2015年04月05日
本紹介 No. 006 『すぐわかる マンダラの仏たち』
『すぐわかる マンダラの仏たち』
曼荼羅に登場するほとけ様の特徴を一尊づつ見ておいた方がいいかなという気持ちになってきたので、
そういう本はないかな?
と探してたら、前回同様に頼富本宏氏の本がありました。
頼富本宏 著 『すぐわかる マンダラの仏たち』(東京美術 2004)
表題に「マンダラの仏たち」とあるので曼荼羅に描かれる尊格についての解説書と思い読んでみました。
構成
143ページ、A5相当の本ですが、ほとんどの図版はカラーで比較的大きくとってあって見やすいです。
全体の構成はちょっと変則的です
はじめに 密教のほとけとは
序章 図解 誰にでもわかるマンダラの見かた
第一章 マンダラのほとけたち
第二章 密教のほとけー明王たち
もっと知りたい ◎知識を深める読書案内
この中で第一章と第二章がさらに小項目分けにされて、一部例外はあるけど、1項目がほぼ見開き2ページでまとめられています。
例えば、
大日如来[1] 大日如来とは
大日如来[2] ビルシャナと西方要素
・・・
といったように尊格ごとにテーマを決め、複数回に分けて解説されています。
内容
「はじめに」で密教および密教の尊格の特色について概説しています。
序章では密教に特徴的な両界曼荼羅について解説を行い、特に、金剛界曼荼羅について詳しく見ています。
第一章では曼荼羅のほとけたち(大日如来、五仏、金剛薩埵、金剛界三十二尊)について、第二章では密教独特のほとけである明王(不動明王と五大明王)について主に起源、形像、信仰を中心に解説しています。またそれぞれの尊格の美術作品についても折に触れ紹介しています。
第二章の最後に「そのほかの明王たち」と題して、愛染明王や孔雀明王など両界曼荼羅に登場しない明王について原語、典拠、図像などの解説をしています。
特に巻末の読書案内が素晴らしい。読みたい本がたくさんあるのはワクワクしますね。
本読んでるひまがあったら曼荼羅描けって感ぢですが・・・
特徴
本書の特徴として、尊像の写真とともに表や関係図などを用い、できるだけわかりやすくしようとする工夫が随所に見られます。
密教的概念についての解説もわかりやすく、例えば、化身・報身・法身の違いについて丁寧な解説がなされています。
また、インド、チベット、ネパール、オリッサ、ラダック、アルチなど、インド周辺の密教(仏教)美術がコラムに紹介されており、他国の密教の趨勢についても興味が広がります。
本書全体の3分の1に当たる第二章が明王に当てられていますが、実はこの本を読むまで明王にあまり興味がなく、マイノリティーと思っていました。
各明王の由来や出典となる経典がわかるのが面白い。特に由来となる本来の尊格がわかるとそれぞれの尊格の性格や役割をより深く感じることができるような気がします。
気になる点
気になる点として、「いくつかの説がある」や「必ずしも定説があるわけでもない」との表現により、なにか不確定なものごとを無理やり理解する必要があるような不安を感じる。
ここは思い切って「いくつかの考えがありますが、私はこう思う。」と断言し、その根拠を示していただけるとよいかと思います。その方が自分なりの考え方が持ちやすい。
曼荼羅作画との関わり
両界曼荼羅に登場する全ての尊格についての解説があるわけではないです。ちょっと期待してたので残念。やっぱり密教辞典とか参照しないとだめかなあ
曼荼羅に描かれていない尊格についても理解できたのは密教世界の広がりが感じられて良かったです。
本書にみられた主要な尊格の解説を読むにつけても、曼荼羅に描かれている全尊格について理解する必要性をさらに強く感じました。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
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