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2015年04月07日
金剛界 一印会下絵 設計図
一印会下絵へ進みます
これまで理趣会、四印会の下絵作図をしました。思ったより時間がかかっているのでちと焦っています。
でも、焦ってグズグズの絵を描いても楽しくないので少し余裕を持って進めたいと思います。
下絵で使う道具立ては一通りまとまったハズなので、集中して下絵作図を進めていきたいと思います。
次は一印会の下絵作図です。
理趣会、四印会と外周構造の同じ上段三会のうちで真ん中の一印会だけが残っていたのでなんとなく次は一印会かなと予測を立てた方もいるかと思いますがアタリです。
とにかく慣れるには同じ絵を何度も描くことなので、同じパーツや似たような構図を何度も描きます。
一印会は金剛界曼荼羅の中心の最上段と一番目立つ場所にあります。
金剛界曼荼羅を遠くからみて、何が描かれているかわからなくても近づいていって一番はじめになにやら仏様が描かれているらしいとわかるのがこの一印会の毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)です。
一尊で曼荼羅全体を象徴し、金剛界曼荼羅全体のイメージを規定する、ある意味では最も重要な会と言えなくもありません。
さて、一印会の下絵作図にあたりいくつか気になることがあるのですが、とりあえず、進めていきます。
一印会下絵設計図
毎度おなじみの下絵設計図描きです。外周の構造は理趣会と四印会に共通とします。
こちらはとくになやむようなこともないのですんなり終わります。
まあ、こんなものかな
次回は一印会下絵の製図をします。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年04月05日
本紹介 No. 006 『すぐわかる マンダラの仏たち』
『すぐわかる マンダラの仏たち』
曼荼羅に登場するほとけ様の特徴を一尊づつ見ておいた方がいいかなという気持ちになってきたので、
そういう本はないかな?
と探してたら、前回同様に頼富本宏氏の本がありました。
頼富本宏 著 『すぐわかる マンダラの仏たち』(東京美術 2004)
表題に「マンダラの仏たち」とあるので曼荼羅に描かれる尊格についての解説書と思い読んでみました。
構成
143ページ、A5相当の本ですが、ほとんどの図版はカラーで比較的大きくとってあって見やすいです。
全体の構成はちょっと変則的です
はじめに 密教のほとけとは
序章 図解 誰にでもわかるマンダラの見かた
第一章 マンダラのほとけたち
第二章 密教のほとけー明王たち
もっと知りたい ◎知識を深める読書案内
この中で第一章と第二章がさらに小項目分けにされて、一部例外はあるけど、1項目がほぼ見開き2ページでまとめられています。
例えば、
大日如来[1] 大日如来とは
大日如来[2] ビルシャナと西方要素
・・・
といったように尊格ごとにテーマを決め、複数回に分けて解説されています。
内容
「はじめに」で密教および密教の尊格の特色について概説しています。
序章では密教に特徴的な両界曼荼羅について解説を行い、特に、金剛界曼荼羅について詳しく見ています。
第一章では曼荼羅のほとけたち(大日如来、五仏、金剛薩埵、金剛界三十二尊)について、第二章では密教独特のほとけである明王(不動明王と五大明王)について主に起源、形像、信仰を中心に解説しています。またそれぞれの尊格の美術作品についても折に触れ紹介しています。
第二章の最後に「そのほかの明王たち」と題して、愛染明王や孔雀明王など両界曼荼羅に登場しない明王について原語、典拠、図像などの解説をしています。
特に巻末の読書案内が素晴らしい。読みたい本がたくさんあるのはワクワクしますね。
本読んでるひまがあったら曼荼羅描けって感ぢですが・・・
特徴
本書の特徴として、尊像の写真とともに表や関係図などを用い、できるだけわかりやすくしようとする工夫が随所に見られます。
密教的概念についての解説もわかりやすく、例えば、化身・報身・法身の違いについて丁寧な解説がなされています。
また、インド、チベット、ネパール、オリッサ、ラダック、アルチなど、インド周辺の密教(仏教)美術がコラムに紹介されており、他国の密教の趨勢についても興味が広がります。
本書全体の3分の1に当たる第二章が明王に当てられていますが、実はこの本を読むまで明王にあまり興味がなく、マイノリティーと思っていました。
各明王の由来や出典となる経典がわかるのが面白い。特に由来となる本来の尊格がわかるとそれぞれの尊格の性格や役割をより深く感じることができるような気がします。
気になる点
気になる点として、「いくつかの説がある」や「必ずしも定説があるわけでもない」との表現により、なにか不確定なものごとを無理やり理解する必要があるような不安を感じる。
ここは思い切って「いくつかの考えがありますが、私はこう思う。」と断言し、その根拠を示していただけるとよいかと思います。その方が自分なりの考え方が持ちやすい。
曼荼羅作画との関わり
両界曼荼羅に登場する全ての尊格についての解説があるわけではないです。ちょっと期待してたので残念。やっぱり密教辞典とか参照しないとだめかなあ
曼荼羅に描かれていない尊格についても理解できたのは密教世界の広がりが感じられて良かったです。
本書にみられた主要な尊格の解説を読むにつけても、曼荼羅に描かれている全尊格について理解する必要性をさらに強く感じました。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年04月04日
金剛界 四印会パーツ入れ2(尊像)下絵完成
2015年04月02日
金剛界 四印会について
金剛界 四印会ってなに?
理趣会の説明のとき「『理趣経』って経典をもとに描かれているから理趣会という」ってなんとなくで理解したのですが、四印会は『金剛頂経』金剛悉地四印曼荼羅品をもとに描かれている・・・
で、「四印会ってなに?」ってことになります。
向下門
あらためて金剛界曼荼羅全体を見てみます。
理趣会の説明のときに言及しましたが、会には順番があって中央の成身会から順番に
(1)成身会 ⇨(2)三昧耶会 ⇨(3)微細会 ⇨(4)供養会 ⇨(5)四印会 ⇨(6)一印会 ⇨(7)理趣会 ⇨(8)降三世会 ⇨(9)降三世三昧耶会
となり、これを向下門といいます。
ここで四印会につながる流れとして
(1)成身会 ⇨(2)三昧耶会 ⇨(3)微細会 ⇨(4)供養会
の四つが重要な会となります。
四種曼荼羅
曼荼羅は作られ方から四種に分類され、大曼荼羅は着色尊像からなり、三昧耶曼荼羅は三昧耶形を描き、法曼荼羅は法を種子(種字とも、サンスクリット文字[梵字]で尊格を表す)を用いて曼荼羅を描き、羯磨曼荼羅の羯磨は事業や行いを意味しますが、ここでは木造や鋳造などの立体像で曼荼羅世界を表現すると解されます。
ここで、上記(1)ー(4)の四種の会は次のように対応します。
四種の会 四種曼荼羅
(1)成身会 大曼荼羅
(2)三昧耶会 三昧耶曼荼羅
(3)微細会 法曼荼羅
(4)供養会 羯磨曼荼羅
(1)成身会 大曼荼羅
(2)三昧耶会 三昧耶曼荼羅
(3)微細会 法曼荼羅
(4)供養会 羯磨曼荼羅
さあ、どうでしょう
はたして、ここで大曼荼羅と三昧耶曼荼羅はよいとしても、微細会は種子で描かれておらず、供養会も立体像などではありません。
金剛界曼荼羅においては、微細会とはほとけの智慧(法)が見ることもできないほど微細なすみずみにまで行き渡っていることを表し、供養会はほとけの供養という行い(羯磨)を表現しているので羯磨曼荼羅というと解した方がすっきりする気がします。
四印会とは
で、話が逸れましたが、主要な曼荼羅である(1)ー(4)の四種の会のエッセンスを統合し、わかりやすくしたものが四印会とされます。
(1)ー(4)の四種の会は多数の尊格が描かれ、複雑で、細密で、わかりにくく感じられます。
そこで、そんな複雑なものを理解するのは面倒だ、または、できないと思う衆生にも救済の手を遍く差し伸べるべく(衆生済度)、わかりやすく簡潔に表現しようと試みたのが四印会というわけです。
いってみれば、四印会は(1)ー(4)の会のダイジェスト版となる会なので、主要な尊格は尊像で描かれ(成身会)、三昧耶形でも表現され(三昧耶会)、ほとけの智慧が行き渡り(微細会)、各尊格が相互供養を行っている(供養会)複合的な表現の会となっています。
ここで、印とは「しるし」のことであり、特定の表現やかたちを表すと考えますと、大・三・法・羯の四種の表現形式も印であり、(1)ー(4)の四種の曼荼羅会も印といえます。
それら四つの印を表現する会を「四印会」と理解しています。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年03月31日
金剛界 四印会パーツ入れ1(三昧耶形)
三昧耶形パーツ入れ
三昧耶形パーツ入れについては特に新しい情報があるというわけでもないので、写真一枚でおわっちゃうのですが・・・
三昧耶形が持物などのときは直線や円を定規を使って描き、物体としての特徴を与えようとしています。
三昧耶形が諸尊の誓願の象徴であることから定規を使わずにやわらかく描くことで生命感のようなものを与えるという方向性もあると思います。
しかし今回は一種独特のそのかたちの中に現れる神秘性や高次性のようなものに特徴があると思い存在感をソリッドなかたちで表現しようと思いました。
また、三昧耶形の実在感を強調するのであれば陰影をつけるという方法もありますが、みずから光り輝き、炎に包まれる三昧耶形に陰影がつくのは不自然なので陰影による立体表現は行わないこととしました。
というところで、今回描いたのこここまでです。
残るは尊像だけとなりました。
空いてるスペースがさっぷうけいなあ
截金のことも考えとかんとなあ
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
タグ:下絵道具
2015年03月29日
本紹介 No. 005 『密教とマンダラ』
『密教とマンダラ』
前々回の本紹介で頼富本宏氏監修の『京都東寺秘蔵 曼荼羅の美と仏』の紹介をしました。
頼富本宏氏の解説が読みやすかったので、密教と曼荼羅のことをもう少し具体的に理解できるのではないかと期待して次の本を読んでみました
頼富本宏 著 『密教とマンダラ』(NHK出版、2003)
構成
文庫本サイズ、253ページ、構成は6章からなり以下の通り。
第I章 秘められた万華鏡的世界
第U章 密教の流伝
第V章 広がる密教の宇宙
第W章 マンダラとは何か
第X章 華麗なるマンダラのほとけたち
第Y章 現代と密教的宇宙
巻末に
「密教史略年表」
「密教流伝の道すじ(地図)」
「参考文献」
を掲載。
内容
話の流れとしては、
第I章で密教と現代社会との接点をみつめ、また、密教を狭義・中義・広義の3レベルにわけてそれぞれを概説している。
第U章では、インド、中国、チベット、日本、シルクロード、朝鮮半島、東南アジアの密教の歴史を概観している。
第V章で密教の教えを教理と教判にわけ空海の著作を中心に解説する。また、密教の実践として、修法と護摩、加行と灌頂、阿字観と遍路の概略を示し、続いて、「日本文化の地下水」とのタイトルで、密教と関わりの深い文学、声明、梵字について述べている。最期に、密教のほとけたちについて概観し、曼荼羅を除く代表的な密教美術として絵画・彫刻・宝具を紹介している。
というわけで、前半が密教についてであり、第W章からいよいよ曼荼羅についてのおはなしです。
第W章では曼荼羅の意味、分類、形、色、構造について総論的に概観しています。
第X章では各論として、各種曼荼羅の意味、思想やほとけの種類について解説し、日本の曼荼羅を 1.両部・両界マンダラ、2.別尊マンダラ、3.神道マンダラ、4.浄土マンダラの4種類に分類、さらにそれぞれを細かく分類して解説を加えている。その他、インド、中国、敦煌、チベットなどアジアのマンダラについても紹介しています。
第Y章では密教の特徴(総合性、宇宙性、芸術性、体験性)から密教の現代社会への貢献手法を検討しています。ここでは特に総合性の解説中にみられる『十住心論』の概説が興味深い。
とまあ、こんな具合になってまして、
各章を読みながら、現在と歴史的な流れの中での仏教および密教を理解したいと思い、また、お寺がたくさん紹介されていて行ってみたくなったり、空海の著作を読んでみたいとか、密教の視点から日本の古典文学をもう一度読みたいとか、梵字に対する理解を深めたいとか、もっと密教美術を見てみたいとか、・・・等々思いました。
本書は全体として密教と曼荼羅の紹介本としての役割が強いと感じました。
ややもすれば古色蒼然たる特別な存在となりがちな「密教」というシステムを現代社会にどう役立てていくのか?という視点が大切なのだと伝えたいのだと思います。
気になった点としては、いろいろな立場からいくつもの発言をできるだけ簡単にしなくてはならない難しさもあるでしょうが、著者の立ち位置がちょっとわかりにくい。
ある時は先導者として、ある時は研究者として、ある時は広報者、ある時は密教僧・・・とそれぞれの立場から見える視点が異なりそれぞれを同一平面上で表現するものだから読んでいる方も視点があっち行ったりこっち行ったりで定まらない。
時に著者の考えを表現するのに熱心なあまりに冒頭に示された目的と直接には無関係な結論を迎えることがあったり。と辛口になってしまいましたが、著者の深淵なる配慮を理解しないダメ読者の思慮不足のせいだと思いますので聞き流してください。
あと、図は少ないです。カラー図版はありません。似たような図が二つあったり、文中に示されている内容に関する図が全くなかったり、図があったとしても文中で参照されていなかったり、図が何のためにあるのか明示されていなかったりと・・・図はおまけ程度に考えていた方が心穏やかに読み進められます。
曼荼羅作成とのかかわり
さて、本書を読んでみて曼荼羅作成においても、曼荼羅や密教・仏教の学習についてもいくつものヒントと疑問点を得ました。
これまで主に曼荼羅を中心に考えてきましたが、曼荼羅の思想的背景である密教について、また、さらに密教を含めた仏教全体の理解を深めなければという思いが募りました。
そしてぼんやりとながらも今やっていることの着地点が見えてきたような気がしました。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年03月28日
金剛界 四印会下外周模様描き
外周文様描き
理趣会下絵の元図に新しいトレペを重ねる。
理趣会の外周文様のみ写し取る。
前回パーツを貼り付けた四印会下絵に理趣会外周文様を写したトレペを外周製図の位置を合わせて重ねる。
重ねたトレペに四印会製図を写しとる。
と、今日はここまで。
あとは金剛輪と三昧耶形と月輪尊を写し描くだけです・・・結構多いな。
前回から一見複雑な行程をへているようにみえますが、やっていることは単純です。
外周文様が理趣会と四印会で共通なので、丸ごと写し取って使っているだけです。
理趣会下絵作成の時と同じような描き方でもそれほど変わらなかったかもしれませんが、同じことの繰り返しだとダレてしまい、結果としてクオリティが下がりますので、思いついたアイデアはできるだけ実行して緊張感を持続したいところです。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年03月26日
金剛界 四印会文様パーツ描きとパーツ貼り
文様パーツ描き(外周を除く)
理趣会にない文様パーツのみ描く。
金剛輪内部の文様パーツを下絵製図に描く。
パーツ貼り
四印会の三昧耶形と月輪尊のパーツをコピーして『円切りカッター』で丸く切り取る。
下絵製図に十字線を基準として円切りしたパーツを貼り付ける。
今日はここまで
次回はトレペを重ねて下絵を描くのですが、その前に・・・
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年03月24日
金剛界 四印会のパーツ描き(尊像)
四印会 尊像パーツ描き
四印会は月輪尊が五尊像しかありません。大きさは理趣会よりちょっと大きいくらいでしょうか。数も少ないし絵の具の剥落もそれほどないので一見簡単そうです。でも、これは・・・結構クオリティ高いな。精進、精進
結局あんまり似てない・・・もう少し顔がまあるいんだな
とりあえず、四印会 尊像パーツができました。
以下の図は左から月輪尊の四印会での位置、中央がその拡大図で右が描いたパーツです。
1)毘盧遮那如来
金剛界曼荼羅の中尊。最高位の如来。
2)金剛薩埵
本有の菩提心の象徴たる菩薩。衆生の代表。
3)金剛宝菩薩
衆生の願いをことごとく叶え、限りなく満たす宝珠を持つ菩薩。
4)金剛法菩薩
説法し衆生に菩提心をおこさせる菩薩。清らかな蓮華を開くことで発心を促すことを象徴している。
5)金剛業菩薩
諸仏を供養し、衆生を救済する働きを示す菩薩。
以上で四印会 尊像パーツ描きを一応終えます。
う〜ん・・・描き直そうかな・・・とりあえず先に進めてから下絵の段階で修正しようかなあ・・・う〜む
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2015年03月22日
本紹介 No. 004 『曼荼羅のみかた パターン認識』
『曼荼羅のみかた パターン認識』
今回紹介する本は
石田尚豊 著 『曼荼羅のみかた パターン認識』(岩波書店 1984)
本紹介 No. 002でとりあげた『曼荼羅の世界とデザイン』でほぼ唯一上げられていた参考文献なのですが、ちょっと気になったので読んでみました。
『曼荼羅の世界とデザイン』は縦書き右開きソフトカバー本でカラー写真は口絵の8枚のみ、一方、本書は横書き左開きのハードカバーで117点のカラー写真を使用して解説を行っています。
『曼荼羅の世界とデザイン』では主に丸、四角といった基本図形に着目し解説していましたが、本書では特徴的な図像からパターンを抽出し、それぞれの曼荼羅の意味を解き明かしています。
と、しかし、これは・・・大当たり!!!隠れた名著と思います!
単に僕が知らなかっただけの可能性が高いですが・・・こういう僥倖があるから本探しはやめられません。ここまで素晴らしい本がAmazonでの評価も付いていない(2015年03月22日現在)というのは、どこか間違っているんでしょうか?
まあ、僕にとっての良本というだけで、他の方にとってはそれほどでもないのかもしれませんが・・・
構成
構成は、以下の通りです。
(1)曼荼羅のパターン認識
(2)叙景曼荼羅
(3)胎蔵界曼荼羅
(4)金剛界曼荼羅
(5)合成型
(6)その他のパターン
(7)絵系図系
(8)曼荼羅の諸形態
(9)曼荼羅の歴史
内容
まず、図版が美しい。両界曼荼羅のところで主に作例に挙げられているのは大好きな『西院本曼荼羅』です。
そして、すごい情報量。内容が濃く、すこしは基礎知識がないと理解しにくいかもしれませんが、図を参照しながら話しかけるような語り口で詳細に書かれています。
一見複雑な曼荼羅をパターン認識をきっかけにして図の意味と図相互の関係性を示し、その意味に目を向けさせ理解を促すように書かれています。
例えば目の前に内容不明の曼荼羅があったとします。その図様から曼荼羅の性格を読み解こうという流れです。解説をよみ目から鱗が落ちまくりました。いくつかの知識がゆっくりと開いていく感じです。素晴らしい。
と、褒めまくりですが、あえて改善希望点をあげると、
(1)図版はもっと大きい方が良かった。ぶっちゃけもっと大きな図鑑タイプの本にして欲しかった。
(2)各曼荼羅は基本データとして所蔵だけではなく、サイズや基底材(絹本か紙本かなど)、制作年代、できれば作者名などのリストがあると嬉しかったです。
(3)ほとんどの用語は本文中で説明されておりますが、用語解説が付いているとさらによかったかと思います。
(4)背景に歴史的な流れを意識して構成されておりますが、もうすこしパターン認識による分類と歴史的背景を明示的にリンクさせる構成にしていただけると助かります。
(5)パターンA,B,C・・といった分類名の必然性が不明で、そのまま、叙景系、蓮華系といったパターン認識名で良いと思うのですが・・・
と、幾つか改善希望をあげましたが、ともかくも内容がすばらしく買ってよかったな〜と素直に思える本です。
曼荼羅作画との関わり
さて、曼荼羅作画における本書の功績としては様々な疑問に答えていただき、また、気がついていなかった重要なポイントに目を向けさせていただきました。
さらに研鑽が必要であるとも痛感いたしました。もっと見識を広げてそれぞれの尊像や図像の意味を掴み描く必要があるのだなと感じました。
いや、ほんとにすばらしい!ありがとうございます。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ