2023年01月16日
【人口減・少子高齢化は好機?】DZマートのダイゼン業績好調にみる地方スーパーのあり方
DZマートが業績好調
旭川を中心に小型ディスカウントストア「DZマート」を展開するダイゼン。
出典:DZマート
かつては市内で酒のディスカウントストアなどを展開していたが、2010年から現在のディスカウントストア業態に転換。
ここ数年は旭川以外の人口が少ない地方(美瑛、上富良野、芦別など)にも積極的に出店を続け、2022年12月には23店舗目となる「士別店」をオープン。2022年9月期の売上は(22店舗合計で)76億円と、業績は好調だ。
今後はは1年で10店舗ほどの高速出店を予定しており、さらに店舗数が拡大する。直近の計画では空知方面が2店舗。北見や深川に1店舗の模様。
DZマートの強みは徹底的なローコスト運営とコバンザメ出店
ダイゼンは商品の価格を抑えるディスカウントストアと実現するため、徹底的なコスト削減に取り組んでいる。
@店舗運営は基本2人
一般的なスーパーはどんなに小さいお店でも店員は数人居る。場所にとっては青果、精肉、鮮魚、品出しと細かく分かれるが、DZマートでは基本的に各店舗2名配置のみ。人件費を大幅に削減する。
1名はレジ打ちでもう一名は品出しで分担化。客がレジ待ちする場合は2名でレジ対応するなど、臨機応変に店内のオペレーションを変更する。
これを実現するために全店でセミセルフレジを導入するなど、従業員の負担も少なくしている。
Aオペレーションを見直し、作業効率化
DZマートでは店舗における作業も効率化し、無駄を省いている。
例えばスーパーでは一般的な品出しの「後入れ先出し」だが、賞味期限を厳密に管理するため一つの棚でも商品を入れ替えたりと作業時間も増えてしまう。
そこでDZマートではこれを廃止。商品ごとに賞味期限を1ヶ月で管理することで高速補充や陳列を行う。
また、商品の納入も閉店後の深夜のみに行い、トラックからの荷物もバックヤードを使わず直接店内に入れてもらうシステムを採用。無駄を省いている。
B割り切りの商品配置
DZマートでは取り扱う商品も厳選している。
精肉や鮮魚に関しては店内で加工せず、加工済み商品を納入。また、「牛肉は北海道の人はほとんど食べない」との発想から基本的に扱わず、豚肉や鶏肉が中心。
魚も「刺し身は売れない」との発想から切り身が中心。さっと焼いてすぐに食べれる商品に限定している。
他にはお菓子や飲料、冷凍食品は数多く揃え、いつも低価格で提供する。ただし、高級品や嗜好品といった買う人が極端に限られる商品は扱わない。
このあたりは割り切りの戦略で、本格的な商品が欲しい人は他の大型スーパーを利用してもらうという考え方。
一方で「このジャンルのこの商品だけは大型店に負けない」という部分を設定することで、DZマートの価値を高めている。
C商品はすべて自動発注
スーパーといえば各店舗ごとに商品を発注するのが一般的だが、DZマートではレジ販売データを用い、商品ごとに自動発注システムによる自動化をおこなっている。
これにより各店舗での発注作業がほとんど必要無くなり、2名での店舗運営が可能。
また、本部では監視カメラを用いた手動による在庫不足対応も行っており、2023年からは監視カメラとAIを用いた発注システムを導入予定で、効率化をはかる。
D大手のスーパーの近くにコバンザメ出店
DZマートは大手スーパーの近所に出店することで、集客を狙うコバンザメ出店を行っている。
コンビニの近くにコンビニを新規出店させたり、ヤマダ電機の近くにケーズデンキを作る作戦と同じ。
同じ商品でもDZマートは飲料や冷凍食品、アイスクリームやお菓子が安いのでこれを目当てな客をつかむ。
ローコスト運営は低売上でも店舗運営を可能に。地方でも積極出店可能に
1店舗あたりの費用(人件費)を下げることにより高い利益率を生み出すDZマート。
販売経費が少なくて済むDZマートの店舗は売上が少なくても店舗運営が成り立つ。これが人口の少ない地域でも営業を可能にする。
人口1万人規模かそれ以下の市町村では大手が新規出店がしずらく、近年では地方の農協系スーパーが閉店したりと、北海道の地方都市では年々スーパーマーケットが減少する傾向にある。
そのため人口減や少子高齢化が多く、人口規模の少ない北海道の地方都市ではこういったスーパーが好まれると推測する。
これまではコバンザメ出店が多いが、今後はコバンザメにこだわらず、またその地域の特性にあわせた商品配置などで地域性の強いDZマートが誕生する可能性もある。
ローコスト運営に人口減の時代が後押しするDZマート。今後は北海道内の各地でDZマートを利用できる日がくるかもしれない。
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