しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮! 次々と事件解決の糸口を見つけ出すが――。
前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。
久々の小説レビューですか…
マツリカ・マトリョシカの記事を書いてから、約1年ぶりですね
もう推理小説、ミステリの題材は出尽くしていると常々思ってたんだけど、たまーにこういう斬新かつ、クオリティの高い一作が出てくるから文壇とは侮れない
というわけで今回、久々にこれは面白い!と思ったのが本作、片想い探偵 追掛日菜子
価格:745円 |
価格:708円 |
まず前代未聞の触れ込み通り探偵である主人公の職業が珍しい
タイトルでも少し伏線を張っているが、ストーカーである
日菜子曰く、プロの追っかけ
非常に惚れっぽく、次々に片思いする「推し」を変えていく
最初はイケメン俳優、力士、子役、覆面漫画家、そして果ては総理大臣まで
どんどん物語はスケールアップしていく。
日菜子が推しにした男性たちは、なぜか殺人容疑をかけられたり、災難が降りかかる。
日菜子は普段こそただの女子高生だが、好きな男のこととなると飛びぬけた推理力を発揮し、推しを救う…
そう好きな男のピンチに颯爽と駆けつける。それもいつも決まって絶好のタイミングで。
だってストーカーだからね
最後には勿論総理大臣を救う。
ストーカー女が
主人公がストーカーというだけなら他にもあるかもしれないが、面白いのがツイッターやブログなどの現代ネットツールを、女子高生である主人公が完全に使いこなしていること
勿論使い方もストーカーだけに、非合法
ツイッターを推理に使うとか、相当斬新じゃないだろうか
ツイッターは私の庭だよという名言も飛び出る
推理モノとしてのディティールも完成度が高く、伏線も丁寧
天才の主人公を上回る社会の闇に遭遇したり、あっと驚くどんでん返しもある。
様々なストーキングを終え、こんな片想いはコリゴリ。もう追っかけなんて辞めると宣言した日菜子が、また新たな恋に踏み出すラストシーンは、謎の感動に満ち溢れているね。
価格:745円 |
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評価A+
85点
久々の良作でした。これ1本でも綺麗に終わったけど、続編があってもいいかもしれない。
ちなみに、これだけ荒唐無稽な小説を書いていながら、作者の辻堂ゆめは、湘南高校卒から東大卒という、文系最高の学歴の持ち主。
なのに本作には、ペダンチックな要素は皆無だ。おかしな言い回しをする人物や、変な横文字も一切出てこない。
作者もまた、ギャップがあって面白い。
勘違い意識高い系とはまるで違う、ガチの天才っぽい。
しかもまだ、25歳(執筆時は多分23〜24歳)という若さ。
今後の活躍に、大いに期待したい。
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