記憶喪失の僕の前に現れた、"刹那の探偵"と名乗る黒髪の少女・静莉(しずり)。
彼女に誘われ「紅邸」と呼ばれる山奥の洋館で療養する事になった僕だったが、
その夜、使用人が何者かに殺害されるという奇怪な事件が発生する――。
血と狂気が交錯する本格ミステリノベル<刹那の探偵>シリーズ始動。
▼ラハシリーズ作者による、XIII機関みたいな記憶喪失の少年「オセロ」と、刹那の探偵「静莉」の織り成す本格ミステリ
(これは素晴らしい…)
ラハシリーズだと右にヒロインがいるだけだが、今回は相棒が背中合わせなんだね
▼推理モノ、ミステリはかなり好きなジャンルなので期待しながらプレイ。
推理の系統としては、本格ミステリというより、ラノベで、西尾維新とかに近い、トンデモ系
作中でノックスの十戒を提示し、それを破ることをコンセプトにしているので、実際には本格ミステリを作る気はなかったんだろうけど、キャッチコピーの「本格」に期待していたので、フタを開ければ厨二系ラノベだったのは、拍子抜けした
吸血鬼の末裔のトンデモラノベスペック主人公が活躍するが、作者が頭を使ってトリックを考えるのではなく、単にこの設定に頼っただけの部分も、非常に多い(電話の声を、超聴覚で拾ったり)
▼ファンタジー要素やご都合主義がかなり高く、また、矛盾や強引な点もかなり多く、ミステリとしては余り評価出来るポイントはなかった。
ミステリノベルであって推理ADVではないので、推理要素も殆ど無ければ、クロス探偵物語やミッシングパーツのように事件現場をクリック捜査する要素もないので(背景は素材だしね)、ただ読み進めるだけ。
ミステリというなら、移動や探索による調査くらいは欲しかったかな。
でも、答え同然のヒントが出るし、複雑な要素を取り払ったシンプルな作りともいえるので、攻略が簡単なのはよかった
▼刹那の探偵が静莉ではなく実は少女だったオセロで、かつての事件の再現を繰り返していたというのは、ネタを出し過ぎかな。このネタといえば「Ever17 -the out of infinity-」が有名だが、あのような上手さはなかった。
作中でオセロがトゥルーマンショーをそのまま引き合いに出したり、殺人事件が発生したのに露骨に誰も驚いてなかったり、もっと隠すか、捻っても良かったんじゃないかと
▼紫織も、花蓮の恋人も、万象も、全員がボンベイ型だったとか、血液アレルギーだから証拠に触れなかったとか、流石に無理がありすぎるし、突っ込み出すと切りが無いです
犯人が花蓮なのも1人だけそこにいないので消去法で分かってしまうし、双子や、双子並にそっくりな他人の入替トリックも、ミステリに於ける、タブーの1つでしょう。
これならまだ、犯人が色覚異常というミスリードのほうが現実味があった(色覚異常の犯人はクロス探偵物語を思い出す)
▼ここまで書くとあまり面白くないゲームなの?と思われそうだが、非常に良作です
というのも、核心に触れるとこのゲームの本質が、探偵ミステリではなく、探偵ミステリを題材にした、親子姉妹の悲哀モノ、父娘の愛憎劇だと好意的に見たからなんですよ
終盤、推理は関係なく、ずっとその話が続くしね
「記憶喪失の僕と、洋館で起こる殺人事件。二つの謎」…
この、「クローズドサークル」と「洋館で起こる殺人事件」はイマイチでも、「記憶喪失の僕」はとても面白かった
▼探偵とは、親とは、親子とは…
多くの要因が絡み合うストーリー
クライマックスは、ここで一気にやってくる
▼姉の静莉に憤っていた人が死ぬ前に食い止める探偵を、ラストシーンで本人の自殺の阻止として実行するのは、凄いカタルシス。
まさにミステリの主人公だ
▼OPムービーもクオリティが高かった
絵も綺麗だし、オセロがパーカーを脱いでから変化するタイトル画面も、格好いい(左が主人公、右がヒロインポジションなんだろうか)
(妹もなかなかだが……うーん……姉は偉大!)
【見放題chライト】7000本以上の動画が初回2週間無料
評価B
70点
面白かったです。
ラハも3部作で、ラハと魔法の園〜the graystory〜、ラハと理の魔法生〜the 2ndstory〜、ラハと百年魔法石〜the endstory〜と続いたので、シリーズ開始ということは、続編の予定もあるんでしょう。
今作で主人公(オセロ)の謎はネタを使い切ってるので、制作的には、次からが本番かな。
紫織の生まれは謎だらけだし、静莉もかなり闇が深いから、そこがクローズアップされそう。続編がどうなるか楽しみ
クリア後、シリアスな本編を裏側からコメディに見る番外編がプレイ出来るが…
アッシュや犯人以上にやべーやつは、明らかに結城でしょう
妹の話もウソっぽいし、悪意(好奇心?)があってオセロを脱がしただろうし、軽い小説とか、容疑者として、役満
でもそんな結城が、男性キャラで一番気に入りました(女性キャラは由希)
こういう、残念なイケメンって面白いんだよね
どんな殺人事件でもしぶとく生き残りそうな雰囲気がある
2にも出てほしい
【このカテゴリーの最新記事】