彼女は、お婆様に仕えるメイドロボット「リーシャ」が苦手でした。
時の止まったようなお屋敷で紡がれる、ヒトとモノの穏やかなお話。
エンディング:1種類
プレイ時間:約10分
見ようによっては百合に見えるかもしれないし見えないかもしれないそういうアレです
まじででけえな
▼家族や親族からも見捨てられ、傷付いた少女カレンは、唯一の心の拠り所である祖母の家にやってくる。
そこで出会ったのは心の無い、常に笑顔の旧式メイドロボ、リーシャ
自分が心の拠り所にしている祖母に常に付き添い、嫉妬と苛立ちを覚えるカレンだったが…
▼グラフィックがとても綺麗。しかも立ち絵が動きます。
旧式ロボってことで、モーションを追及したんでしょうか。
キュルキュルと動き、効果音をピコピコ鳴らしながらしゃべり、台詞は片仮名混じり。
メイドロボは人間同然に描かれるのが普通なので、靴も履いてなければ手足も完全にむき出しの機械仕掛けだったり、ここまでロボ感のあるメイドロボはなかなかないね
▼お前は感情のない機械だからと、自分のミスも直しておくように偉そうに命令し、これまでの人生で受けた劣等感や怒り、失望全てをリーシャにぶつけるカレン。
だが何を言われても心が無いリーシャは終始笑顔。
心の無い言葉でリップサービスを言われ、カレンは更にいら立つ…
▼う〜〜ん……
このあたりの描写、マジで胸が痛い。
まずこのゲーム、選択肢が数回出てくるんだけど、全部一択なんだよね。
そしてそんな一択は、リーシャに冷たく当たるものしかない。
普通のゲームなら好感度がガラガラと落下するようなね。
でも、リーシャはどんな時も、何を言われても、笑顔なんだよね。
こんなに濃い顔ではないが機械と言いながらもキレてしまうカレン。
▼つまりカレン=主人公=プレイヤーは、強制的にリーシャに冷たく当たることになる。
これはもうね、リーシャがものすごくいい子なだけにね…
悪い…やっぱ辛ぇわ…
リーシャにはちゃんと心があって、優しさでカレンを受け入れてることが分かるだけに、そんなの関係なく悲しいシーンだ
小島よしおくらい、でもそんなの関係ねぇ!
▼祖母はリーシャを呼び出し、自分が死んだらこの人に譲渡権を渡すと紳士を紹介する。
そこでも笑顔で従うリーシャだったが、カレンに「嘘」というロボットにあるまじき行動をとり、自ら死を選ぶ
ロボットの自殺はSFではたまにあるが、心がテーマの作品としては悲しくも、もっともインパクトがある末路だった
ベタ路線だと、次の主人がカレンというストーリーだからね。で、ロボ子だけが何世代も主人公一族を見守るセカイ系になったりする
でも、おばあちゃんとリーシャはお互いにオンリーワンだから、それはない。
どれだけ孫が可愛かろうと、それはない。
▼維持費が膨大だから金持ちの紳士に頼むシーンなんて、やけにリアルだ
ここで初めてカレンの見た目が出てくるけど、地中海育ちっぽくって可愛い
ベタな金髪幼女ではないところもいい
▼本作はジャンルが泣きゲーに位置すると思うのだが、中でも祖母が生まれた時から死ぬまでリーシャと一緒にいたことを表現したスタッフロールでは、目頭が熱くなってしまった
特に最後のあれは卑怯やで…
▼まあ、最後の締めである武蔵野モーツァルトのクレジットには爆笑したけどね
この名前、普段使ってるウケ狙いだからなあ
▼強い心を手に入れ、悲しい出来事から非常に前向きな、明るいエピローグもよかった
タイトルに戻ると笑顔のカレンとリーシャに変わっているのが、実に小粋な演出だ
リーシャが下を見ているので何かあるのかな?とは思ったけど、この演出はニクイね
評価B+
75点
ベタなようで変化球もあり、大変クオリティが高い一作でした。
作者はベーコンレタス列伝などのネタ要素の強いホモゲーを作ってて、今作も百合ゲーという触れ込みだったので、ライトな物を想像していたら、いい意味で裏切ってくれました。
これは凄い…
全然百合なんかじゃないよ…
これはもう、命のドラマだね
ぶっちゃけこのジャンルの製作センスのほうが鋭いんじゃないかと。
ホモゲーよりも
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