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2015年05月07日
金剛界 三昧耶会 三昧耶パーツ描き5(第二重1)
第二重の三昧耶形パーツ描き 1回目
金剛界三昧耶会の外周が終わって次は第二重の三昧耶形パーツ描きです。
内外の金剛界道で囲まれた第二重には月輪中の蓮華座に二十四尊の三昧耶形が描かれています。
これらの尊格はどのような基準で配されているのでしょうか?
第二重の二十四尊は大きく三つに分類されます。
@ 外の四供養菩薩(白番号:1〜4)
A 四摂菩薩(水色番号:5〜8)
B 賢劫十六尊(黄色番号:9〜24)
ここでカッコ内の色数字は次の図の番号に対応します。
今回から第二重の三昧耶形パーツを何回かに分けてあげていきます。
第二重 三昧耶形パーツ @ 外の四供養菩薩(1〜4)
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西。
今回は@ 外の四供養菩薩(1〜4)です。
外の四供養菩薩は理趣会の時に尊像を描きました。理趣会では三昧耶会と内外の供養菩薩の位置が逆転しており、井形の金剛界道内に住していました。ここでは本来の位置である第二重にあります。
1)金剛焼香菩薩
元の絵に形がよく残っている。見たように描くとラフスケッチのようになってしまう。線を選んで形を抽出して描かないと。
三昧耶形(三形)は宝香炉
三形の宝香炉は金剛焼香菩薩の持物。
金剛焼香菩薩は阿閦如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊。
2)金剛華菩薩
元の絵に色も形もよく残っていて分かりやす。ハスの葉の上にハスの花が載っているように見える。ハスの花(蓮華座)の上にハスの葉(荷葉座)が載っていてその上にまたハスの花が載っている。面白い。
三形は盛華
三形の盛華は金剛華菩薩の持物。
金剛華菩薩は宝生如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊。
3)金剛橙菩薩
はじめに見たときとちょっと印象が異なって描いてしまったので、下絵のときに元に戻そう。
三形は橙燭
三形の橙燭は金剛橙菩薩の持物。
金剛橙菩薩は阿弥陀如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊。
4)金剛塗香菩薩
ざる状の器に見えるのはよくないな。これは中に塗香が入っているように描くべきだな。でも、塗香の実物を見たことがない。塗るのだからペースト状かのだろうか?塗香の説明を読むと粉状でもいいみたいだけど・・・
三形は塗香器
三形の塗香器は金剛塗香菩薩の持物。
金剛塗香菩薩不空成就如来が毘盧遮那如来を供養するために出生した女尊。
理趣会で一度解説をしているので書くことがあまりない。
それとも閲覧の弁をはかり詳しく重複情報を載せるべきか・・・う〜ん
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年05月06日
本紹介 No. 011『伝真言院曼荼羅 世界文明の縮図』
『伝真言院曼荼羅 世界文明の縮図』
本のタイトル『伝真言院曼荼羅』とは僕の大好きな東寺『西院本両界曼荼羅』のことです。
小久保和夫 著
『伝真言院曼荼羅 世界文明の縮図』(サンブライト出版 1978)
古本をあさってて偶然みつけたので読んでみました。
『西院本曼荼羅』関連本となるととりあえず読んでみたくなります。
表紙に「写真=石元泰博」とありますので、石元泰博氏のまだ見ていない写真なども見ることができるかもしれません。・・・というより石元氏以外に東寺『西院本両界曼荼羅』を撮影した写真ってないのかも。
これまで紹介した『西院本曼荼羅』の本はどちらかというと図がメインの本でしたが、この本は文章がメインですし、「世界文明の縮図」という副題にも心惹かれるものがあります。
構成
B6変形(縦x横:200 mm x 130 mm)、右開き縦書き142ページ、巻頭写真のほかにページ中三箇所にカラー写真各16ページが挿入されています。鮮やかで綺麗な『伝真言院曼荼羅』の写真の数々。すばらしい。
構成は以下の通り。
序 ー 光るオリジナリティー 石田尚豊
序章
一章 生と死の思想 ー 胎蔵界最外院
二章 光の造形
三章 器物の思想 ー 金剛界曼荼羅
あとがき
序には以前紹介した良本『曼荼羅のみかた パターン認識』の著者である石田尚豊氏が寄稿しています。本書への期待が高まります。
構成だけみてもなにがなんだかという章題ですが、ある意味トリッキーでいいかもしれません。
内容
内容ですが写真がとっても綺麗です。
で、本文は・・・う〜んと・・・まあ、研究書以外の宗教関連本によくあるパターンですが、自分の思いというか熱意が先に立ってしまって論理の飛躍や論理そのものの欠如が多分に見られます。
序章の1ページ目で空海請来の一丈六尺の両界曼荼羅を紹介する写真に『伝真言院曼荼羅』を参照とするあたりに厳密性について不安が募ります。全体を読むとそうではないことがわかりますが、誤解を招くもとになるやもしれません。
一方、著者は東寺勤務とのことで、真言宗の内側からみた両界曼荼羅の役割についての大変示唆にとむ言説が発見できます。例えば、截金が燈明に照らされて浮かび上がる立体感や奥行き感などはその場にいないとわからない貴重な発見です。
「あとがき」によると東寺文化財担当の著者は石元泰博氏が『伝真言院曼荼羅』の撮影を行うのに立ち会ったことから『伝真言院曼荼羅』に魅せられこの本を著すにいたったようです。
『伝真言院曼荼羅』の構成や描かれた図像とインドや中国の文明はもとよりギリシャ文明やエジプト文明、ヴァイキングやオリエント文明などとの関わりの中で思いつきというか気づきがもととなって話が展開します。
著者は新約聖書学を専攻していたとのことで、西洋文明に対する知識や興味が『伝真言院曼荼羅』の理解に多大な影響を及ぼしていることと思います。
特に『伝真言院曼荼羅』の中にみられる生と死と光のイメージを世界文明との関わりの中で捉えようとしているようです。それがこの本の副題の「世界文明の縮図」につながっているのでしょう。
長い時間『伝真言院曼荼羅』とともに過ごし、その時間の中で様々に考え、思い浮かんだことを一つづつエセーのように書き綴り一つにまとめたのが本書であろうかと思われます。
全くの余談ですが、126-127ページに載せてある舎利塔や密教法具が実に美しい。非常に美しい。なにか限りなく完璧さに近いものを感じます。すばらしい。
曼荼羅作画とのかかわり
『西院本曼荼羅(伝真言院曼荼羅)』に対する強い思いを感じるとともに、やはりこの曼荼羅はすばらしいと再確認しました。
また、本書で『西院本曼荼羅』の一部分を拡大した写真をたくさん見ることができ目の僥倖です。
「あとがき」に石元泰博氏が約一万枚ものフィルムに『西院本曼荼羅』を撮影したと書いてあり・・・見たい・・・とうか欲しい・・・デジタルライブラリーになってたりしないかな・・・なさそう
上記「内容」のところでも書きましたが截金の効果というか重要性をあらためて認識しました。下絵が煩雑になるとおもい截金の下絵を描いていませんが、本絵では截金について十分に考慮する必要があるかと思います。
でも、どれくらいの技術というか訓練がひつようになるのか全く想像もできません。どうしよう・・・
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年05月05日
金剛界 三昧耶会 三昧耶パーツ描き4(外周4)
外周 三昧耶形パーツ描き終了
子供の日いかがお過ごしでしょうか。
今回で三昧耶会外周の三昧耶形パーツ描きが終了です。
ブログにまとめるのけっこう面倒ですが、まとめることで理解が進むし、読んだ知識だけでただ漫然と描いていると分かったつもりでもなんかしっくりこない。
集中力というか、具体性というか、そういうところでなにか違うような気がします。
三昧耶会 三昧耶形パーツ
順番はいつも通り東南西北で時計回りに。金剛界曼荼羅は上が西で、今回は北側。
外周(外金剛部二十天)北方は地下天に属し、大地と地下世界の天が住している。
ただし、中央(18)は北門を守護する毘那夜迦の眷属。
16)金剛面天(こんごうめんてん)
これも着色されていないようにみえる。でも、着色がない方が形が分かりやすく描きやすいような気もする。面白い造形だ。
三形は金剛鉤
金剛面天は梵名のヴァジュラ・ムカの意訳。別名を金剛猪頭天とも。猪頭人身のヴィシュヌ神の化身。悪鬼との争いで水中に没した大地を引き上げ、人々を救いつくす神。
ヒンドゥー教の神話では鋤を持物とするが、仏教に取り入れられ金剛鉤が持物となる。
三形の金剛鉤は衆生救済の象徴。
17)炎摩天(えんまてん)
閻魔様の三大道具の一つが人頭杖だったな。でも日本でみられるのは頭が二つ付いていたような・・・残り二つは業秤と浄瑠璃鏡だけど、閻魔様は証言だけでなく、量の比較や映像といった証拠を元に科学的なお裁きをしてくださるのですな。そういえば、エジプトの死者の書にも業秤みたいなシステムがあったような・・・って話が飛びすぎ。
三形は檀拏(だんだ)、人頭杖
梵語のダンダは杖・棍棒の意。ここでは炎摩が死後の衆生を裁く正義の法を象徴する。
炎摩天は梵名のヤーマの音訳。ヒンドゥー教のヤーマは人類最初の死者にして死後世界の裁判官。仏教に転じて一切衆生の善悪の業を裁断し、煩悩を滅する。死と時間の神。
三形の檀拏は炎摩天の持物。
18)調伏天(ちょうぶくてん)
三鈷剣かっこよす。
三形は三鈷剣
調伏天は梵名ジャヤの意訳。ジャヤは調伏の意。
調伏天は象頭人身の毘那夜迦の眷属、北門の守護天。三鈷剣にて魔と闘い仏法を守護する。
拘刀毘那夜迦とも。
三形の三鈷剣は調伏天の持物。
19)毘那夜迦(びなやか)
これも描くのはらくちん。でも、三形が白描だと06の日天と全く同じにみえる・・・色をつけないと区別できない。色大事。
三形は歓喜丸、油で揚げたお団子
毘那夜迦は梵名ヴィナーヤカの音訳。
象頭人身の毘那夜迦は大自在天(シヴァ神)と烏摩妃(パールヴァティ女神)の子。
障害を引き起こし、障害を取り除く、障害を支配する智慧の神。日本では大聖歓喜天として親しまれる。
三形の歓喜丸は毘那夜迦の持物。
20)水天(すいてん)
下絵を描き直している。どれほどの違いがあって描きなおしているのかは不明。投げ縄って馴染みがないけど(古代)インドでは一般的なんだろうか?前回の風天や火天と同じく二十天のうちの水天は金剛水天としたい。ところで以上二十天の中に四大神のなかで地天のみが含まれない理由ってなんだろう?
三形は龍索、龍を模し一端に独鈷杵をつけた縄、投げ縄または捕縛縄
水天は全宇宙の水を支配する神。仏教では雨水が大地を潤して生命を生み出すように、衆生の渇いた心を潤し菩提心を生み出す力を持つとする。
三形の龍索は水と龍が密接な関係にあることから、水天の持物。
以上、北方五天でした。
これで三昧耶会外周二十天の三昧耶形パーツ描きが終了。
曼荼羅は一度にたくさんの尊格が出てきてさあ大変という弊害があるので、尊格を紹介するときは小さく区切った方がわかりやすいような気がします。
まあ、少なくとも自分で探すときはちょっと楽。でもいつか目次を作らないと混乱するな・・・
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年05月04日
金剛界 三昧耶会 三昧耶パーツ描き3(外周3)
外周 三昧耶形パーツ描き3
外周の三昧耶形は不明瞭なものが多い。何かの理由で絵の具の剥落が激しいのだろうか?
いや、そもそもほとんど着色されていないのではないだろうか?
如来や菩薩に比べ、天は形がわかりさえすればいいだろうといった程度の扱いなのかもしれないとさえ思えてしまう。
三昧耶会 三昧耶形パーツ
順番は東南西北で時計回り。金剛界曼荼羅は上が西なので、今回は西側です。
各三昧耶形の位置がわかるように番号を次の図に示す。
中央(13)は西門を守護する毘那夜迦の眷属。
残りの西方四天は地居天に属し、ここでは八護方天のうち西南、西北、東南、北の四天が位置する。なぜこの四天が西方四天に選ばれたのだろう?
11)羅刹天(らせつてん)
もう少し炎っぽく描くべきか。
三形は火焔杖または火焔棍棒。
羅刹は梵名のラークシャサの音訳。暴虐破壊の神で杖や棍棒を持す。
元は人肉を食らう悪鬼と考えられたが、その力により煩悩を破壊し仏法を守護する護法天となる。
西南の護法天。
三形の火焔棍棒は羅刹天の持物。
12)風天(ふうてん)
ここで、宝珠を丸で描いたが判りにくいので下絵で修正しよう。風幢は五色に染めるか。
金剛輪の西北隅の大きな蓮華が四大
神のひとつ風天の三昧耶形で十二天の風天と尊格が重なる。他にも同体とされる尊格も散見されるが、名称まで全く同じであると役割というか立ち位置が分かりにくいので、あくまで私見ですが、ここは「金剛風天」と呼びたい。
三形は宝珠風幢(ほうじゅふうばん)。風幢とは儀式や軍隊の指揮などに用いた旗の一種。はたほこ。転じて魔軍を制する如来菩薩の御印。
風天は風を司り、雨雲をさそい黒雲を吹き払う大いなる力を持つ。
西北の護法天。
三形の宝珠風幢は風を風幢にはらみ煩悩の塵埃を吹き払い宝珠(菩提心)を顕わにする象徴。
13)金剛衣天(こんごうえてん)
矢(箭)の鏃の形がいまいちわからないのでなんとなく三鈷杵っぽくしてみる。
三形は弓箭(きゅうせん)。弓と矢。
金剛衣天は梵名のヴァジュラ・ヴァーシーの意訳から。
毘那夜迦の眷属、西門の守護天。弓箭を手に持ち障害と戦うとともに愛欲の本性清浄をあらわす。
弓箭毘那夜迦とも。
三形の弓箭は金剛衣天の持物。
14)火天(かてん)
これは三角形を基本に描いたが、もう少し炎のイメージを付加して描いた方がいいな。
金剛輪の東南隅に四大神のうちの火天の三昧耶形である大蓮華がある。風天と同じ理由でここは「金剛火天」と呼びたい。
三形は三角印、三角火炎。火輪ともいい燃え上がる炎を表す。
火天(アグニ)は天と人とを結ぶ使者であり、供物を天に運ぶ役割を担う。仏教においては煩悩を焼き尽くし、ほとけの智慧を与える神とされる。
東南の護法天。
三形の三角火炎は火天の象徴。
15)毘沙門天(びしゃもんてん)
元の絵がわざと削り取られたかのように絵がほとんどわからない。残った線をたよりに思い浮かんだものを描く。
三形は宝棒。
毘沙門はヴァイシュラヴァナの音訳。ヴァイシュラヴァナは多く聞く者の意で、別名を多聞天という。
ヴァイシュラヴァナの前身をクベーラといい地獄の王であり、夜叉や羅刹の王。富と財宝の神。地下に埋蔵されている財宝の守護天。
北方の護法天。
守護神・武神から仏敵を打ち据える護法の宝棒を持物とする。
以上、西方五天でした。
ここまでで、例えば一見同じような棍棒に見えてもそれぞれに働きや由来が異なることがわかった。
それらの意味を考えながら描くのと、何も知らずに描くのはやはり違うと思う。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年05月03日
金剛界 三昧耶会 三昧耶パーツ描き2(外周2)
三昧耶形パーツ描き2
三昧耶会の三昧耶パーツ描きをしていて、今回は外周の二回目。
単調な作業なのだけど、元図が小さいので形がいまいちわからなかったり、細部が不明瞭だったりで難儀している。
三昧耶会 三昧耶形パーツ
順番は東南西北に時計回りで金剛界曼荼羅は上が西なので今回は外周南側。
各三昧耶形の位置を番号で次の図に示します。
外周(外金剛部二十天)南方は飛行天に属し、天空高く輝く日月星宿を代表する天がまとめられている。
ただし、中央(08)は南門を守護する毘那夜迦の眷属。
06)日天(にってん)
丸を描くだけなので、悩まず楽ちん。赤い色もしっかり付いてる。
三形は日輪形
梵名のアーディトゥヤは創造・自由の意で、太陽神(群)、日天は生命の根源であり、天かける自由の象徴。
三形の日輪形は太陽のかたち。
07)月天(がってん)
大きな上弦の月。少しだけ白い色が残っている。位置をずらしたあとが見えるが、下絵と本絵の区別がほとんどつかない。
三形は三日月
月天は星宿の王にて太陰の神。暗い夜を照らす清涼なる光明は心を静寂の境地へと導く力を持つ。
三形の三日月は月のかたち。
08)金剛食天(こんごうじきてん)
少し意匠を変えて描いている。参考にした絵では華鬘のところに丸が連なって描かれているように見える。これを華鬘を描くあたりをつけていると見なすべきか、それともこのような華鬘・宝鬘があるのか・・・ともあれ連なる丸の意味を理解できなかったので他の会を参考に華鬘を描くことにした。
三形は華鬘(けまん)
毘那夜迦の眷属、南門の守護天。宝鬘を手に持ち衆生を供養する。
華鬘毘那夜迦とも。
三日月の華鬘は金剛食天の持物。
09)彗星天(すいせいてん)
彗星を棍棒と理解していたのか。これはなるべく原意を損なわないように描いたつもり。
三形は棍棒
彗星は七曜と異なる軌道を描くことから天体の運行を乱すと考えられ、天変地異を引き起こす力を持つとされる。
この力が運命を変えることのできる大いなる力と考えられた。
三形の棍棒(マハーダンダ:大棍棒)は大いなる力と彗星の姿の象徴。
10)熒惑天(けいわくてん)
ここは色も形もある程度残っているし、形もわかりやすい。
三形は火聚(かじゅう) 火焔
日天の眷属、火星のこと。
運命を司る力を持つとされ南方飛行天の一とする。
三形の火聚は火星の赤い輝きの象徴。
以上、外周南側の五天でした。
1日五尊だけだと少ないかもだけど、いろいろきになるところを調べたりしているとそれなりに時間がかかるので、まあいいかな
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年05月02日
本紹介 No. 010『国宝の美 絵画5 仏教絵画1』
『国宝の美15 絵画5 仏教絵画1』
とりあえず西院本曼荼羅の図が描かれている本があると手に入れてみたくなります。資料として使えるかもしれないし、知らないことが書いてあるかもしれないので、ワクワクします。
というわけで選んだのがコレ
週間朝日百科
『国宝の美15 絵画5 仏教絵画1』(朝日新聞出版 2009)
構成
A4変形、37ページ、フルカラー、いわゆる分冊百科の一冊で全巻で50巻になり、その15冊目。
特集の「東寺 両界曼荼羅図」で西院本曼荼羅が挙げられています。
これを目当てに選びました。安いし。
内容
国宝を特集とする分冊百科シリーズの一冊なので、国宝 西院本両界曼荼羅が始めに挙げられています。
と言っても詳しく解説するというよりも紹介に近いもので説明自体おおくはありません。
でもグラビア印刷がうつくしい。紙面が少ないので、かなり慎重に印刷面を調整しています。
西院本曼荼羅の他にも小さいながらも高尾曼荼羅や子嶋曼荼羅のうつくしい写真が載っていたり、醍醐寺五重塔初重壁画や金剛界八十一尊第曼荼羅図も紹介されています。
また、両界曼荼羅の読み解き方を田中公明氏が解説しており、密教と曼荼羅を読み解くうえで需要な入唐八家の解説も載っています。
曼荼羅の他には東寺五大尊像や十二天像、傑作の名高い持光寺 普賢延命像などの貴重な国宝の美しい写真が掲載されています。
曼荼羅作画とのかかわり
薄い冊子本なので、すぐ手にとってパラパラと見るのに良い本です。
西院本両界曼荼羅の全体をパッと見たいときなどに重宝します。色合いも明るく鮮やかです。
写真以外の内容については詳しいながらも新しい情報があるというわけでもなく、一般的な紹介本といったところです。
でも、いつでもすぐに見ることのできるうつくしい西院本曼荼羅という意味では今の所これに勝るものはなかったりします。
その意味で曼荼羅作画に一役買っています。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
国宝の美 15 絵画5 東寺(両界曼荼羅図)/東寺(五大尊像・十二天像)(2009年11月29日号) (週刊朝日百科)
中古価格
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(2015/7/12 15:27時点)
2015年05月01日
金剛界 三昧耶会 三昧耶パーツ描き1(外周1)
三昧耶形パーツ描きスタート
さて、いよいよここからが金剛界曼荼羅の本領発揮というか・・・
尊格がたくさん出てきてさあ大変というところです。
どこから描こうかと考えて、ここまで外周から描いているので今回もそうします。
金剛界三昧耶会の外周には二十天の三昧耶形が描かれています。
ここで描いたパーツを元図と一緒に紹介するつもりですが、二十天を一度に紹介すると一尊一尊の密度が下がるような気がスルので・・・
本当なら1日に一尊だけでじっくりと紹介したいのだけどそんな知識もないし、描くスピードとの兼ね合いもあるので、まとまりのよいところで何回かに分けてあげていくようにします。
三昧耶会 三昧耶形パーツ
順番は東南西北の時計回りで、金剛界曼荼羅は上が西。
というわけで今回は東側。
各三昧耶形の位置がわかるように番号を次の図に示しておきます。
外周(外金剛部二十天)東方は上界天に属し、ヴェーダやヒンドゥー教の主要神がまとめられている。
ただし、中央(03)は東門を守護する毘那夜迦(びなやか)の眷属。
下図は左が参考にしている西院本曼荼羅の図で右が描いた三昧耶形パーツ。
01)那羅延天(ならえんてん)
元図はこれでいいのか?と思えるシンプルな絵。なぜか縦に潰れているし・・・全く同じように潰して描くか、それとも、輪宝のようにのように細部をこだわって描くかと考えて、シンプルに潰さずに描くことにした。
三昧耶形(三形)は八輻輪。八輻輪とは8本スポークの輪宝のことで、古代インドの武器を原型とする。
那羅延天の梵名はナーラーヤナといい、ヒンドゥー教のビィシュヌ神の別名。
三形の八輻輪はビィシュヌ神の武器の一つが八輻輪であることから。
ここでちょっと・・・後で出てくる予定ですが、金剛輪の西方月輪円に座す金剛因菩薩の三形も八輻輪である。
外周に位置する諸天はハスの葉(荷葉)に座し、如来や菩薩は蓮華に座すので座の違いにより那羅延天と金剛因菩薩を区別することができる。
02)鳩摩羅天(くまらてん)
これも元の絵は色が付いているかどうかもわからない墨線のみの図。荷葉座は緑色が付いているので、三昧耶形だけ剥落・脱色したとは思えないのだけど・・・もしかして着色してない?
形はなんとなくそれとなく似たような感じで。
三形は三鈷鈴。三鈷鈴は取っ手が三鈷の金剛鈴のこと。
鳩摩羅天の語源はクマーラといい、童子の意。ヒンドゥー教のシヴァ神の子である軍神スカンダ(韋駄天)の別名。
三形の金剛鈴は鳩摩羅天の持物。その理由は・・・ちょっと分からなかったのですが、軍神スカンダが鳴り物を用いて軍を動かしたと考えたことから鈴を持物としたとかなのかな?
03)金剛摧天(こんごうざいてん)
ハスの葉に傘が刺さっているようでちょっとシュール。傘の形はよく分かる。色は全くわからない。
三形は傘蓋、傘のこと。
金剛摧天の摧は砕破の意。象頭人身の毘那夜迦(びなやか;ガネーシャ、ガナパティとも。大聖歓喜天のこと)の眷属で、傘蓋毘那夜迦ともいい傘蓋を翳す。
毘那夜迦はシヴァ神とパールヴァティ妃の子で、智慧と福徳を授け、障害を除去する神。
金剛摧天は金剛智により煩悩を砕破し、慈悲の傘蓋により衆生を覆護する。
東門の守衛。
04)梵天(ぼんてん)
ハスの花がハスの葉を破って伸びている。これは蓮池でたまに見られる光景。蓮華は紅蓮華のはずだけど・・・
三形は紅蓮華。
言わずと知れた梵天(=ブラフマン)。
ヴェーダでは宇宙創造の最高神。
ヒンドゥー教では宇宙創造の創造主ヴィシュヌの臍から生じた蓮華に梵天が座しこの世界を創造したとされる。
仏教においては釈尊の成道にあって帝釈天とともに説法を懇願した護法善天。
三形の紅蓮華は蓮華蔵世界の象徴。
05)帝釈天(たいしゃくてん)
う〜んシンプル。独鈷杵というか棒。下書きが残っているような感じ・・・もしかしてこれは色をつけてない・・・というか未完成なんじゃ・・・
三形は独鈷杵。
帝釈天は梵天と並ぶ仏教の二大護法善天。ヒンドゥー教の神インドラのこと。雷を操る雷霆神。
武神であり、武器として金剛杵を持つ。
三形の独鈷杵は武神インドラの武器から。
とまあ、こんな感じかな・・・
調べてもよくわからないことがあるので気に留めておこう。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年04月30日
金剛界 三昧耶会下絵 文様パーツ描き
三昧耶会 文様パーツ
三昧耶会で描くパーツは中下段六会で共通に用いるパーツが多い。
外周四隅の三鈷杵は上段三会とも共通。外周の諸天の間に見られる火炎三鈷杵は三昧耶会中では全て同型。
第二重の月輪の間に描かれている蓮華文様も上下左右で対称同型。金剛輪外の四方にみえる四大神(地・水・火・風天)の三昧耶形である赤蓮華も成身会以外では共通に用いられる。
また、金剛輪内の内の四供養菩薩の月輪円を取り巻く風雲文様は中下段六会全で共通に用いることができる。
三昧耶会 文様パーツ描き
1)火炎三鈷杵
三昧耶会外周の諸天の間にある火炎三鈷杵
左が元絵で右が描いたパーツ。
どうして三昧耶会外周(第三重)の諸天の間に火炎三鈷杵を描くのかの意味がはっきりしない。
数多ある諸天を象徴するのか、金剛界の堅固な智慧を象徴するのか、それとも他の理由があるのか・・・
三鈷杵のイメージがいまいちつかめない。三鈷杵買おっかなぁ。
2)第二周蓮華文様
上二つが三昧耶会 第二周蓮華文様の上下の元絵とパーツで、下二つが左右の元絵と描いたパーツ。
荷葉(蓮の葉)の意匠がイマイチだな・・・精進精進
蓮華の茎があるのだと思うのだけど、あったほうがいいか、ないほうがいいか思案中。
3)赤蓮華(四大神の三昧耶形)
左が元絵で右が描いたパーツ。もう少し花弁に丸みをつけるべきか。
中下段六会のうち成身会の他の五会では全て四大神を赤蓮華で表現する。四大神はどれも同じく赤蓮華なので、成身会をみないとどれがどれだかわからない。
これは文様というより三昧耶形なのだけれど、四大神で区別がついていないので、厳密な意味では三昧耶形とも言えないと思う。もちろん文様でもないのだけど・・・
元図を見ると中心に十字が切ってあり、コンパスで中心位置を決めているように見える。下絵がなく直接絵絹に書いているもよう。それに、赤蓮華の下絵の位置をずらして描き直しているのがわかっておもしろい。
4)風雲文様
左が元絵で右が描いたパーツ。風雲が隅々まで行き渡る印象に。
風雲文様は東南、南西、西北、北東の四方向でそれぞれ反転して描く。
ここもよく見ると金剛輪の大円を大きく描きなおし、それに伴い内の四供養菩薩の月輪の位置もずらしていることがわかる。
下絵の書き直しを見ると限られた道具や材料、時間の中でより良く描こうとした苦労が偲ばれ大変興味深い。
と、以上、今回新しく描いた文様パーツは四種類。
次回からは三昧耶形のパーツ描きだけど・・・多いな・・・どこから描こうかなあ
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年04月28日
金剛界 三昧耶会下絵 製図
金剛界 三昧耶会下絵 製図
三昧耶会の設計図を元に製図をします。
折角なので、まだ使っていないコンパスを使ってみます。
一印会製図のとき『ステッドラー マルス・552 09S コンパスセット』を使ってみましたが、上から少し押すとしなって線がずれてしまいました。
ステッドラーで最高級のコンパスと思われる『ステッドラー コンパスセット マルス 555 03』ではどうでしょうか?
『中心器』の使い方は『ステッドラー マルス・552 09S コンパスセット』のときに紹介したので割愛します。
続いて、大円部分だけ先にドローイングペンで描いておきたいので『ステッドラー マルス・552 09S コンパスセット』から汎用アダプターを借りてきて『ステッドラー マルス 555 』に装着。
これにステッドラーの製図ペンも装着して使ってみたいですね〜・・・どうしよっかなあ・・・物欲が・・・
あとは、残りの線をシャープペンで描いて
最後にドローイングペンで下絵に必要な線を描きます。
と、これまでだったらここで製図作業が終わるのですが、今回からはこれで終わりではありません。
この製図を元にもう一枚トレペを重ねてドローイングペンで製図を写し取ります。
と、その前に間違いがないか設計図と見比べながら定規を当ててしっかりと調べます。ここで間違っていると後で痛い目にあいます。
大丈夫のようなので、もう一枚トレペを重ねて
ドローイングペンで製図線だけを写し描いたのがコレ
実はこれが三昧耶会の製図として使うもので、それ以前の製図は製図の下図とでもいうもので、三昧耶会に限らず金剛界曼荼羅中下段六会に共通に使う製図用のテンプレートです。
成身会以外はテンプレート製図を元に製図を写し取って下絵製図として使います。
金剛界曼荼羅を描き始める前に製図の道具にこだわっていろいろご紹介しましたが、このように何度も同じ製図をすることになるだろうと思い、使いやすい道具をいろいろと探していたというわけです。
あれ?ということはもう設計図って使わないな・・・
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
タグ:下絵道具
2015年04月26日
本紹介 No. 009『密教曼荼羅ー如来・菩薩・明王・天』
『密教曼荼羅ー如来・菩薩・明王・天』
前回、密教で最も重要な尊格である大日如来とその他の尊格についての本を読みました。
しかし、両界曼荼羅に含まれる尊格の数と種類から考えても、理解したい尊格がまだたくさんあるのでなにかいい本がないかなと・・・
まあ、ネットや辞典でちょこちょこ調べれば全部わかるはずなんですが、一貫性というか流れというか、本を読む方が楽なので何か本を探します。
というわけで、見つけたのがこれ、
久保田悠羅とF.E.A.R. 著
『密教曼荼羅ー如来・菩薩・明王・天』(新紀元社 2000)
で、この本が届いてすぐに中を開いてちょっと笑ってしまったwww
実はこの本、ゲームやSFのための資料本として作られているようなのです。
右上に「Truth In Fantasy 52」とあって、ここに気がつくべきだったかもしれないし、著者にF.E.A.R.とあるのが何かな?とおもっても良かったかもしれない。
この本の巻末に「Truth In Fantasy」シリーズが載っているのですが、例えば『幻想世界の住人たち』や『幻の戦士たち』といったタイトルの本が並んでいます。
また、F.E.A.R.とあるのはFar East Amusement Researchの略で、「極東娯楽研究所」とでも訳せばいいでしょうか。
「娯楽」というとあまりイメージが良くないとおもわれるかたもいらっしゃるかもしれませんが、現在日本で最も広く親しまれているのが娯楽ではないでしょうか。
それはさておき、いわゆるお堅い仏教本だとか宗教本だとかとは異なり、SF関連の資料本としての密教曼荼羅関連本とはなんぞや?という気もしてちょっと眉につばをしながら読んだりしてみました。
そして、当たり前といえば当たり前ですが、大変しっかり書かれています。当たり前ですね。
いや〜すごい情報量です。これは好きじゃないとできない仕事です。
そして、密教や仏教に直接関わっていない、極端な言い方をすれば興味のない方にも密教やその尊格についてなにかしか情報を供しようという強い意気込みを感じます。
・・・と、このまま全体の話に入ってしまいそうですので、いつもどおりにまずは構成から
構成
A5 サイズ、横書き、298ページ、イラストはモノクロ
はじめに密教にういての概説があり、それ以降は四章立てで各章は、
第一章 如来
第二章 菩薩
第三章 明王
第四章 天
となっています。
各章ごとに分類された尊格がイラスト入りで100尊ほど紹介されています。
読みやすい辞書というおもむきの解説本です。
章立ての他にも付録とコラムがあり、コラムには仏の世界や曼荼羅の基礎知識について細かくまとめてあったり、またコラムには地獄や七福神の話や神道との比較など独立した内容の話が挙げられています。
内容
内容としては、仏教や密教の研究者ではない方々が執筆したことにより、平易な文章でわかりやすく、また、宗教家の方々にとっては当然のことで今更書く必要がないことや書くことによって煩雑になるので省かれる内容についても事細かく書かれています。
一方で、非常に残念ながら明らかな間違いと思われる記述もいくつか散見されます。とはいえ、まあ、どの本にも間違いはあります。
著者が宗教諸派の内側にいるかか外側にいるかと内容の真偽の別は関係ありません。内側にいると教義の縛から逃れにくいですし、外側にいるからこそみえてくることもあります。傍目八目といったところでしょう。
それはさておき、上でも書きましたがすごい情報量です。様々な考え方や歴史的な流れについてどんどんまとめています。読み物として非常に面白いです。
膨大な情報量なので一度読んだだけでは覚えきれませんが、読みやすいので気軽に調べるのにちょうどいいです。
一方で、尊格のイラストは日本画に慣れ親しんだ身としてはちょっと違和感があって・・・といっても好みの問題ですね。
そのほかに、ちょっと気になる点として、『密教曼荼羅』というタイトルの本なのですが、密教についても曼荼羅についても全体として言及が多いというわけでもありません。
各尊格も両界と別尊とか胎蔵界と金剛界とかを明確に分けて記述しているわけでもありません。
タイトルの割に密教にも曼荼羅にもとくに注意を払わずそれぞれの尊格についての情報をまとめているという印象です。
思いがけずの内容でしたが、「Truth In Fantasy」シリーズの他の本なども読んでみたくなりました。
曼荼羅作図とのかかわり
三昧耶会の下絵を描き始めたので、今後理解すべき尊格が増えますので本書はその意味でとても役に立つでしょう。
ただし、直近の問題として、本書には三昧耶形が描かれておらず、その意味においては使えなかったので残念です。
三昧耶形に特化した本もあるかもしれませんが・・・それってあまり一般的ではないように思いますのでもう少し専門書寄りの本を探さないとダメですかね。
ちなみに、前回、前々回紹介した大法輪閣の本とは異なり参考文献も載っています。それも、他の仏教関係の本とことなりちょっと軽めの本も含まれているので、読むのにちょうどいいと思います。
本好きなので参考文献一覧があるとワクワクします。
子供の頃、「1日に何冊本を読めば一生のうちで何冊読めるか?」なんて計算をしたクチです。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ