新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2015年03月15日
本紹介 No. 003 『曼荼羅の美と仏』
『京都東寺秘蔵 曼荼羅の美と仏』
四印会の設計図でちと手間取っているので今回は本紹介だったりして・・・
前二回の本紹介では曼荼羅の知識面での本を読みましたが、あらためて作品をよく見てみたいという気持ちが湧いてきます。
といっても、いますぐに博物館や寺院へ見に行けるわけでもないので、おうちで図鑑でも見ます。
頼富 本宏 監修 東寺宝物館 編集
『京都東寺秘蔵 曼荼羅の美と仏』(東京美術、1995)
構成
縦 29.6 x 横 22.0 cm、全110ページ、内カラー図版 79ページ
<三部構成>
(1)東寺の歴史や宝物の簡単な紹介
(2)曼荼羅図版
(3)曼荼羅解説
内容
曼荼羅図版では複数の曼荼羅を紹介しているが、79ページのカラー図版のうち半分以上(46ページ)が『西院本曼荼羅』の写真で占められている。特に『西院本曼荼羅』の写真のカット割りと色彩が素晴らしい。
いま見てももうゾクゾクする造形美。いつ見てもあたらしい発見があり、いつまでも見飽きない美しさ。
2作例目に『元禄本曼荼羅図』が載っています。さすが御本尊という貫禄と精緻な技巧、美しい彩色と金の輝きは密厳とはかくあるべしという模範のような装い。
その他には、『甲本・乙本両界曼荼羅』、『敷曼荼羅』、『種子曼荼羅』他、尊像図や白描など27種類もの曼荼羅および曼荼羅関連図が掲載されています。
けど、これは・・・う〜ん・・・カタログ?
こういう曼荼羅も所蔵していますよという感じで写真がたくさん載っていますが、『西院本曼荼羅』の写真と比べたら魅力の伝え方としては不十分・・・って言い過ぎましたが、他の曼荼羅図ももっと大きくて、美しくて、細部にまで肉薄した写真が見たいな〜とおもいます。
『西院本曼荼羅』は著名な写真家の石元泰博氏の作品が用いられています。そして他の写真は便利堂保管とのことで平面性の確保など十分な力量を発揮したプロの写真であることはわかります。でも、芸術写真と記録写真の違いというか、情念というか・・・なにかが違って感じられます。
解説は頼富本宏氏が書かれており、曼荼羅の特徴、種類、真言密教との関わりや両界曼荼羅の系統および別尊曼荼羅について、特に東寺との関わりを中心に詳細が示されています。読みやすく、また、読み応えのある文章で頼富本宏氏の他の本も読んでみたいと思いました。解説につづき少しながら密教用語がまとめられている点も私のような初学者には大変ありがたいです。
曼荼羅作画との関わり
幾つかの資料をもとに曼荼羅を作画してますが、その一つがこの本です。現在金剛界曼荼羅を描いていますが、この本で金剛界の写真が充実していたのも金剛界曼荼羅から書き始めようと思った理由の一つです。
この本で『西院本曼荼羅』をなんども見ているのですが、ただ見ているだけでは十分に理解するのは難しく、スケッチや模写をすることで細部まで理解が進むようにおもいます。
時間をかけひとつひとつ自分で描いている理由がその辺にあるのかもしれません。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ