癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

母に逢った日・・・夢の中で・・・


母が私の名前を呼ぶ声がしていた。
私も母を呼び返した。


やがて母が目の前に現れ、抱擁した。
母の匂いがした。


あれから・・・母とは逢っていない。
あの時、母は言っていた。


特別に許可をもらった・・・と。
許可・・・？！
何の許可が必要で、その許可は何処の誰からもらうんだ・・・？？


その質問は出来なかったが、
確かに母はそう言った。


あの時、私は母の居る世界を見せてもらった・・・
今でもそう思っている。


あの街並みを私は一生忘れない。
一本の道路・・・道幅はそんなに広くない。
左カーブで、下り坂か、上り坂のどちらかになっていたと思う。


左側に海があって、右側に山がありそうな風景だが、
実際には海も山も見えていない。


道路の両脇には建物が並んでいた。
木造の建物で、商店街なのか住宅街なのかもわからない。
印象としては田舎感が強かった。


母は夢を通して私に会いに来てくれたと思っている。
あの時、特別な許可・・・をもらって、
私をあの場所を見せてくれた。
働いていると言っていた。


なぜあの世で働くのかと母に問うことが出来た。
母は言った・・・
「生きているか死んでいるかの違いだけ・・・」
その言葉の意味を理解できるのはいつになるだろう・・・。


単純な言葉だが、考えだすと奥が深い・・・そう感じる。


母は私に何を伝えたかったのかもわからない。
会いに来てくれただけなのなら
あの場所を見せてくれた意味はあったのだろうか・・・？


ただ・・・なんとなく思う・・・
母にはしばらく逢えない・・・だろう・・・
あのようにして、夢の中で逢えることは・・・しばらくないだろう。
今は・・・そう感じている。

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