2021年12月10日
【経営者へ警告】旭川で進む高齢化、働き手(若者)の人手不足&流出、人口減...いずれは廃業・倒産危機〜地方こそ働き方改革が急務
進む旭川の高齢化。3人に1人はお年寄り
北海道の中でも札幌に次ぐ人口と規模を誇り、北海道第2の都市である旭川市。その旭川市の現在の人口とその年齢比率をご存知だろうか?
画像参照元:マイタウンあさひかわ
かつて最盛期には36万人を越える人口規模を誇ったが、2021年12月現在ではそこから3万人も減少。旭川市のホームページによれば33万人を切る328,160人となっている。
2023年3月のデータではさらに減少し、総人口は323,481人となって32万5千人を切る数値となっている。
また、高齢化率も高く令和3年12月1日現在では人口約33万人に占める65歳以上の割当は男性が30.8%、女性は37.5%。
国勢調査の高齢化率では平成2年が11.6%だったのに対し令和3年4月には34.2%に達するなど3人に1人が65歳以上という極めて高い高齢化率となっている。
※旭川市の人口より
そして若い世代はというと、20代の男女が全体の7.9%、30代男女は9.7%、40代男女が13.7%、50代男女が13.2%。
この数字を見ると気づくと思うが、現役世代の働き手の中で、20代や30代の若い世代よりも、40代、50代の方がかなり多い。
そしてその中でも20代はわずか7.9%と、40代男女や50代男女の半分程度しか居ないのがわかる。
ちなみに昔はどうだったかというと、参考までに平成10年の数値が旭川市の人口のページにあり、これを参照すると、平成10年9月の人口比率は20代の男女が全体の13.8%、30代男女は12.2%、40代男女が15.6%、50代男女が14.8%となっており、特に20代に関しては23 年前と比較して2倍くらいの差がある。
少子化で昔よりも子供の数減っていることは大きな理由だと思うが、これ以外に、
画像参照元:マイタウンあさひかわ
マイタウン旭川の2021年11月号の旭川市長への特集回によれば、「大都市圏への転出」も大きな理由としていた。
さらに最近の学生は20年以上前と比較しても高校を卒業したらすぐ就職ではなく、専門学校や大学などさらに進学するケースが一般的なっている。
その場合旭川には大きな大学が2021年現在、旭川大学と旭川医科大がくらいしかなく(※数年前まであった東海大学は既に廃校)、専門学校はいくらかあるが札幌に比べると種類も少ないため進学で旭川を離れがちだ。
その後卒業して就職する場合も旭川を選ぼうとしても就職先が無く、その進学先の地域かそれ以外の地域に就職するものだから若者がどんどん居なくなってしまう。
旭川市内でも人手不足?求人出しても人が来ない?
人口比率から若い世代が少ないのが数値として見えたと思うが、これが市内での求人に対しても影響を及ぼしている。大昔は求人を出せば誰かが応募して人が来て、簡単に採用できたと時代があった。
しかしながら現在では求人募集を出して業種によってはなかなか人が集まらず、採用そのもののに苦労する時代となっている。
特に若い人が減っていることもあり募集をかけても応募してくるのは40代、50代、はたまた定年まぎわの60代など、企業にとってはかなり扱いづらい年齢層である。
※74歳まで応募可のチラシを出すトライアル
若い世代が居ないなら人口の多い年齢層への求人を出す例もあり、先日のトライアルが74歳までや外国人も可の求人募集を出していたことは、裏を返せば人が集まりづらいことを逆説的に示している。
※配膳ロボットのイメージ ソフトバンクロボティクスより
市内にある地元の有名な焼肉店では最新鋭の配膳ロボットを導入したと聞いた。
その理由は「求人募集しても人が来ないから」だそうだ。飲食は元々人気のない業界ではあるが、ロボットの導入をせざるを得ないくらい切実な背景がある。
また、専門的な知識を必要とする業種ではなおさら人が集まらず、募集条件をしぶしぶ「未経験可」にせざるを得ない事例も発生している。
さらに最近の傾向として、採用してもすぐ辞めてしまう場合もある。そのため苦労して採用したにも関わらず、再び採用活動を行わなければならないなど、人口減と人手不足が企業にとっての重荷となりつつある。
旭川ではどんな業種が人手不足なのか?
旭川のハローワークが公開している各種統計情報の【職業別】求人・求職バランスシート令和5年1月分から市内の職種別での求人と求職者のバランスを確認すると...
出典:ハローワーク旭川
令和5年1月の全体の有効求人倍率は1.33倍。このうち最も高いのは建設採掘の4.3倍。続いて管理職が4.17倍、保安が3.07倍、サービスが2.78倍、生産工程が2.58倍、販売が2.21倍、専門職が2.09倍と続いている。
全国的にも建設や土木関係の業種では人手不足が続いているが、旭川でも依然としてトップレベルの人手不足。
続いての管理職は人数が少ないのでとばして保安、サービス、生産工程、販売が2倍〜3倍ちかくあるが、保安系は警備・ガードマンなどが該当。
サービス業は「飲食」、「ホテル」、「美容師」、「調理師」、「タクシードライバー」、「クリーニング業」、「介護」などが該当する。
続いて生産工程は「製造業」、「加工業」、「機械組み立て」など。旭川の家具製造はここに該当。
販売は「食品スーパー」や「コンビニ」、「デパート」、「生活雑貨」、「衣類」などの小売業が該当する。
専門職は「医師」、「看護師」、「弁護士」、「税理士」、「公認会計士」などが該当する。
全体を見直すと旭川市の求人では建設や土木関係は求職者1人に対して約4倍の求人があるなど、高水準。
これ以外の業種でも全国と同じで飲食やホテル、タクシーなどのサービス業、食品スーパーやコンビニなどの小売や、老人ホームや福祉施設などの介護施設でも人手不足となっている。
ほかは農林漁業が1.21倍、事務職は逆に倍率が低く0.63倍。
ブラック企業はなおさら人手不足
人口減、人手不足の時代ではブラック企業はなおさら苦労している。かつてはその会社がどんな会社で働きやすいか、はたまたブラックなのかは人づて、あるいは事件やニュースでしかわからなかった。
それがインターネットが発達した現代では「会社の口コミサイト」なるものまでも登場し、求人応募前に簡単にインターネットを使ってその会社について簡単に調べることが可能となった。
口コミには実際にその会社で働いていた人の生の声が聞けるため、入社前の判断材料として十分機能する。
そして現代では「ブラック企業=悪」という概念が一般的となりブラック企業のイメージが付いた会社は求人募集をいくらかけても採用できないというジレンマに陥っている。
そういう会社に限って労働環境改善しようともしないので、負のスパイラルにもなりやすい(※改善しようとも既に人手不足だから、今いる人の負担軽減すらできない)。
また近年では「退職代行」なるサービスも広まりつつあり、かつてよりも簡単に辞めることが可能となった。「ブラック企業=退職代行で辞めよ」が当たり前となり、こういった社会変化に対応できない古い会社ほど、人手不足に悩む傾向がある。
人口減の地方都市こそ働き方改革が必要
若者が生まれ育った街を出て、遠くの大都市圏に出てしまう理由はなんだろうか。その大きな理由はその地元に魅力的な企業が無いためである。
義務教育や高校、人によっては大学など進学しいざ就職しようとしても生まれ育った街には働きたいと思う魅力的な企業が無いのである。
そして大都市圏にはその若者に好まれる大企業が存在し、機能的な都市機能と魅力的な待遇や給与など地方都市には無いものを持っている。
地方都市でそれら大都市圏の魅力に打ち勝つためには、地方都市にある企業こそ働き方改革を行い、働きやすい会社づくりを目指さなければならないと考える。
ただでさえ地方都市は大都市に比べると若者のとって魅力が薄いところ。その地方都市でブラック企業ならわざわざ地元で就職する意味は皆無。よって地方都市こそ若者に残ってもらえるようなホワイト企業を目指す必要がある。
今居る人中年層や高年層は必ず歳をとっていずれは退職する。若い人を採用して人材を確保できなれければ社員そのものが居なくなって会社がまわらなくなる。
20代、30代の若い世代が減り続ける旭川で今後その難しさはどんどん加速すると思う。若い人が働きたいと思う会社作り、労働環境作りが会社が生き残る手段の一つであることは、人口減少時代の地方都市において明白である。
そういった努力をしない地方都市のブラック企業は、いずれは人手不足によって廃業、倒産などの危機もあると警告する。
「昔はこうだったから」とか、「自分の時はこうだ」とか劣悪な労働環境であっても昔話を使って美化するような人は経営者、役員は特に肝に銘じるべき。
これからも人口減と若い世代の減少、高齢化率の拡大など厳しい課題が残る旭川市。
新しく誕生した市長には大いに期待したいところだが、そこにある会社そのものがブラック企業からホワイト企業へ近づかない限り、若い世代の減少(転出)は減らないものと強く思う。
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