鬆症検診での骨量測定
(3)高血圧の予防を目的とした減塩教育
(4)エイズ患者のカウンセリングサービス
(5)胃がん検診での関節胃エックス線撮影



Q2.オタワ宣言のヘルスプロモーションに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)健康を生きることの目的としている。
(2)個人の受動的な活動である。
(3)疾病予防方治療への方向転換を重視する。
(4)環境対策と対立する活動である。
(5)公共政策として実施される。




次回、解説します。

2018年01月07日

@社会・環境と健康【ポイント】

今日は、「社会と健康」のポイントの解説をします。

【健康の概念】
健康とは、単に病気や虚弱でないということだけでなく、
身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態を言います。
WHO.gif

【公衆衛生】
〇公衆衛生の定義
公衆衛生とは、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、
寿命を延長し、肉体的・精神的機能の増進を図る化学・技術。
〇公衆衛生と予防医学
一次予防….jpg
〇プライマリヘルスケア(PHC)
1978年のアルマ・アタ宣言で提唱された概念で「すべての人々に健康を」をスローガンとしています。
<プライマリヘルスケアの基本活動項目>
@当面の健康問題とその予防対策に関する教育
A食糧の供給と適正な栄養摂取の推進
B安全な水の供給と基本的な環境衛生
C家族計画を含む母子保健サービス
D主要な感染病に対する予防接種
E地方流行病の予防と対策
F一般的な疾病と傷病に対する適切な治療
G必要最小限の医薬品による疾病の治療
〇ヘルスプロモーション
1986年にWHOによるオタワ憲章において提唱された新しい健康観に基づく21世紀の健康戦略ことで、
「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」のことを言います。
<オタワ憲章での優先的行動分野>
@健康のための公共政策の樹立
A健康のための健康づくり
B地域保健活動の強化
C自らの手による方向転換
〇プリシード・プロシードモデル
公衆衛生の分野で広く使われている保健政策の診断、計画、実施、評価の実践モデル



次回、問題を出題します。

2018年01月06日

E疾患・病態別栄養ケア・マネジメント【解説】

それでは、「疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」の問題の解説をします。

Q1.術前・術後の栄養管理に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)手術により、エネルギー代謝は持続的に低下する。
(2)手術により、肝臓における糖新生は低下する。
(3)栄養必要量の算出には、侵襲係数(ストレスファクター)を考慮する。
(4)胃切除後の後期ダンピング症候群対策として、間食を禁止する。
(5)術後消化管出血時には、経腸栄養法が用いられる。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。術後は、交感神経の亢進やカテコールアミノン分泌亢進などにより、
   エネルギー代謝は亢進する。
(2)誤り。手術により、肝臓における糖新生は亢進する。
(3)正しい。
(4)誤り。間食は適時に摂るようにする。
   後期ダンピング症候群は、食事摂取後、一過性の高血糖によりインスリンの分泌亢進が起こり、
   低血糖を呈したものである。
   これを防止するためには、1回の食事量を少量として、頻回食とする。
(5)誤り。経腸栄養法は消化管出血時には禁忌であるので、静脈栄養法を選択する。


Q2.重症熱唱に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)全身性の炎症が認められる。
(2)たんぱく質の異化は低下する。
(3)血管透過性は亢進する。
(4)侵襲直後には、エネルギー代謝は増加する。
(5)循環動態安定後も、中心静脈栄養を継続する。


【解説】…正答(1)、(3)
(1)正しい。全身性炎症反応症候群(SIRS)が起こりやすい。
(2)誤り。たんぱく質の異化は亢進する。
(3)正しい。
(4)誤り。侵襲直後数時間は循環の維持を保とうとして、エネルギー代謝は一過性に減少する。
   その後は交感神経が刺激され、代謝が亢進し、エネルギー消費量は増加する。
(5)誤り。循環動態安定後は、早期に経腸栄養を開始することが推奨されている。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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