2015年08月22日
本紹介 No. 038『ブッダの境涯』
『ブッダの境涯』
前回、溝口史郎 著『ボロブドル遺跡のレリーフに見る シャカムニの生涯』(丸善 1994)を読みました。
その本でボロブドル遺跡のレリーフに対応させて『ラリタヴィスタラ』からの抜粋がありました。
というわけで『ラリタヴィスタラ』を読みました。
溝口史郎 訳 『ブッダの境涯』(東方出版 1996)
帯に「仏伝文学の華 ”ラリタヴィスタラ”(『遊戯の展開』)の仏語訳を本邦初訳」とあります。
『ボロブドル遺跡のレリーフに見る シャカムニの生涯』と同じ溝口史郎氏の著作です。
構成
A5版ハードカバー、396ページ
内容は以下の通り。
凡例
第一章 講話の主題
第二章 勧 告
第三章 種族の完全な清浄
第四章 法の輝く門
第五章 始 動
第六章 母の胎内への降下
第七章 誕 生
第八章 神殿の案内
第九章 装身具
第十章 書き方教室への入学
第十一章 農夫の村
第十二章 諸芸における能力の試合
第十三章 家出の勧告
第十四章 夢
第十五章 家 出
第十六章 ビンビサーラ王の訪問
第十七章 難事の実践
第十八章 ナイランジャナー河
第十九章 「悟りの場」へ向かう行進
第二十章 「悟りの場」の整備
第二十一章 悪魔の敗北
第二十二章 完全にして成就された智慧の体得
第二十三章 賞 讃
第二十四章 トラブシャとバッリカ
第二十五章 懇 請
第二十六章 法の車輪を回す行為
第二十七章 結 語
訳者あとがき
内容
写真や挿絵などは無く、上下二段に396ページの大著なので読むのに時間がかかるとは思われたが、それ以上に釈尊を荘厳する字句文言の数々の多いことに驚かされる。
釈尊を敬う文言があまりに多すぎるために気をつけないと物語を追うことがおろそかになってしまう。
しかし、この釈尊を荘厳する言葉の多様さや美しさも本文のところどころにちりばめられた詩句とともに「仏伝文学の華」と呼ばれる所以であろうから、そこは尊重しひとつひとつ読み継いでいく。
内容は第四章 法の輝く門では信、浄心、喜、愛楽・・・と百八の輝く法門が列挙され(百八といいながらも番号は一〇九まで付いている)、
第七章 誕 生では三十二の偉大な人物の「しるし」と八十の二次的な「しるし」を列挙し、
第十章 書き方教室への入学では幼い釈尊が「先生、どんな文字を私に教えてくださるのですか?」と聞いた六十四の文字全てを列挙し、、、
と、釈尊伝を追いながら、様々な事柄に対して細部まで明確に列挙されている。
仏伝を通して釈尊への敬意と仏門の真髄を詳細に伝えようとする意力が感じられる。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
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